Bob & Sheriの「The Surfer Moon」は現在では(たぶん)公式な形でいくつかのCDに収録されているようです。僕が手に入れたのは『Surf Party: The First Wave』という10枚組のCDボックス。廉価盤なので解説は一切なし。ただ、オリジナルマスターから録音されたものかどうかはわかりませんが、音は『Still I Dream of You: Rare Works of Brian Wilson』よりもはるかにいいです。iTunesからもダウンロードできます。
ネット上で聴ける音源で一番いいのは、こちらのサイトに貼られていたオリジナルシングルからの音源。これにはびっくりでした。このサイトを運営しているももちゃんという人、とてつもなく貴重なレコードをいくつも紹介していますが、一体どういう方なんでしょう。
YouTubeにはいくつか音源が貼られていますが、一番いいのはやはりオリジナル・シングルから録音していると思われるこの音源でしょうか。
ちょっとびっくりしたのはこちらの音源。
あまり音も良くなくて、途中、サビの一番いいところで針飛びもしています。でも、コメントを見たらこんな言葉が書かれていたんですね。びっくりでした。
「sheri is my grandma. Isn't that cool?」
「Sheriは私のおばあさんよ。いかすでしょ?」と。
どうやらこの音源をアップしたのはSheriことCheryl Pomeroyの孫娘さんのようです。下のコメントを見ると「これはオリジナルのレコードよ。傷があったりして音もクリアはないけどね」とか、さらには「おばあちゃんはこんなことも言っていたわ。ブライアンはこの曲をプロデュースしたけど、彼女とそのパートナーのボブも曲の一部を書いていたと。でも、レコードにはクレジットしてくれなかったと」。
コメントは7年ほど前のもの。そのときにはおばあさんのSheriも元気だったみたいですね。今も元気でいるんでしょうか。
さて、いい音で聴いたBob & Sheriの「The Surfer Moon」。とにかく素晴らしいの一語でした。
僕が読んだ限りこの曲に関しての感想を書いているすべての人がオケも歌もビーチ・ボーイズの方が格段にいいと言っていますが、僕は決してそうは思わない。むしろ本来この曲はこんなふうに男女のデュエット(基本的には女性のリードボーカル)で、ドゥーワップスタイルのシンプルなサウンドで歌われるべき曲だったんだなと思いました。
ブライアンのプロデュースは正しかったと。
Sheriもいい声しています。決してうまいとは言えないけど、でもこの曲にぴったりの歌い方をしています。
なんとなく先日亡くなったロージーがリードシンガーとして歌ったこの「Angel Baby」にもつながる雰囲気を持っています。
ところで、曲の初めに変な音が聞こえてきますね。一体なんの楽器だろうかと思っていたら、実はこれはコオロギの鳴き声。家の窓の外に出て録音したようです。Sheriの娘さんも書いていますね。
「The Surfer Moon」に関しては面白い発見がいくつもあったんですが、その一つがこれ。
これはビーチ・ボーイズ関係の驚異の音源集『Unsurpassed Masters』の『 Vol. 1』に「The Surfer Moon (Inst. Take 1)」「The Surfer Moon (Inst. Take 2)」「The Surfer Moon (Inst. Take 3)」というタイトルで収録されているのをまとめたもの。このオケはまさにBob & Sheriのバージョンの「The Surfer Moon」のオケですね。Take 2から例のコオロギを鳴き声も入っています。今頃こんなことに気づくとは、でした。
それにしてもこのオケは華麗なストリングスの入ったビーチ・ボーイズのものとは比べ物にならないほどシンプルですが、例の循環コードを使ったまさにドゥーワップ調の曲であることを考えると、本来はこんな演奏がふさわしい曲なんですね。
さて、「The Surfer Moon」の話は4回くらいで終わる予定でしたが、この曲に関してもう一つびっくりする音源が存在することがわかったので次回その話を。