人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno

「カナリア諸島にて」の中のロイ・オービソン(3)


今日は久しぶりの雨。雨の水曜日、雨のウェンズデイですね。

こんな日はコーヒーがひときわ美味しく感じられて、さあコーヒーをめぐる話を、と思いましたが、それはもう少し後にして、書きかけのままになっているこちらの話を。


ロイ・オービソンの「Only The Lonely」タイプの曲を下敷きにしたJ.D.サウザーの「ユー・アー・オンリー・ロンリー」みたいな作品を作りたいと考えて始まった『ロング・バケイション』プロジェクトで、いちばんのポイントになるのは他人に提供してボツになった曲ではない2つの曲「カナリア諸島にて」と「雨のウェンズデイ」であることは前に指摘しました。

この2つの曲に共通する特徴はなんといってもピアノ。いずれの曲にもピアノのソロの印象的なフレーズが出てきます。エンディングもピアノのやや長めのソロ。演奏しているのは松任谷正隆さん。ユーミンの旦那さんですね。

とりわけ「雨のウェンズデイ」のピアノの使われ方はJ.D.サウザーの「ユー・アー・オンリー・ロンリー」とかなり似ています。基本的には松任谷正隆さんのアドリブによる演奏が多そうな気がしますが、「ユー・アー・オンリー・ロンリー」を意識していることは明らか。

でも、もちろん大瀧さんなりの遊びが入っていて、♫Wow Wow Wednesday♫の後に出てくるピアノのフレーズはバート・バカラックの「Walk On By」。これの0:34あたりに出てくるフレーズですね。これは大瀧さんの指示。




ピアノのソロといえば最も気になるのは「カナリア諸島にて」のエンディングですね。大瀧さんの曲はほとんどが一発録りなんですが、このエンディングのピアノはあとでダビングで追加されたそうです。

その部分のメロディについてはこれまで長い間考えていて、やはり松任谷さんのアドリブなんだろうと思いつつも、大瀧さんの何らかの”指示(「こんな感じでやって」、という程度の)”があったはずだと思っているのですが、明確にこれだっというものは見つかっていませんでした。


でも、もしかしたら、ってことで、かなりこじつけ気味で考えたのは、ロイ・オービソンのこの「Come Back To Me (My Love)」のエンディングを参考にしたのではないかと。




「Come Back To Me (My Love)」は日本で全く評価されていなかったロイ・オービソンを何とか日本の人に広めようとして、日本独自にシングルが発売されてヒットした曲。大瀧さんもこの曲をとても愛していたんですね。その証拠に大瀧さんが亡くなった時に残されていたジュークボックスにロイ・オービソンの曲で唯一この曲が入っていました。

で、この曲の日本でのヒットに尽力した人の中心にいたのが朝妻一郎さんでした。大瀧さんがJ.D.サウザーの「ユー・アー・オンリー・ロンリー」みたいな作品を作ろうと考えたときに、その下敷きになったロイ・オービソンの「Only The Lonely」タイプの曲のひとつである「Come Back To Me (My Love)」を、朝妻さんへの贈り物として、そっと、わかる人にはわかるという形で入れたのではないかと。


こじつけと言われればそれまでですが。


by hinaseno | 2017-11-08 16:00 | ナイアガラ | Comments(0)