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東京・池上にあった小泉今日子さんの家


画面に表札が大きく映し出される。例によって静止画像に。そこには番地まで詳しく書かれています。

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この家に住んでいる3人姉妹の次女役を演じていたのが小泉今日子さんでした。ドラマのタイトルは『風を聴く日』(1995年放送)。ドラマの原案は向田邦子。演出はもちろん久世光彦。久世さんは高校に行かなかった小泉さんにいろんなことを教えて、小泉さんにとっては「恩師と言える唯一の存在」でした。小泉さんが浜田真理子さんと続けている「マイ・ラスト・ソング」は恩師の久世光彦に捧げたもの。


小泉さんが向田邦子原作(原案)、久世光彦演出のドラマに出ていたことを知ったのは最近のこと。これはシリーズとしてTBSで毎年新春にスペシャルとして放送されていたようですが、もちろんリアルタイムでは見ていません。配役は母親が加藤治子、姉妹(ほとんどは3姉妹)の長女は田中裕子というのは決まっていてあとはいろいろ。小林薫はいろんな役でよく出ています。

小泉さんが出演していたのは1995年放送の「風を聴く日」と1998年放送の「終わりのない童話」の2本と、TBSではなくNHKで1990年に放送された「振りむけば春」。このうち「風を聴く日」と「終わりのない童話」が先日TBSチャンネルで再放送されてようやく観ることができました。

このシリーズ、「風を聴く日」が放送される前に何本か観ましたが、舞台はいずれも東京、池上。そう、例の池上線の池上駅があるあたり。このシリーズが池上を舞台にしていることは川本三郎さんが書かれていたエッセイで知っていましたが、いったいそれが池上のどのあたりなのか、実際にロケが行われているのかとずっと気になっていました。それがようやく。

まず、ロケが行われている場所はどのドラマも同じ。この階段だけで他はほぼ全てセット。

これは「風を聴く日」の冒頭のシーン。女学生の3女が階段を駆け上がっています。テロップには「東京・池上」。

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このシーンが写るときに必ず流れるのがこのナレーション。語っているのは黒柳徹子。


「その頃、私たちのうちは池上本門寺裏の石段の上がったところにありました」


さて、この石段、例によってストリートビューを使って探しましたが、残念ながらストリートビューで石段を見れた場所は一箇所だけ。それは一番大きな石段で、ドラマに映るものとは違っていました。こんなとき、近くに住んでいれば歩いて探すのですが、それができないので仕方なく本を当たることに。運のいいことにたまたま立ち寄った書店に置かれていた久世光彦の『嘘つき鳥』に書かれていました。

「大坊坂」

ネットで写真を見たら間違いありません。

では、姉妹たちが住んでいた家は。ナレーションでは「私たちのうちは池上本門寺裏の石段の上がったところにありました」となっていますが、この石段の上は本門寺の境内。普通の民家はありません。

ちなみにドラマに登場する家はどれもセット。門につけられた表札も名前しか書かれていないものばかりでした。ところが小泉さんが出演した「風を聴く日」に映った表札に住所が詳しく書かれていたんですね。

「東京市大森區池上本町十九番地」

もしかしたらと思って番地まで書かれた戦前の地図を見たら、なんと19番地がありました。地図の青丸で示した場所。ちなみに赤丸で囲んでいる石段が大坊坂。

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ナレーションとは違って石段の下、というか石段を上がって右に曲がって坂を降りたところにありますね。この十九番地の家に帰るためにわざわざあの石段を上る必要はなさそうです。


これが現在の地図。

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右上の本門寺近くの青丸が池上本町十九番地。そして赤い線が石段のある大坊坂。例の武蔵新田からは(ティール・グリーンからも)そんなに離れていません。そもそも武蔵新田のことを調べたきっかけも、元をたどれば小泉今日子さんの「快盗ルビイ」。その小泉さんがドラマの上とはいえ池上のあの辺りに住んでいたとなっているのも不思議な縁です。

ところでこのシリーズは向田邦子さんが脚本を書いているのではなく、彼女のエッセイなどをもとにして別の人が脚本を書いているんですね。小泉さんはこのシリーズのドラマについてこんなことを語っていました。


向田さんが書いた作品に出ることが、私の夢だったんです。だから、一度もお会いできなかったことは、すごく残念でしたね。久世さん演出の向田邦子シリーズには何本か出させていただいたので、夢の半分は叶ったんだけど、やっぱり、向田さんにあて書きで書いていただきたかったなあって。
昔のドラマは放送時間も長かったし、キャラクターや俳優さんのいい部分を伸ばしていくために、よくあて書きをしたんです。向田さんのドラマを見ていても、この台詞は向田さんがこの役者さんに言わせたかったんだろうなとわかるんですね。私もそういう経験をしてみたかったなあと。「下手くそ」っておっしゃって、使われなかったかもしれないけど。(笑)

これはドラマのワンシーン。

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小泉さんが手にしているのはビング・クロスビーのレコード。このドラマは昭和14年の暮れから翌15年の正月までを描いているのですが、数年後にはこんなレコードを聴いてはいけない時代がやってきます。

蛇足ですが「風を聴く日」の小泉さんの役名は原澤晶子(あきこ)。ウィキペディアは長沢晶子と間違って表記しています。


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by hinaseno | 2017-02-26 15:09 | 雑記 | Comments(0)