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by hinaseno
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Springsville in Tokyo #11 - 野口久和 THE BIG BAND with “BREEZE”ライブ(4)


唐突ですが、これから「地下」の時代がやって来そうな予感。

東京に行って以来(というか実際には行く少し前から)「地下」がなんだかキーワードになってしまいました。

アゲインも地下。先日のライブがあったTOKYO TUCも地下。できれば恐る恐るとかこそこそではなく、スキップしながら階段を駆け下りて行けるような地下が身近にあってほしいなと。別にそこでレジスタンスをするわけではありません。でも、きっと未来は地下から始まるだろうと。

そういえばライブ会場でも言われていましたが、来週土曜日の「出没!アド街ック天国は神田の岩本町編。なんとTOKYO TUCのある場所なんですね。で、TOKYO TUCも映るそうです。

もしこのライブに行かなければ岩本町ってどこ?だったんですが、岩本町は遠く離れていてもすごく身近に思える場所になりました。

この番組、昨日こちらでも見れることがわかったので予約録画しました。石川さんがスキップをしながら駆け下りた岩本駅の地下鉄の階段が映るのかな。楽しみですね。

テレビの話ついでですが、昨日の『ブラタモリ』は僕の愛する町の一つ、尾道でした。いろいろ書きたいけど、今はやめておきます。で、驚いたことに来週のブラタモリは倉敷。ついにタモリさんが岡山へ。「出没!アド街ック天国とともに来週の土曜日が待ち遠しい。


ところで昨日ブログを書き終えた後、『One Night Stand!』のライナーノーツに野口さんが書かれた解説を読んでいたら興味深いことがいろいろと。

ビッグバンドを結成するにいたったのは今回ライブをしたTOKYO TUCの方の進言と強い後押しのおかげだったと。で、こんな言葉。


「どうせやるならメチャクチャ楽しいバンドに・・・音楽だけでなく、エンターテインメントの部分もしっかり確立したかったので、まずバンドシンガーは絶対必要だと。幸いすぐ側に「BREEZE」という仲間達がいたので、コーラスグループ付き総勢21人というビッグバンドが誕生!これは現在の日本のバンドシーンの中ではとても贅沢なことではないでしょうか?そしてモットーとしては「ジャンルにこだわらずメロディの良い曲を演奏する」「長いアドリブは演らない」「譜面はすべて手書きで!(この点については自分が超アナログ人間だということもありますが、ビッグバンドに限らず最近のコンテンポラリージャズ色の強い、いかにもコンピューターを使って作ったようなサウンドに対するアンチテーゼでもあります)」

なるほど、でした。今回のライブはエンターテインメントとしても最高に楽しめるものでしたが、なによりも野口さんの演奏された曲はどれもメロディの良い曲だったというのがいちばんの感想。僕は基本的には音楽をメロディ(とアレンジ)で聴く人間なので。

そういう野口さんですから、ただ石川さんに頼まれたからとか石川さんが好きだからということだけで曲を演奏するはずがないんですね。


思わず笑ってしまったのが「Cradle Song」についてのこんなコメント。


「どこか外国の避暑地の昼下がり、ハンモックに揺られて・・・というイメージ」


昨日僕が書いていた通りですね。まさに野口さんがイメージしていた通りに受け取っていたんですね。


前置きが長くなりましたが、ライブは第2部へ。時刻は夕方の6時。

まずは野口久和 THE BIG BANDによる演奏が3曲。1曲目は超アップテンポの「Dizzy Fingers」という曲。野口さんが超高速で演奏するピアノがすごかったです。ここにLiberaceというピアニストの演奏シーンがありますがこんな感じ。




で、野口さんの凄いのは合間合間にバンドの指揮もするんですね。昔、ビデオでグレン・グールドが指揮をしながらピアノを弾いているのを見てびっくりしたことがありましたが、そういうのを生で見たのははじめて。というかめったに見れるものではないですね。一旦ピアノから離れて指揮をして、で、ピアノに戻ってすぐに弾き始める。言葉で言うのは簡単だけどすごいことです。


2曲目は野口さんのファースト・アルバム『How About A Drink?』に収録された「Cat Walk」。明らかにヘンリー・マンシーニのこの「ピンク・マンサーのテーマ」を下敷きにして作られた曲ですね。これもいい曲でした。

この日のライブではヘンリー・マンシーニの「Mr. Lucky」も演奏されていたので、きっと野口さん、ヘンリー・マンシーニがお好きなんでしょうね。僕もヘンリー・マンシーニは大好きです。


大好きといえば、この「Cat Walk」を演奏した後に野口さんの好きなアレンジャーの話をされたんですが、この話のあたりから僕のワクワク度合いはさらに高まっていくことに。で、野口さんが好きだというアレンジャーの名前を聞いて、野口さんのバンドで演奏した曲がそのアレンジも含めて僕の好みにぴったりだと感じた理由もよくわかりました。

まず最初に名前を挙げたのがクインシー・ジョーンズ。クインシー・ジョーンズといえば僕にとってはなんといってもレスリー・ゴーアの楽曲のアレンジですね。

で、次がこの日のブログで紹介したネルソン・リドル。

そして3人目がニール・ヘフティ。

ニール・ヘフティはジャズ畑では最も好きなアレンジャーだったので、昔、中古レコード屋さんを回ってはニール・ヘフティのレコードを集めていました。カウント・ベイシーの『Basie Plays Hefti』なんて死ぬほど好きです。

そういえばニール・ヘフティのものでいちばん探したのがこのレコード。

Springsville in Tokyo #11 - 野口久和 THE BIG BAND with “BREEZE”ライブ(4)_a0285828_12390866.jpg

ジョニー・ソマーズの『The "Voice" Of The Sixties!』。

知り合いがこれを持っていて、ジャケットを含めて最高だったので、どうしても欲しくて大阪あたりまで探しに行きました(もちろんまだネットを利用していない頃の話)。でも、結局、見つからなかった。

で、ネットを利用するようになって知ったのが海外のオークションサイトeBay。初めてeBayを利用して買ったのがこのレコードでした。結構高かったけどどうしても欲しかったので。

そういえばそのeBayの話もこのライブの時にちらっと出てきましたね。


さて、野口さんがとりわけ好きなアレンジャーとして最後に語られたのがギル・エヴァンス。

ギル・エヴァンスといえばなんといってもあれだなと僕が頭に描いていたら、「もし、無人島にもっていくレコードがあるとすれば」という話がでてきてびっくり。僕がそのレコードを知ったきっかけはまさに『無人島レコード』という本だったので。

で、野口さんの口から語られたのはまさにその『無人島レコード』という本で知ったレコード、マイルス・デイヴィスの『マイルス・アヘッド』。そのアルバムはこの日のブログで紹介していたもの(マイクロスターの「My Baby」の話のつながりでしたね)。ピチカート・ファイヴの小西康陽さんが『無人島レコード』という本で選んでいたものでした。こんな写真も載せていますね。僕もこれを読んで『マイルス・アヘッド』を買いました。

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というわけで野口さんのこの話が出た瞬間から僕の頭の中ではこのアルバムの1曲目の曲が流れ始めてきて、東京にいる間中ずっと脳内再生を続けていました。本当は実際の曲を聴きたくて仕方がなかったけど僕のスマホにはその曲を入れてなかったので、東京から戻ってきたとき、いろいろと買ったりもらったりしたCDをおいといて、まず最初に『マイルス・アヘッド』に針を落としました(持っているのはCDなので、あくまで比喩)。

大好きなその1曲目の曲。タイトルは「Springsville(スプリングズヴィル)」。




野口さんがライブで実際に演奏されたのは『マイルス・アヘッド』とは別のアルバムに収録された「Jambangle」という曲。でも、僕の頭の中には「Springsville」がとめどなく流れてきて、それとビッグバンドが演奏する曲が重なってちょっと夢心地な気分になっていたときにBREEZEが再登場。

ついにそのときがやってきました。


by hinaseno | 2017-05-21 12:44 | 雑記 | Comments(0)