Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
プロフィールを見る
画像一覧

2017年 02月 02日 ( 1 )



小泉今日子さんについての本をネットで読めるものも含めていろいろと読んでいますが、今のところ大瀧さんについて彼女が語った言葉を見つけることができていません。どこかにないかな。

それはさておき、小泉さんが1昨年の暮れから『GLOW』という女性雑誌で対談の連載を始められていることを知りました。なんとタイトルが「小泉放談」。読んでみたいけど、さすがに女性誌に手を出すのには(並べている場所に行くのにも)勇気がいりそうです。単行本になるのを待ったほうがいいかな。

その「小泉放談」の最初の相手はYOUさん。これがネットで読めるようになっていたので読んでみたらYOUさん相手なのに結構真面目な話をしています。例えばこんな部分。


今、私が思うのは「この先、何を残せるか」っていうことかな。YOUは出産して、子どもが大きくなってというところまで成し遂げているけど、独身で子どもを持たなかった身からすると、いったい自分は世の中に対して何ができるんだろう?みたいなことを考えたりするんですよねえ。



何かね……周囲を見回すと、生きにくそうにしている人がいっぱい目に入ってくるんですよ。そういう時、「もうちょっとどうにかして、環境を整えられないかなあ」という気持ちになることは、確かにある。


ここのところ、世の中を見ていてやっぱり時代が終わっていく感覚って、あるじゃないですか。昭和というか、今70代、80代の人たちが作り上げてきたものが。実際、人には寿命というものがあるから、お別れする機会もたくさんあるし。古い時代の仕組みや枠組みが成り立たなくなっていくとしたら、その先の新しい何かは、私たちの世代で作って行かなきゃいけないのかなって。


「ああ、あの人がいなくなっちゃった」という時に考え始めても、もう遅くて。

小泉さんが芸能界を変えておきたいという使命感のような思いは、『MEKURU』(2016年2月発行)でのインタビューでも語られています。


時代に対して決着をつけていきたいっていう思いがありますね。芸能という昭和から始まった歴史があるわけだけど、時代が進んだ現在、昔からのやり方がちょっとうまくいかなくなっているところもあると思うんです。だからこれからは、みんなが個の人間として、どこにいても発言できるような成熟した社会になっていったらいいなあと思う。

自分のことだけではなく芸能界全体のことを考えているんですね。そんな小泉さんが最も気にかけている存在があるとすれば、『あまちゃん』で共演した能年玲奈さんだろうと。子供を持たなかった小泉さんが、ドラマの中とはいえ、自分の子供の役を演じた能年さんの強い味方になっているんだなと。


『黄色いマンション 黒い猫』には、その能年玲奈さんの話が出てきます。「アキと春子と私の青春」というタイトルのエッセイ。


 約一年間、朝のドラマでヒロイン「アキ」の母親役「春子」を演じた。若い頃アイドルを目指し、故郷を捨て、親を捨て、家出までして上京して東京で夢に破れ、タクシー運転手と結婚をして娘を生み家庭に入った専業主婦。そして年頃になった娘はかつての自分と同じアイドルの道を目指し始める。私は子どもを持たなかったが、役を通じて母親の気持ちを体現できるのは女優という仕事の面白いところである。ヒロインを演じた能年玲奈ちゃんの瑞々しさはアキそのもので、この子を全力で守りたいという気持ちにさせてくれる魅力的な女の子だった。ドラマの中でのアキの成長はそのまま能年ちゃんの成長だった。これはもうドラマを越えたドキュメンタリー。大人たちの中で懸命に頑張る彼女の姿を見ていると過去の自分をよく思い出す。
(中略)
 春子がなれなかったアイドル。私がならなかったお母さん。人生は何が起こるかわからない。どこで何を選んで今の人生に至ったかはもうわからないけれど、ほんの小さな選択によって、春子が私の人生を、私が春子の人生を送っていたのかもしれない。私が選ばなかったもうひとつの人生。だから、春子とアキ、私と能年ちゃん、ふたつの関係が物語を通して同時に進行するという不思議な体験をしている。
 例えば、春子は過剰なほどに娘を守ろうとする。自分と同じ苦い思いを味わって欲しくないという思いが春子をそうさせる。娘を傷つけようとする敵に対して牙をむき暴言を吐き大暴れする。母親ならではの戦いっぶり。でも私の場合は、苦い思いも挫折も孤独も全て飛び越えて早くこっちへいらっしゃいという思いで能年ちゃんを見守る。まさに「その火を飛び越えて来い!」という心持ちで待っている。すぐに傷の手当ができるように万全な対策を用意して待っている。先輩ならではの立ち振る舞い。こんな風にフィクションとノンフィクションが同時に起こっている不思議な体験はなかなかできることではない。あまちゃんマジック。いやいや能年マジックなのだと思う。彼女が私の心を動かすのだ。

考えてみたら『最後から二番目の恋』の前に僕がドラマを見たのは『あまちゃん』でした。大瀧さんも久しぶりに夢中になって見た朝ドラだったようです。僕が見始めたのは最終回に近かったのですが、そのあと再放送を全部録画して見ました。大瀧さんが夢中になって見られていたのもよくわかりました。なによりも大瀧さんの出身地である岩手が舞台であったこと。そして自分が曲を提供していた2人のアイドル、小泉今日子と薬師丸ひろ子が出演していたこと。ポスターとはいえ松田聖子も何度も映っていたし、小泉今日子の娘時代である有村架純さんは「風立ちぬ」をオーディションで歌っていました。

さらにいえば、というか大瀧さんが関心を持った大きなポイントは、いくつかのトライアングル構造が作られていたこと。まず、松田聖子、小泉今日子、薬師丸ひろ子というまさに大瀧さんが曲を提供した元アイドル。そしてアイドルを目指している能年玲奈、橋本愛、有村架純の3人。


この3人のうち、橋本愛さんは『あまちゃん』が始まる前からいくつもの新人女優賞をとっていて、その後も映画の主演をいくつもされています。

有村架純さんは今、映画、テレビ、CMとひっぱりだこのようで、今年の春から始まるNHKの連ドラの主演も決まっていますね。『最後から二番目の恋』の脚本家でもある岡田惠和の希望で主演が決まったそうです。昨年の紅白の司会も務められていましたね。

さて、能年玲奈さんは、といえば、現在、能年玲奈という名前で芸能活動ができない状態が続いています。「能年」というのは本名だし、このブログでも書いたように、あの木山捷平と深い縁があった姫路の南畝(のうねん)町ともつながりのある、古代からの由緒ある名前。それが使えない芸能界ってひどいというか怖いというか。おそらく相当大変な時期を過ごしていただろうとは思いますが、彼女のブログを見る限り、あの『あまちゃん』の頃の彼女の姿を保っているようです。小泉さんがいろんな形で励まし続けているんだろうなと思います。

昨年、「のん」という芸名で声優を務めた『この世界の片隅に』という映画が大ヒットして(まだ見ていないけど、できれば尾道の映画館で見れたらと考えています)、彼女も声優として大変高い評価をもらったようですが、でも声優でなく、女優として、おっ!!!と思わせる映画に出演してほしいと考えています(とある場所で聞いたあの話が実現して、あの人がぽろっと言ったことになれば最高なんだけど、これは秘密ですね)。


さて、『黄色いマンション 黒い猫』に収められた「アキと春子と私の青春」はこんな話で締めくくられています。


撮影中に二十歳になった能年ちゃんに、三つの鍵がついたネックレスを贈った。大人になるために必要な鍵。ゆっくり慎重に楽しんで大人のドアを開いて欲しい。ドアの向こうにはいつでも未来が待っている。必要ならばいつでも私も待っている。
「その火を飛び越えて来い!」

三つの鍵というのがなんともいいですね。「快盗ルビイ」の歌詞にも鍵という言葉が出てきますが、鍵穴のあるドアはきっとまっすぐな場所ではなくトライアングル構造になっていそうです。もしかしたらそれは「未来」と「希望」と「発展」の鍵なのかもしれません。武蔵新田のアーチにつけられた名前のように。


[PR]
by hinaseno | 2017-02-02 12:09 | 雑記 | Comments(0)