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by hinaseno
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ボビー・ダーリンのデビュー曲はフォークだった ーーアメリカン・ポップス伝パート4 第3夜(その4)


この再結成コンサートではたくさんの持ち歌が披露されましたが、その中の1曲「ロック・アイランド・ライン」を聴いてみましょう。

Rock Island Line / THE WEAVERS

シカゴの鉄道のことを歌った歌ですけれども、これを最初に録音したのはジョン・ロマックス、歌ったのはレッドベリー。

Rock Island Line / LEADBELLY

レッドベリーのバージョンは冒頭に語りがあるんですけどね、ウィーヴァーズはあそこをカットしたバージョンでした。ところがこの歌をレッドベリーのバージョンの、この語りありのバージョンでカバーしたレコードが出たんですね。それがなんと1956年。まさに「ハートブレイク・ホテル」が1位にランクされていた頃にトップ10に飛び込んでくるという珍事が起きておりました。

Rock Island Line / LONNIE DONEGAN

歌っていたのは英国人のロニー・ドネガン。録音されたのは54年の7月でした。当時はイギリスではロニー・ドネガンやクリス・バーバー(Chris Barber)が中心となってスキッフルと呼ばれた音楽がイギリスでブームになっていたんですけれども、それにしてもアメリカで全く無名の、しかも英国のシンガーのレコードが突然トップ10に入ってくるというのはかなり異常な出来事でした。
考えられるのはこの曲がウィーヴァーズのレパートリーとしてかなり有名だったこと、そしてエルヴィスの登場で世はロックンロール時代になっていたということ。ロニー・ドネガンのスキッフルはどこかエルヴィスのサン・レコード時代と共通するものがあります。で、エルヴィスのファースト・アルバムはこの頃ゴールド・ディスクを獲得していました。この中にはサン・レコードの曲が5曲も入っていたんですね。ですからリスナーはあのタイプのサウンドもすでに馴染みがあったわけです。同じようなものとしてとらえられたんじゃないでしょうか。
ドネガンのバージョンはウィーヴァーズのバージョンにはないハードなビート感がありました。これがこの時代に受け入れられた要素だったと思います。イギリスでこの曲が大ヒットしたことを知ったデッカ・レコードはカタログから削除してしまったウィーヴァーズのレコードをいまさら発売するわけにもいきません。そこで新人にこの曲を歌わせることを企画します。歌わされたのは契約したばかりの新人ボビー・ダーリン。

Rock Island Line / BOBBY DARIN

ボビー・ダーリンは実はこれがデビュー曲だったんですね。この歌でテレビの初出演を果たしたボビー・ダーリンの映像を見たことがありますが、手をかざしてかなり頻繁に見るんですね。
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なんのことかと思ったら、手のひらにびっしりと歌詞が書いてあるんですよ。会社に無理やりやらされたという証明ですね。もちろん全くヒットはしませんでした。

Sixteen Tons / TENNESSEE ERNIE FORD

この曲は純粋なフォークソングではありませんが、ウィーヴァーズが音楽シーンに復帰した55年12月にトップ10入りして8週連続のナンバー・ワン・ソングになりました。炭鉱労働の歌で、いかにも古くからのフォークソングに聞こえますけれども、カントリー・シンガー、マール・トラヴィスが46年に作った歌です。この頃フォークのアルバムがヒットしていたので、キャピトル・レコードも何かフォーク的な歌を作ってみないかとマール・トラヴィスにアドバイスしました。実際このトラヴィスのお父さんはケンタッキーの炭鉱で働いていて、それをもとにしてこの歌が作られました。

Sixteen Tons / MERLE TRAVIS

46年に『Folk Songs of the Hills』というアルバムを作って、その中に入っていたんですね。
ところがですね、なんとこのときに、47年、放送局にこのアルバムをかけないようにとFBIが圧力をかけたんですね。まあアルバムの曲ですからラジオ局でかからなければリスナーは知る由もありませんね。そこで埋もれた曲というふうになっていたわけです。
で、時は流れて55年、同じキャピトル・レコードのディレクター、ケン・ネルソン(Ken Nelson)、「Be-Bop-A-Lula」のときに出てきましたが、彼がこの曲を思い出して、テネシー・アーニー・フォードにカバーしたらどうかというふうに持ちかけたんですね。
55年といいますとマッカーシー議員も失脚していますし、まあそろそろいいんじゃないかと思ったんでしょうね。ただ、やはり怖かったのかB面で出したんですね。しかしまたDJがそのB面ばかりかけたのでクリスマスまでに200万枚を売り上げるという特大ヒットとなったのでした。
55年に再結成したウィーヴァーズ。再結成コンサートでもこの曲を歌っておりました。

Sixteen Tons / THE WEAVERS

新作でも古典になったという例です、「シックスティーン・トンズ」。
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by hinaseno | 2016-11-04 11:26 | ナイアガラ | Comments(0)