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2017年 02月 05日 ( 1 )


「Fools Rush In」(2/3)


「Fools Rush In」を作曲したのはルーブ・ブルーム(Rube Bloom)。あまり有名な作曲家ではないので名前を聞いてピンとくる人は少ないはず。僕のパソコンのiTunesの中にある曲で検索したら「Day In, Day Out」と「Give Me the Simple Life」が彼の曲でした。

作詞はジョニー・マーサー(Johnny Mercer)。この人は超有名ですね。この人の書いた有名な曲はいっぱいあるけど、いちばん好きで、いちばん口ずさんだ回数が多いのは、やはりあの『ティファニーで朝食を』でオードリー・ヘップバーンがギターを弾きながら歌った「ムーン・リヴァー」。

ウィキペディアを見ると曲が書かれたのは大瀧さんが言われたように1940年ということになっていますが、実際にはちょっと違うようです。

僕がスタンダードソングについて調べるときに参考にしている本が2冊あって、その一つは以前紹介した『イージー・トゥ・リメンバー』。この本は本当に素晴らしくて何度も何度も手に取っています。索引や参考文献も充実していて、たとえば僕の大好きなハリー・ウォーレンという作曲家についてもっと知りたいのなら『The Great Songs of HARRY WARREN from 42nd Street to Hollywood』という本が役に立つとか書かれていて参考になることばかり。その本買っちゃいました。

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『イージー・トゥ・リメンバー』では「ジョニー・マーサー」の章で「Fools Rush In」のことが書かれていましたが、残念ながらルーブ・ブルームと「Fools Rush In」という曲を書いたという記載があるだけ。

でも、「ジョニー・マーサー」の章の最初にこんなことが書かれていてなるほどと思わされました。


 ジョニー・マーサーは土地特有の言葉をたくみにあやつる詩人だ。マーサーは、慣用句や俗語、方言などに対する確かな耳をもっていた。

実は「Fools Rush In」というのも慣用句なんですね。正確には「Fools rush in where angels fear to tread(愚か者は天使が踏み込むのを恐れる場所に駆け込む)」という言葉。実際「Fools Rush In」という曲の最初は「Fools rush in where angels fear to tread」という言葉がそのまま使われていて、「Fools Rush In (Where Angels Fear to Tread)」というタイトルになっているのも結構あります。マーサーはここで愚か者が駆け込む場所を「恋」にしているんですね。なかなかシャレています。


さて、スタンダードソングについて調べるとき、もう一冊参考にしているのが和田誠さんの『いつか聴いた歌』。

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この本に「Fools Rush In」のことが取り上げられているんですが、短いながらウィキペディアに書かれていないことがいくつも。そこでおもしろい発見をしたんですね。でも、それは最後に。


和田さんの本によると「Fools Rush In」は実は作曲家のルーブ・ブルームが「Shangri-la」というタイトルで曲だけ書いていたものにジョニー・マーサーが1940年に詞をつけたとのこと。つまり曲自体はもっと以前に書かれていたんですね。歌詞がつけられてすぐにミルドレッド・ベイリーやフランク・シナトラに録音されます。シナトラは自分が歌った素晴しいバラードの曲としてこの曲をあげているくらいにこの曲が相当お気に入りだったようです。


シナトラが「バラード」と言っているように、この曲は本来しっとりとしたバラードだったんですね。ということでいくつか僕のお気に入りのものを。

まずはジュリー・ロンドンのアルバムの中ではいちばん好きな『Lonely Girl』(1956年)に収録されたもの。




次はフォー・フレッシュメンの歌ったもの。『The Freshmen Year』(1961)に収録されています。リッキー・ネルソンの次によく聴いています。




それからドリス・デイがアンドレ・プレヴィンのピアノで歌った最高に素敵なアルバム『Duet』にも収録されています。このヴァージョンにはヴァースが付いています。




ヴァースが付いているといえば、大好きなステイシー・ケントも1999年に出したアルバム『Love Is... The Tender Trap』で、ヴァース付きの歌を歌っています。




他にも調べたら弘田三枝子さんも歌っていましたね。




ドゥーワップで歌われたものもいくつかありますが、このThe Velvet Angelsというグループが歌ったものを紹介しておきます。




ちなみに和田誠さんが愛聴しているのはディーン・マーティンが歌ったものとのことで和田誠さんが監修した2枚組のCD『いつか聴いた歌』にはディーン・マーティンが歌ったものが収録されています。




さて、ここからが本題。このブログで「Fools Rush In」を取り上げようと思ったのはここからの発見があったから。

フランク・シナトラは1940年にトミー・ドーシーのオーケストラをバックに歌っていますが、1960年にはネルソン・リドルのアレンジで歌っています。これですね。




これについて『いつか聴いた歌』にはこんな話が書かれています。


 シナトラはこの曲が素晴しいと言うだけあって何度もレコーディングしているが、ネルスン・リドルのアレンジによって歌ったものがいい。ネルスン・リドルのこのアレンジはそのままカラオケのレコードとして発売されたことがある(日本でカラオケがはやるより20年も前の話)。このレコードをかけて歌ってみるのも、ちょいとシナトラの気分でいい気持ちだ。気分がいいのと上手に歌えるのとはまた別の話であるが。

そのネルソン・リドルのレコードというのがこの『SING A SONG WITH RIDDLE』というタイトルのアルバム。

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ジャケットの真ん中に大きなマイクの写真。ジャケットの下には「YOU are the solo star, with big orchestral backgrounds by NELSON RIDDLE」との文字。ブックレットには収録された全12曲の楽譜付きの歌詞カード。ハリー・ウォーレンの曲が「The More I See You」「I Had The Craziest Dream」と2曲入っている他、「Little White Lies」や「You Make Me Feel So Young」「You're Driving Me Crazy」などいい曲を集めています。でも、どちらかといえば超有名というよりも地味な曲が多いですね。「Fools Rush In」の曲を書いたルーブ・ブルームとジョニー・マーサーのコンビによる「Day In, Day Out」も収録しています。

YouTubeにネルソン・リドルの演奏した音源がありました。




さて、最後に、YouTubeで「Fools Rush In」を検索していたら『バッファロー ’66』という映画のシーンがいくつか出てきて何だろうと思って観たら。これが傑作でした。ちなみに『バッファロー ’66』という映画は村上春樹さんが大好きだと何かに書いていたのを読んで見た映画。僕もお気に入りです。変な映画だけどかなり笑えます。その映画で「Fools Rush In」が歌われていたんですね。オヤジがカラオケで「Fools Rush In」を歌うこのシーン。




なんとオヤジが手に持っているのはネルソン・リドルのあのレコード。息子が家に連れてきた若い女性を相手にネルソン・リドルのアレンジでシナトラが歌ったものだとかなんとか説明しながらシナトラになりきって歌っています。このシーンだけでも大笑いですね。和田誠さんもこれを見たら笑うだろうな。


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by hinaseno | 2017-02-05 12:27 | Comments(0)