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by hinaseno
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「綴り不思議」って、不思議


シリア・ポールさんのことを書きながらずっと彼女のアルバム『夢で逢えたら』を聴いていました。

『夢で逢えたら』のアルバムで好きな曲はといえば、なんといっても「The Very Thought Of You」。それから「Tonight You Belong To Me」、「Walk With Me」と続きます。「夢で逢えたら」は別格。

今回何度も聴いていていて、なぜか一番引っかかったのは「恋はメレンゲ」でした。大瀧さんの『ナイアガラ・ムーン』に収録された曲のカバー。女性が歌うということで、少しだけ女性言葉に変えられています。

で、一番引っかかったのは、1番の最後と、エンディングに出てくる「つづりふしぎ」という言葉。

いちおう「綴り不思議」と聞き取れて歌詞カードを見てもそうなっていたんですが、でもはっきり言って意味不明。ちなみに「メレンゲ」の綴りは英語・スペイン語ともに”merengue”。ちっとも不思議な綴りではありません。

もしやと思って、この曲の下敷きになっているイーディ・ゴーメの歌った「恋はボサ・ノバ(Blame It On The Bossa Nova)」の歌詞を見たら”magic spell”という言葉を発見。これを「綴り不思議」と訳したんですね。でも”magic spell”は本来「魔法の呪文」という意味。

ちょっと気になったので『ナイアガラ・ムーン』の30周年盤が出た時のインタビューを見たら、「恋はメレンゲ」のこの「綴り不思議」という歌詞についての話が出ていました。聞き手は湯浅学さん。


湯浅:「綴り不思議」というのもありますね。”magic spell”。
大瀧:そうそう。「綴り不思議」とは普通は訳さない。そのまんまなんだよな(笑)。「魔法の呪文」じゃああんまり当たり前なので。

ということで意味なんてものを考えていてもしょうがないですね。


ところで「恋はメレンゲ」は曲だけでなく歌詞も「恋はボサ・ノバ」のパロディになっていることがわかったので、それをもう少し分析してみました。その前にシリア・ポール・バージョンの「恋はメレンゲ」の歌詞を。


あれはダンスパーティーの夜
あなたの目に魅きつけられ
一緒に踊ったあのメレンゲ
震えが止まらなかった

フルーツカラーのお月様も
キラキラ輝くお星様も
一緒に踊ったあのメレンゲ
二人は恋におちた

(恋はメレンゲ) 彼はとっても
(恋はメレンゲ) うまく踊ったの
たった一度のダンスで ロマンスの花が咲く
恋はメレンゲ 綴り不思議

いつの日か子供達に
二人のロマンス聞かれたら
一緒にきっとこう言うでしょう
メレンゲのせいよと

(恋はメレンゲ) 彼はとっても
(恋はメレンゲ) うまく踊ったの
たった一度のダンスで ロマンスの花が咲く
恋はメレンゲ リズム魔法
たった一度のダンスで ロマンスの花が咲く
恋はメレンゲ 綴り不思議 不思議

で、これを英語の歌詞と比べていたんですが、そういえばと思って東京に行く前に中古レコード店で見つけた「恋はボサ・ノバ」のシングル盤のレコードの歌詞カードの日本語訳を見たら、なんとなんと。大瀧さんはこの日本語訳をパロディにしていたことがわかりました。

これが「恋はボサ・ノバ」の日本語訳。表記はそのままにしています。


ダンスで彼に目をつけたの
悲しそうに、はづかしそうに一人ぼっち
踊りはじめてしばらくしたら
この人こそはと思ったの。

ボサ・ノバのせいよ
魔法のようなあのリズム
ボサ・ノバのせいなの
彼が上手に踊ったわ
たった一度のダンスに始って
直ぐに素敵なロマンスになった
みんなボサ・ノバのせいなのよ
恋の踊り、ボサ・ノバ。

お月様のせいではなかったかしら
いヽえボサ・ノバよ
お星様のせいだったかしら
違うわ、ボサ・ノバよ
それじゃ音楽のせいだったの?
そうなのボサ・ノバのせいなのよ。
恋の踊りのせいだったの。

彼と結婚の約束したわ。
そして子供も沢山つくるの
子供達にロマンスを聞かれたら
すぐに心からこう言うの。

ボサ・ノバのせいよ
魔法のようなあのリズム
ボサ・ノバのせいなの
彼が上手に踊ったわ
たった一度のダンスに始って
直ぐに素敵なロマンスになった
みんなボサ・ノバのせいなのよ
恋の踊り、ボサ・ノバ

「たった一度のダンスで ロマンスの花が咲く」や「いつの日か子供達に 二人のロマンス聞かれたら 一緒にきっとこう言うでしょう メレンゲのせいよと」なんて、ほぼそのままですね。

面白かったのはこの日本語訳をした人が”magic spell”を「魔法のようなあのリズム」と訳していたこと。「恋はメレンゲ」の「リズム魔法」はここからきてたんですね。同じ部分に使われていた「リズム魔法」と「綴り不思議」はいずれも”magic spell”からきていたとは。


もうひとつ面白かったのは「お月様」と「お星様」のこと。これについても大瀧さん、結構遊んでいるんですね。特に「お星様」のほうが、最初はなんのこっちゃでしたが、意外なところで答えを発見。気づけた自分は偉いなと自画自賛したくなりました。

それについてはまた次回に。


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by hinaseno | 2017-07-05 13:16 | ナイアガラ | Comments(0)