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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno

Springsville in Tokyo #30 - あれもこれも山高登さん


おひさまゆうびん舎に夏葉社の本が置かれるようになって、最初に購入されたのがYさん。購入された本は関口良雄著の『昔日の客』。

はじめてYさんにお会いしたときに『昔日の客』がいかにすばらしい本であるかを語られたあと、さらに熱い口調でこの本の口絵と裏表紙の版画を描いている人またすばらしいんだと絵を指差しながら教えてくれたのが山高登さんでした。

これが口絵(旧版の三茶書房版には本物の版画が使われています)。

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で、これが裏表紙の版画。

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縁というものは不思議なもので、その日に同時にYさんから「あなたと同じ岡山出身の作家で姫路にも住んでいたことがある作家がいてね」ということで教えてもらったのが木山捷平。木山捷平のことを意識し始めたときに村上春樹さんの『サラダ好きのライオン』に『木山捷平全詩集』の話が出てきて、ちょっとびっくりすることになります。例の「秋をけりけり」と題されたエッセイ。こんな話が出てきます。


この「木山捷平全詩集」という箱入りの本を、青山通りの古本屋で見つけました。同じ内容のものを文庫本で持っていたので、「三千円かあ、どうしようかな」と迷ったんだけど、結局買った。でも詩集って、箱入りみたいなかたちで持っているといいものです。たまにしか読まなくても、人生で少し得をした気持ちになれる。

ということで僕は講談社文芸文庫から出ていた『木山捷平全詩集』を買って、「秋 - 大西重利に -」という詩に出会って(まさに運命の出会い)、それを調べる過程をほぼ同時進行的に語るつもりでこのブログを始めました。

で、あるとき気がついたんですね。村上さんが古本屋で買ったという箱入りの『木山捷平全詩集』は、『昔日の客』の旧版と同じく三茶書房から出ていて、いずれも山高登さんが装幀していたということを(この2冊を手に入れるのは大変だったけど)。

改めて考えれば、村上さんに買おうと決心させたのは、山高さんが装幀された本の美しさがあってこそのことだろうと思います。


そういえばYさんと知り合うきっかけになったのは、僕が当時、小沼丹という作家の本を探していたということだったんですが、僕が古本屋という場所に足を運び始めて最初に手に入れた小沼丹の本が山高さんが装幀と表紙の絵を描かれていた『藁屋根』だったのもあとで気がついてびっくりでした。ちなみにそれを見つけたは神戸の六甲の口笛書房。本を買ったあと、お隣の住吉まで歩いて行って完成間近の内田先生の凱風館を見てきました。


もうひとつ、夏葉社から出版された『東京の編集者』にも書かれている通り、山高さんはわが岡山出身の大好きな作家、内田百間とも関わりが深く、百閒関係の本を山高さんがいくつも装幀されていることがわかったのもうれしいことでした。


という山高さんというのは本当に大事な人になって、Yさんとともに山高さんの本を集める日々が始まりました。Yさんが山高さんから頂いたという作品リストに載っていないものを見つけてYさんを驚かせるというのも楽しみの一つでそれは今も続いています。


さて、その展示会を見に新宿に行きました。実は新宿駅で出口を間違えてかなり時間をロスしてしまい、駆け足で見ることになってしまいました。

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by hinaseno | 2017-06-13 12:03 | Comments(0)