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by hinaseno
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Springsville in Tokyo #24 - 大瀧さんと川本さんが立ったあの場所へ(3)


久しぶりにこれを聞きました。2009年の暮れに収録された「大瀧詠一的2009」。録音された場所は築地。話の中心はもちろん大瀧さんが2年余りにわたって研究してきた成瀬巳喜男の『秋立ちぬ』と『銀座化粧』のロケ地巡りの話。内田先生と石川さんと平川さんの3人は、この対談の前に大瀧さんから『東京人』2009年11月号に載ったものとは別の、さらに詳しい資料を渡されていたんですね。


この対談をはじめて聞いたときには語られていたことのほとんどはちんぷんかんぷん(でも、大瀧さんの話は内容がさっぱりわからなくてもおもしろいけど)。その後『銀座化粧』を見て、さらに『秋立ちぬ』も見て、築地のあたりの地図を見たりしながら知識が増えてきて、聞き返すたびに少しずつ話の内容がわかってきたのですが、今回、新富橋まで行ってあのあたりの風景を見てようやくほぼ全ての話が理解できるようになりました。でも、改めて、やっぱり何度聞いてもおもしろいですね。同じところで何度も笑ってしまうし、何度も感心してしまう。

そういえばこの対談で、大瀧さんは新富橋の下の首都高を車で何度か走ったと言っていました。かつて新富橋の下にボートの発着所があったので(『銀座化粧』に映っています)そのボートに乗った感じを知りたいということで車で走ったそうです。風景という”カラオケ”のなかをいろんな登場人物になって動いてみる。やることが徹底しています。

大瀧さんはとにかくこのあたりの路地という路地をしらみつぶしに歩いたようで、古そうな家があれば訪ねていって話を聞いています。というわけで僕も新富橋のあたりの古そうな家を見つけては、大瀧さんが訪ねたのではないかと考えながら町を歩きました。

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家に戻って確かめたら、下の大野屋は『東京人』に掲載された古い写真に写っていました。


ところで「大瀧詠一的2009」では、その大瀧さんの聞き込み調査についての平川さんとのおもしろいやり取りがあったので紹介します。もちろん実際のしゃべりを聞いたほうがおもしろいです。爆笑の連続。


平川:取材をかなりしてらっしゃって、聞き込みをやってるじゃないですか。刑事みたいな。
大瀧:刑事みたいって…、志村喬じゃないんだから。
平川:あれはどんな感じでやったんですか。下から出てったっていう…?
大瀧:まあ、いや、下から出ていったっていう言い方はちょっと。上からの物言いだとね…。
平川:相手は、”あの””あの”大瀧詠一だとはわからないわけですよね。
大瀧:だって「あの」って通じるのはさ、ここの一人か二人くらいのもんだよ。「あの」で通じたらこんな楽なことはないよ。
一同:大爆笑
大瀧:だいたい世の中、たとえば今の主流はって答えられない人が何割かいるのに、「あの」だけで通用する人、どれだけいるの。分野分野の中での「あの」はいるのかもしれないけど、ましてや普通の町へ降りて行って…。
石川:下からでなく普通にでしょ。
大瀧:普通だけど頼み込むわけだから、やっぱり横柄な態度では当然いけないわけですよね。
平川:でも、ここがこうだったんですかとかいうのを聞くときに写真かなんかを。
大瀧:持って行きますよ。
平川:映画のワンカットの写真をみせながら?
大瀧:そうです。DVDも持って行って、プリントしたものも持って行ってお話聞いてっていうことをしましたけど。
平川:相手は大学の先生かなんかだと最初は思うんですかね?
大瀧:う~ん。
平川:あるいは市役所の。
内田:(笑)市役所じゃないと思うけどな。
平川:地上げの調査をしている…(笑)。
大瀧:まあ、そういうようなこともお店なんかだとね、そういうこともあって訝しげに最初は見られるということはどこでもありますけど、それはまあ当然のことだと思うんだけど。それはちゃんとそういうようなことでやっていますけどね。
平川:なるほど。

いちばん笑ってしまうのは、このときには「あの」大瀧詠一と、「あの」を強調していた平川さんが、実は他の二人とは違って大瀧さんのことをほとんど知らなくて、最初は「このおっさん誰なんだ」って感じで僕たち大瀧信者にとっては考えられないような失礼な(?)言動をいくつもされていたのに。でも、この成瀬研究を知ったあたりから「このおっさん、ただものではない」と思い始めるんですね。で、このとき大瀧さんから冗談交じりに聞き込みの仕方を聞いた平川さんが、数年後に同じような調査をされたわけですからおもしろいものです。


ところで僕は地図を見ながら新富橋周辺を30分近く歩いていたわけですが、ある重要なことを見落としていたことに昨日気がついて唖然。すぐ近くに地下鉄の新富町駅があったんですね。そこから東京メトロに乗っていれば乗り換えが一つくらいで新宿に行けたのに、僕はわざわざ和光のそばの銀座駅まで戻ったんです。

なにやってんだか、でした。


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by hinaseno | 2017-06-05 14:42 | 雑記 | Comments(0)