ビーチ・ボーイズの「サーファー・ムーン」はとびっきり素敵なバラードでもちろん昔から大好きですが、でも、以前紹介した「私的ベスト30」には入れていない。同タイプのバラードの中では、どちらかといえば平凡な感じの曲に捉えていたので。他のバラードが素晴らしすぎるからなんですが。
とりわけ「サーファー・ムーン」の収録されたアルバム『サーファー・ガール』には「ユア・サマー・ドリーム」という屈指の名曲があって、それと比べてしまって僕の中ではどうしても影が薄くなっていました。「ユア・サマー・ドリーム」は1曲だけをリピートしたことは何度もあるけど、たぶん「サーファー・ムーン」はアルバムの流れの中で聴き流していただけ。1曲だけをリピートして聴くようなことはありませんでした。
さらにいえば『多羅尾伴内楽團 Vol.2』も正直あんまり熱心に聴いてきたとはいえなかったので、今回のシングル盤に針を下ろしたときにはいろんな意味で超新鮮に響いたんですね。しかもオリジナルには入っているはずの波の音が入っていない!
ただ、よく調べたら『NIAGARA BLACK VOX』に収録された『多羅尾伴内楽團 Vol.2』は波の音が入っていないことがわかりました。いかに聴いていなかったかがわかります。
で、改めて聴き比べて見たら何か違う。『NIAGARA BLACK VOX』に収められたものはステレオ、今回のシングルはモノ・ヴァージョンでした。
YouTubeに『NIAGARA BLACK VOX』の波音のないステレオ・ヴァージョンがあったので貼っておきます。
ところで、この多羅尾伴内楽團の「サーファー・ムーン」のシングルに最初に針を下ろして、そのイントロが流れてきたときに、僕の口をついてきた歌詞は、
♫There's a moon in the sky somewhere I know♫
ではなく、
♫3度鳴らしたクラクションが彼のお迎えの合図♫
でした。
竹内まりやの「真冬のデイト」という曲。
『NIAGARA 45RPM VOX』に収められたシングルを順番にA面B面と次々に聴いていたので、曲名をきちんと確認しなかったせいもあったんですが、似てるんですね。雰囲気が。
改めて多羅尾伴内楽團の「サーファー・ムーン」と「真冬のデイト」のイントロを聴き比べてみたら楽器の使い方から音の響きまでそっくり。このAmazonのサイトの『Denim』のディスク2に収められたものでイントロが視聴できるので聴いてみてください。
ちなみに「真冬のデイト」のアレンジをしているのはご主人でもある山下達郎。達郎さんは多羅尾伴内楽團には参加していませんでしたが、でももちろんレコードも持っていたはずですし、何度も聴いていたはず。
達郎さんもビーチ・ボーイズが大好きなので、このリズムの曲ならばビーチ・ボーイズっぽくと考えてやったんでしょうけど、結果的に一番似ていたのが大瀧さんのアレンジした「サーファー・ガール」だったというのが、なんともいいですね。
さて、『NIAGARA 45RPM VOX』の楽しみの一つは、シングル盤のジャケットの裏側を大きく見れること(小さいのは『All About Niagara』で見ていました)。本来はそこに歌詞が載っていたりするんですが、このレコードはインストなので歌詞はありません。その代わりに『多羅尾伴内楽團 Vol.2』のアルバムに収められた曲を全曲紹介しています。作曲者と、それを歌ったり演奏したオリジナル・アーティストの名前。
「サーファー・ムーン」の作曲者はもちろんブライアン・ウィルソン。作詞もブライアンだったんですね。で、オリジナル・アーティストの名前を見たらこう書かれていました。
Bob & Sheri
ボブ&シェリ!?
ビーチ・ボーイズではなく。