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2013年 09月 26日 ( 1 )



昨日のブログは時間がない中でバタバタと書いてしまって、 村上春樹編訳の『恋しくて』の話をすることができませんでした。副題が「Ten Selected Love Stories」となっているように、本当に素敵なラブ・ストーリーが並んでいます。どれもわりと最近書かれたものばかり。

昨日読んだのは「二人の少年と、一人の少女」。途中にこんな文章が出てきて思わずにっこり。
彼女はフォークソングのレコードをプレーヤーに載せ、じっと目を閉じてそれを聴いていた。ロイ・オービソンとフリートウッズとレイ・チャールズが好きだった。

ロイ・オービソンとフリートウッズが好きな17、8歳の女の子なんて最高ですね。

さて、ロイ・オービソンとフリートウッズといえば「ブルー」。「ブルー」といえば「海」。
というわけで、昨日は神戸の海文堂書店に行ってきました。
夏葉社から今月20日に急遽発売されることになった『海文堂書店の8月7日と8月17日』という写真集を買うためでもありました。
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写真を撮影されたのは、同じ夏葉社から出たばかりの『本屋図鑑』のイラストを描いている得地さんの旦那さんであるカメラマンのキッチンミノルという方。『多摩川な人々』という写真集を出されているんですね。多摩川は大田区のそばを流れている川。『早春』にも出てきて、僕にとっては縁の深い川です。機会があれば見たいですね。

さて、タイトルの8月7日と8月17日という日付は、この写真集に収められた写真が撮られた日。
この写真を撮った経緯については、ここに夏葉社の島田さんがとても素晴らしい文章を書かれています。読んでいて、ぐっときます。こちらの方の人ではない島田さんが、こんなにも海文堂のことを愛していたなんて、うれしいですね。でも、そういう本屋です。いや本屋の中の本屋です。

コミックはない。扇動的な言葉が並ぶ週刊誌もない。
考えたら、扇動的なタイトルの多い(現在の)経済や政治に関する本も置かれていなかった気がします。僕がその棚へ行ったことがないだけなのかもしれませんが。音楽も流れていない。こういう書店であり続けたのは僕の知る限り海文堂しかありません。

実は僕は、この2つの日付の間の8月15日に海文堂に行っていました。そのときにはもちろんこんなタイトルの写真集が出るなんて知る由もなく(知る訳ないですね)。
一番気になったのは、あの棚の写真が載っているかどうか。もちろんありました。この写真。
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関西にゆかりのある小さな出版社の本が多く置かれている棚です。特に鶴見俊輔の本を多く出している「Sure」という出版社の本が好きで、海文堂に来ると必ずここに立ち寄って、気に入ったものがあれば買っていました。この写真の上段に鶴見俊輔の本が並んでいます。8月15日に行ったときも、この棚で鶴見俊輔の『もうろく帖』という本を買いました。でも、この棚にその本はありません。僕が買ったときにもたった一冊しかありませんでしたから(「か 鶴見俊輔」とだけ見えるのは、『日本人は状況から何をまなぶか』ですね)。
つまりこれは僕が行った後、8月17日に撮られた写真ですね。下の「8月末で販売終了いたします。」と書かれた張り紙も8月15日にはありませんでした。
で、昨日行って見たら、そこの棚の本はすっかりなくなっていました。一冊も本がなくなっている棚はここだけでした。なくなることがわかっていれば、あれも、これも買っておけばよかった...。

その棚で僕が最後に買った『もうろく帖』に書かれている言葉をいくつか引用しておきます。鶴見俊輔が最近読んだ本や新聞の中から気に入った言葉を集めています。ところどころ鶴見俊輔自身の言葉も。いくつか引用します。名前がないのは鶴見俊輔自身の言葉。
土地と疎遠になった想像力は、すぐ理論の毒にやられる。
                       フラナリー・オコナー

わが宿のいささむら竹吹く風の
音のかそけきこの夕べかも
                       大伴家持

とどかないと知ってとどくにかける

戦争の話をするまで死ねないと祖父がいうので私は聞かない
                       高三・江夏祥子

横むいて志をおなじくする仲間

  (ふと浮ぶ)

で、最後のあとがきに書かれている最も新しい言葉(2010年2月27日)。
非凡に心をうばわれず、
平凡の偉大さを信じる

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by hinaseno | 2013-09-26 09:34 | 雑記 | Comments(0)