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by hinaseno
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Springsville in Tokyo #18 - まるでジオラマで作られているような風景


前回の終わりに今回は松本竣介の「並木道」のことを書くという予告をしましたが、あの絵のことを思い出したのは聖橋からの帰り道だったので、時系列的に聖橋の話をもう少し書いておきます。

聖橋でどうしても見たかった風景がこれでした。

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この風景の何かの写真で初めて見たときには本当に心がときめきました。神田川をまたいで三本の線路が交錯する。向こうに見える緑の鉄橋もなんともいい感じ。その鉄橋を渡って電車がやってきているのがJR総武線。その下にあるのが中央線。そして手前にあるトンネルは東京メトロ丸ノ内線。

この風景、山高登さんも描いています。

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山高さんの絵を見ると3本の路線全部に電車が走っています。僕もそういう瞬間を捕えたかったのですが、2本の線路に電車が走るところすらなかなか難しくて、結局、あの鉄橋を電車が渡って来る場面を撮りました。

時間があればいつまでも眺めていたい風景ですが、この写真も工事のために作られたネットの間から撮ったような気がします。


ところで、話はころっと変わりますが、つい先日観た映画の話を。

1950年代の映画が放送されると内容がわからなくても一応録っておいて、時間があるときに早送りで風景だけを追って観ているんですが(大瀧さんもそうされていたのではないかと。でなければあれほどの数の映画を観れるはずはないので)、ときどきおっと思うような風景が映っていることがあるんですね。で、先日観たのが2ヶ月ほど前に録っていた市川崑監督の『わたしの凡てを』という映画。市川監督の映画は正直全然観ていないのですが、この映画の主演が『早春』の池部良と『東京暮色』の有馬稲子だったので録画しました。公開は1954年。つまり『早春』の前年。

さて、映画を観ていておっと思ったのはこのシーン。

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向こうに見えているのはまちがいなくニコライ堂。いったいここはどこだろうと思っていたら次に映ったのがこのシーン。

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池部良の後ろに見える鉄橋は、聖橋から見えた鉄橋に間違いありません。

このあと女性が橋を渡るシーンが映ります。

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どうやらこれは神田川にかかる昌平橋。僕が聖橋から撮った写真の遠くの方に映っています。今も橋の照明灯があるみたいですね。

で、その橋のあたりで撮られたこのシーン。総武線の鉄橋の向こうに聖橋が見えます。

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そういえばと思って山高登さんの『東京昭和百景』を見たらこんな絵がありました。

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タイトルは「交差する街」(1990年)。上の映画のシーンとほぼ、というか全く同じ場所で描いていることがわかります。いやびっくり。山高さんは電車をいっぱい描き込んでいますね。空には飛行機まで。

『東京昭和百景』のコメントでこんなことを語られています。


「ここへ立つたび、この風景が子どもの頃持っていた絵本の1ページのようだと思う。乗り物好きの現在の子どもが見たら、どんな感想を持つだろうか。まるでジオラマで作られているような風景」

まさにそうですね。山高さんが童心に返ってわくわくしながら描いていたのが伝わってくるような絵です。

ところで『わたしの凡てを』はこの後も、おっと思うシーンがいくつも出てきます。まずはこのシーン。

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左に見える特徴的な建物ですぐに場所がわかりました。場所は五反田。建物は白木屋。で、白木屋の右に見えるのは池上線の五反田駅のホームですね。

次に映るのは五反田駅。これは山手線の五反田駅でしょうか。

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このあと五反田駅周辺の風景がいくつも映ります。小津はこの映画を観て『早春』や『東京暮色』のロケ地に五反田を選んだのではないかとふと考えたりも。

いちばん驚いたのはこのシーン。

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なんと恋に破れた(映画のストーリーはわからないけど、たぶん)有馬稲子さんが線路に飛び込みかけているんですね。実際にはぎりぎりのところで踏みとどまったんですけど。

『東京暮色』では汽車にはねられてしまう(そのシーンは映されてはいないけど)役柄を演じたのは偶然なのか、あるいは小津がこの映画を観て思いついたことなのか。


最後にはこんな人が登場してまたまたびっくり。

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あのトニー谷がミス日本を選ぶショーの司会者をしてたんですね。例の「レイディース・アンド・ジェントルマン」をはじめおきまりのセリフを連発。このときは人気絶頂の時のようです。

トニー谷という人のことを知ったのは大瀧さんがプロデュースしたこのCDでした。

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解説は小林信彦さん。小林さん、お身体の方心配しています。


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by hinaseno | 2017-05-30 12:57 | 雑記 | Comments(0)