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「小津がわかるようになる感じと似たようなものがあるんだよね、インストなんてね」


ここのところずっと家のパソコンでは「多羅尾伴内楽團」関係の音楽を聴いています。多羅尾伴内というのは大瀧さんの変名。いちばん有名なところでは松田聖子の「風立ちぬ」の編曲者のクレジットは多羅尾伴内となっています。

ということで、多羅尾伴内楽團とは大瀧さんがプロデュースした楽団で、編曲は大瀧さん。『多羅尾伴内楽團 Vol.1』と『Vol.2』という2枚のアルバムを出しています(現在出ているCDはこの2枚のアルバムを1枚にしたもの)。

ちなみにこれが『Vol.1』のジャケット。テーマは冬。

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そしてこちらが『Vol.2』のジャケット。テーマは夏。

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大滝さんの写真がかなり大きく写ってますね。変な格好ですが、いずれのジャケットもパロディになっています。『Vol.1』はジャック・ニッチェ、『Vol.2』はビーチ・ボーイズの『サーフィンUSA』かな。超照れ屋の大瀧さんも多羅尾伴内という仮の姿を借りるとおかしなコスチュームを着た変装も平気なようです。


僕の持っている『多羅尾伴内楽團』のレコードは1984年に発売された『NIAGARA BLACK VOX』に入っていたもの。2007年に出たCDも買いましたが、いずれも正直あまり聴いていませんでした。

理由は、歌のないインストだから、ということになるでしょうか。別にインストが嫌いというわけではないけど、どうせ大滝さんのアルバムを聴くのならやはり大瀧さんの歌の入っているものを聴いてしまいます。

でも、ここ数年、大瀧さんの曲でもどちらかといえば歌の入っていないカラオケ・ヴァージョンをよく聴くようになっていて、で、ようやく『多羅尾伴内楽團』にたどり着いたんですね。オリジナルと聴き比べるのも楽しいし、なんでこんな曲を入れたんだろうと思えるものもあるし。と同時に、この曲があの曲につながっていたんだなと今更のように気がつかされるものもあります。『Vol.1』の「雪やコンコン」はもろに「君は天然色」だし。

で、その流れでやはりちゃんと読んでいなかった『大瀧詠一 Talks About Niagara』の『多羅尾伴内楽團』に関する大瀧さんのインタビューを読んだら、大瀧さんのこんな発言を見つけて思わずニンマリでした。


「だいたい小津がわかるようになる感じと似たようなものがあるんだよね、インストなんてね」

ところで今一番のお気に入りは『Vol.1』の1曲目の「Mr. Moto」。オリジナルはThe Belairs(The Belairesと記載されることも)のこれ。




サーフィン・ソングでは超有名な曲ですが、なんでこれが「冬」がテーマの『Vol.1』の1曲目なのか意味がわからない。「霧の彼方に」という邦題がついているけど、この曲にもともとこんな邦題がついていたんでしょうか。


オリジナルの「Mr. Moto」はイントロのエレキギターの演奏が最も魅力的な部分なんですが、それを駒澤裕城さんのスティールギターでやっちゃうところががなんともおかしい。テンポもオリジナルに比べて妙にのろくてこれではとても波に乗れない。駒澤さんはもちろん真面目に演奏されているんでしょうけど。


ちなみに大瀧さんは「Mr. Moto」についてはこちらのThe Challengersが演奏したほうがお気に入りのようで、「ゴー!ゴー!ナイアガラ」のインスト特集でもかけていました。




途中のカスタネットが入るところが好きみたいですね。『多羅尾伴内楽團』でもやはりカスタネットが入れています。初期のスペクターサウンドにも通じるものがありますね。


「霧の彼方へ(Mr. Moto)」はシングル盤でも発売されていて(発売は1977年12月)、超のつくレア・アイテムで、とんでもない値段がついていたと思いますが、先月発売された『NIAGARA 45RPM VOX(ナイアガラ 45 ヴォックス)』に収録。このジャケット、いいですね。

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ジャケットの裏には大瀧さん自身によるこんな解説が書かれています。


原題はMor. Moto、オリジナルはBelaires。原曲とはアレンジが少し違っていて、駒澤裕城のむせび泣くようなスチール・ギターが聴きもの。この冬の哀愁サウンドの決定盤とも言えましょう。

どこまで本気なんだか。


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by hinaseno | 2017-04-17 13:26 | ナイアガラ | Comments(0)