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この曲だけ前日、突然ニール・セダカをピアニストとして使った


アメリカン・ポップス伝パート3 第2夜(5/6)


(はじめに)今日文字起こししたのはこの日のプログラムのクライマックスの部分。いよいよボビー・ダーリンの「ドリーム・ラヴァー」からコニー・フランシスの「カラーに口紅/フランキー」、そしてニール・セダカの「オー、キャロル」が登場します。まさにシックスティーズ・ポップスが誕生する瞬間が興味深く語られています。ここに至る話の中でも、これがなければ、この人がいなければ、この人があの行動を取らなければという話の連続でしたが、今日文字起こしした部分はすごすぎます。こんなところにこんな人がいたのかという驚きのつながりが大瀧さんによって次々に示されます。本当によく調べられているなとただただ感服。この日の部分だけでも1冊の本にする価値がありそうです。ってことで文字起こしを。

*   *   *

さて、セダカがロックンロールの「アイ・ゴー・エイプ」を録音していた頃にボビー・ダーリンは自作のポップソングのデモを作っていました。


BOBBY DARIN / Dream Lover (Demo)

(注)これはかなり貴重な音源ですね。調べたらライノから出ているボビー・ダーリンのボックス『As Long As I’m Singing: The Bobby Darin Collection』に収録されていることがわかりました。録音は1959年2月。まさにバディ・ホリーが飛行機事故で亡くなった月。

番組では1番を歌い終わったあたりで音は絞られるのですが、2番に入る直前の間奏でギターがちょっと面白いフレーズを弾くんですね(この音源の0:33あたり)。で、大瀧さんはちょっと吹き出します。確かにそこはかなりコミカル。演奏しているのはもちろんあの人です。


(笑)え~、あの半音はなんですかね。これをレコーディングするにあたって…、あっ、これ、ギターはおそらくアル・カイオラでしょうね、で、ボビー・ダーリンは自分でギターを弾いてんだと思います。

これの正式なレコーディングをする前日にですね、ボビー・ダーリンはニール・セダカに電話したんですね。で、明日のセッションでピアノを弾いてくれないかと頼んだんです。ボビー・ダーリンはデビュー以来、ピアノは全部自分で弾いているんですね。セッション・マンを使ったのはたったの一度しかないんです。不思議なことなんですね、この曲だけ前日、突然ニール・セダカをピアニストとして使ったんですけどね。


BOBBY DARIN / Dream Lover


アル・カイオラのギターがデモよりも高音になっていますよね。オクターブ上げたほうがいいというアイデアはセダカがセッション中に出したものだと言われています。ま、本人が言ってますね。

また、もうひとつですけれども、この曲のドラマーはセダカのメイン・ドラマーだったスティックス・エヴァンズがたたいています。エヴァンズがボビー・ダーリンのセッションに参加したのは後にも先にもこの時だけなんですね。ですからこの曲は完璧なるセダカ・サウンドに聴こえてしまうのであります。

この「ドリーム・ラヴァー」は最高位が2位と大ヒットしていた59年の6月ですが、追いかけるようにチャートを上がってきたのはコニーのこの曲でした。


CONNIE FRANCIS / Lipstick on Your Collar

(注)ほぼフルコーラスかかります。


コニー・フランシスの「カラーに口紅」でしたけれども、途中のギター・ソロはジョージ・バーンズ(George Barnes)という有名なジャズ・ギタリストです。途中のフレーズはさすがにジャズマンという感じがしますね。この頃になりますとニューヨークのジャズ・ミュージシャンもロックンロールのニュアンスをかなり出せるようになってきています。ジョージ・バーンズはカントリーのレコードなんかも出していますね。

それにしてもボビー・ダーリンがロックだと言えばロック、ポップだと言えばポップというふうにコニーのボビー・ダーリンへのフォロー度合いがすごいですね。

「カラーに口紅」のB面はニール・セダカのバラードでした。


CONNIE FRANCIS / Frankie


あ~いいバラードですね。このへんからコニーとセダカの相性がぴったりしてきましたね。このあとは次々に名曲が生まれます。A面の「カラーに口紅」は5位、B面の「フランキー」は9位と、両方がトップ10入りするというコニー・フランシス初の両面ヒットです。この両面ヒットはシックスティーズ・ポップス幕開けを感じさせるシングル盤というふうにも言えると思います。また「カラーに口紅」は私のポップスの原点となった曲でありまして、非常に思い出深い曲であります。

「カラーに口紅」、「フランキー」の両面ヒットが出た後、いよいよ真打、ニール・セダカの大ヒットが登場します。


NEIL SEDAKA / Oh! Carol


これは9位となってセダカ初のトップ10・ヒットです。これでようやくボビー・ダーリン、コニー・フランシスとトップ10シンガーの仲間入りができたというわけですね。この時点では3人ともまだナンバー1ヒットは持っていません。

さて、この「オー、キャロル」、このアレンジの元ネタはご存知ダイアモンズの「リトル・ダーリン」。


THE DIAMONDS / Little Darlin’


このダイアモンズのアレンジなんですけれども、これはチャック・セイグルその人だったんですね。どこにもクレジットされてなくて別の人の名前が書かれていますから今まで知られていなかったんですけれども。ニール・セダカがそう発言しています。また、ダイアモンズを調べますと、チャック・セイグルは当時別名を使ったり、あるいは本名でB面を作曲したりしています。「オー、キャロル」はこの「リトル・ダーリン」の真似だと思っていたんですが、実は本家本元のアレンジであったわけです。


この「オー、キャロル」にはアンサー・ソングがあったということは最近では有名な話となっております。


CAROLE KING / Oh, Neil


歌っていたのはご存知キャロル・キングですね。作詞は旦那のゲリー・ゴフィンが書いています。この二人が結婚する前ですね、キャロル・キングとニール・セダカは10歳の頃から知り合いだったそうです。そこでセダカが元のガールフレンドであったところのキャロルという名前を使って詞を書いてくれとグリーンフィールドに頼んだと。それが「オー、キャロル」であったわけです。

キャロル・キングが歌った「オー、ニール」のアレンジとプロデュースはチャック・セイグルです。何度も出てきますけれども。この「オー、ニール」のおかげといいますかね、これが契機となりまして、ゴフィン&キングはドン・カーシュナーと知り合ってアルドン出版社と契約したんですね。

この二人のゴフィン&キングはセダカの次のアルドンのエースになりましたし、さらにはシックスティーズ・ポップスの牽引車となったわけです。この「オー、ニール」が第1作だったんですね。なにがきっかけになるかというのは本当にわからないものです。

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ニール・セダカとキャロル・キング、後ろにいるのはチャック・セイグル


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by hinaseno | 2016-11-29 13:09 | ナイアガラ | Comments(0)