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by hinaseno
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「そのころ、ポッと「カナリア諸島にて」ができて、朝妻さんとこ行って喜んだんだけどね」




「朝妻一郎さんのこと」というタイトルでいろいろと書いていこうと思いましたが、大瀧さんの話がいっぱい出てくるので、タイトルはそのときそのときの話で決めていくことにしました。


朝妻一郎さんといえば、大瀧さんが発した2つの言葉が僕の中で強く印象に残っています。ひとつは大瀧さんのことを知った頃に読んだ本の中に載っていたインタビューの中の言葉。もうひとつはラジオデイズの「大瀧詠一的」の中で、ちらっと発せられた言葉。後者は直接朝妻さんの名前は出されなかったけれども、後で調べて、ああ、それは朝妻さんのことだったんだなとわかったんですね。

今回の朝妻さんの放送を聞いていたときに、大瀧さんと一番多くアメリカンポップスの話をしたはずの朝妻さんが紹介するアメリカンポップスを心ワクワクしながら聴く一方で、後者の立場にいる朝妻さんのことを考えずにはいられませんでした。ただ、その立場のことを書いちゃうと、後が書きにくくなりそうなので、とりあえずそれはおいておきます。


さて、大瀧さんのことを知った頃に読んだ本というのは萩原健太さんの『はっぴいえんど伝説』(1983年)。それはあの『レッツ・オンド・アゲン』を出した後の、『ロンバケ』誕生前夜の話。


 このLPを最後にコロムビアとの契約が切れてーー切れたんだけど、発売権は残ってたの。二年間。だから、他で僕がソロ出しても、旧譜はコロムビアから出てる。と、市場が混乱するじゃない。それ避けようと思って待ってたの。レーベルを大切にしたかったんだね。だって、ナイアガラがなくなったら大滝詠一もなくなるって思ってたからさ。
 で、その間、またCMやったり、業界の出版物に文章書いたり、ロフトで公開DJしたり、他人に曲をチョコチョコ書いて、みんなボツになったりね(笑)。一人で腹立ててたね。
 そのころ、ポッと「カナリア諸島にて」ができて、朝妻さんとこ行って喜んだんだけどね。”あ、そう”なんて、意外に本気にされなかったの、実は。レコーディング始めてからでも、まだ本気にされなかったみたいよ。それだけ、過去裏切った事実ってのが深く残ってたんじゃないかな、みんなに……。

最初ここを読んだときは「朝妻さんってだれ?」でした。朝妻さんはアメリカンポップスの中でも胸キュンな曲が大好きで、で、大瀧さんにもそういう曲が書けることを知っていたので、『ナイアガラ・カレンダー』を出したときには大瀧さんに「Blue Valentine's Day」や「真夏の昼の夢」みたいな曲を集めてアルバムを作ろうよと言ってたんですね。ところが大瀧さんが出したのはインストルメンタルの『多羅尾伴内楽團』や、さらには冗談としか思えないような曲ばかりを集めたあの怪盤『レッツ・オンド・アゲン』。「過去裏切った」っというのはそういうこと。


でも、その『レッツ・オンド・アゲン』を出したあとに、大瀧さんは他人への提供曲やCMソングという形で、そういう胸キュン路線の曲を作り始めます。まあ、お金のこともあるはずなので、大瀧さんとしてはやはり採用されることを望んでいたはずだけど、結果的にはほとんどがボツ。とは言え、大瀧さんとしてはある種の確信のようなものはつかんだんでしょうね。で、ある日、大瀧さんは朝妻さんのところに行って、まさに朝妻さんが望んでいたようなアルバムを作ることを告げます。

『ロング・バケーション』はこの時期に作られたボツ曲が中心となっているわけですが、でも、最初に自分自身の新しいアルバムのために作ったのは「カナリア諸島にて」でした。


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by hinaseno | 2017-08-31 13:21 | ナイアガラ | Comments(0)