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by hinaseno
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キョンキョンとのデュエットもきっかけは”たまたま偶然”


今回は小泉今日子さんの話を中心に、と思っていましたが、やはり「快盗ルビイ」のことをもう少し書いてみたくなりました。最近、気づいたことも含めて書きたいことがいっぱいあるので。


さて、一口に「快盗ルビイ」といっても、実際にはいろんなヴァージョンが存在します。たぶん聖子ちゃんに提供した曲もきっといろんなヴァージョンが存在しているんだろうとは思いますが、公になっているのは「風立ちぬ」のカラオケヴァージョンとCMヴァージョンくらい。キョンキョンのが多いのは、やはりディレクターの田村さんがナイアガラーだったからこそでしょうね。

「快盗ルビイ」のヴァージョン違いについてはまた改めて触れますが、僕たちが最も心ときめいたのは2002年に発売された小泉さんのベストアルバム『KYON3 ~KOIZUMI THE GREAT 51』に収録されたこの「小泉今日子&大瀧詠一デュエット・ヴァージョン」ですね(実はアルバムは持っていないんだけど)。




これに関しては2003年1月12日に放送された新春放談で興味深い話が語られています。昨年発売された大瀧さんの『DEBUT AGAIN』にも関連する話。『DEBUT AGAIN』は一応大瀧さん本人によるセルフカヴァーのアルバムということになりますが、「快盗ルビイ」に関しては小泉さんが歌うためのガイドボーカルとして録音された仮歌ですね。

前回紹介した田村さんのインタビューで、田村さんはこんな話をされていました。


「僕は彼女の歌入れは全部やっているのですが、この曲だけは大瀧さんです。だから他の曲ともしかしたら雰囲気が違うかもしれません。大瀧さんの仮歌入れも大瀧さんはスタジオに鍵をかけて、外に監督やら映画のプロデューサーをひたすら待たせているので、ロビーはとんでもない圧迫感」

『DEBUT AGAIN』に収録されたその仮歌を小泉さんの歌ったものとミックスしてデュエット・ヴァージョンを作ろうと思いついたのも田村さんでした。でも、そこにはやはり”たまたま偶然”があったわけです。

というわけで新春放談のその部分を。


山下:去年はもう1個、あの、キョンキョンの…。
大瀧:ありました。
山下:あれはいきなりどうしたんですか?
大瀧:あれはね、人に提供した曲っていうのは僕はあんまりやってないんですよね。基本的には。「夏のリビエラ」とか、あのくらいしかない。
山下:セルフカバーっていうのはほとんどやりませんもんね。
大瀧:書いたものはそのまま、その人に向けて書いたのでね。なけなしの才能をね、なんとかがんばって。あと、キーが全く別だからね。
山下:なるほど。キーも神経質ですからね、大瀧さんはね。
大瀧:キーはね。僕ね、キーがちょっと違うと全部下手になるのよ。もともと下手なんだけれども、うまくない。ピッチは悪いんだけれども、とにかくね、キーが合わないと、ずーっと下手なのよ。あれって不思議だね。
山下:そんなもんですよ。
大瀧:そーお?
山下:絶対そうですよ。半音違っただけで全然歌違いますもん。
大瀧:その半音の間にいっぱいあるんだ、ポイントが。半音違ったらもう全く別の歌。だから男と女なんかまるでそうでしょ。例えば小泉の場合なんかでも、彼女の場合は上がCだから1つ低いんですよ。だから「暗いね」とか、デモテープ聴いて。暗いも何もないでしょ、男が歌を歌うにはあれっきゃないんだからさぁ。
山下:ホントそうですよね。
大瀧:そういうのもあるし。あとはまあ、提供の曲はあまり自分でやらないようにってこともやってたんだけども、これはねぇ、たまたま偶然に当時のスタッフだった相茶君(おそらく相茶紀緒さん)と会ってね。お父さんのお葬式だったんだけれども。その時に担当ディレクターの田村と会って「いやあ久々に『怪盗ルビイ』聴いたら良かったよ」って僕が言ったのがきっかけだったのよ。それでなんかアイデアが閃いたらしくて、「デュエット、どうでしょうか?」って言われて、「いや、あんまり…」と思って断ろうと思ったんだけれど。どうもね、なんか相茶君のお父さんのお導きじゃないかっていうふうに僕はそういうふうにすぐにとる方なんですね。それで、あっ、これはやれって言われたんだなって思ったんで、それでやってみたんですけど。
山下:あれは仮歌なんですか、じゃあ?
大瀧:仮歌。
山下:あの当時の声なんですか?
大瀧:当時。2回ぐらいっきゃ歌ってないと思うんだよね。気軽にこんな感
じかなあとかいう。
山下:要するに仮歌っていうガイドヴォーカルですか?
大瀧:ガイドヴォーカル。
山下:じゃあキョンキョンはあれを聴いて。
大瀧:あれを聴いて。だから随分あの通りに歌ってたみたいよ。

ところで大瀧さんの『DEBUT AGAIN』が出たときに、本人の意思を無視して勝手にセルフカバーのアルバムなんか出すべきではないというようなことをアマゾンのコメント欄に書いていた人がいましたが、おそらくこの日の新春放談で語られた大瀧さんの言葉を覚えていたんでしょうね。ときどきこういう原理主義的なナイアガラーがいて、なんだかなぁ…となってしまうことがあります。

実はこの日の新春放談ではこのあとこんな話も出てくるんです。これがまさに大瀧さんらしい話なんですね。


山下:いろんな人知ってるけど、絶対にイヤだっつったら、絶対に最後までイヤだっつって通した人って、僕の人生で見てる限り3人くらいしか見たことないけど、大瀧さんは絶対にイヤだって言ったら絶対にやんないもんね。
大瀧:やんないときはやんないですね。
山下:やんないときはやんない。いいじゃないのと思うんだけど。頑固ものと言ってみればそれまでだけど。
大瀧:いや、頑固者はあなた。
山下:(笑)
大瀧:僕は全然頑固じゃないですよ。
山下:そうですか。
大瀧:ああ、順応派ですね。
山下:でも、基調方針から外れることで絶対にやりたくないことはダメなんでしょ。
大瀧:ダメだろう…ね。
山下:一旦「ノー」って言ったら絶対に「ノー」だっていうことがあるじゃないですか。
大瀧:いや、99パーセント行っても、中村ノリ(近鉄にいた中村紀洋のこと。前年のシーズン終了後にFA宣言し、その年の暮れ、つまりこの新春放談を収録した直前くらいに「メジャー移籍は絶対にない」と言い続けていたのにニューヨーク・メッツと契約した)のようにポーンと1%セントでひっくり返るという人生を、僕ね、3、4回ありますよ。

絶対イヤだとはいってても、何かのお導きのような出来事が、たまたま、偶然起きれば大瀧さんは行動に移す人なんですね。


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by hinaseno | 2017-01-26 12:25 | ナイアガラ | Comments(0)