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by hinaseno
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「フォークソングはポップスじゃないのか?」ーーアメリカン・ポップス伝パート4 第3夜(その1)


唐突ですが、今日から何回かに分けて「大瀧詠一のアメリカン・ポップス伝Part4 第3夜」の文字起こしをしてみようと思います。
この日の放送は「ポップ・フィールドにおけるフォークソングの歴史」がテーマ。

フォークソング!? 
でした。

放送された日の翌日のブログ(実際には放送は深夜だったので同じ日)を読み返してみるとやはり驚きを隠せなかったようで、例えば「アメリカン・ポップス伝パート4、第3夜はなんとフォーク・ソング。びっくりでした。まさかポップス伝にフォーク・ソングの話が出てくるなんて。全国のナイアガラーは唖然呆然だったのではないでしょうか」とか、「昨夜の放送は、僕個人としても驚いたというか、かなり戸惑った」とかという言葉を書いています。正直に言えば「驚き」というよりは「失望」に近いものがあったのかもしれません。
前夜が50年代のウェストコースト事情ということだったので、その流れで60年代のウェストコーストの話になってビーチ・ボーイズなんかが登場してくるかと期待していたらフォークソングだったんですね。
というわけだったので、他のプログラムのときのようなわくわく感は全くない状態で放送を聴いてしまいました。さらに言えばこのときの放送は全部で20回放送された「大瀧詠一のアメリカン・ポップス伝」でいちばん聴いた回数が少ない。たぶん放送された日と、その翌日にブログを書くために聴いた2回だけではないかと思います。というわけで内容はすっかり忘れていました。

それを放送されてから3年も経って聴いてみようと思ったきっかけはボブ・ディランのノーベル文学賞受賞でした。実際にはこの日の放送にボブ・ディランは登場しないのですが、大瀧さんがフォークソングについて何を語られていたか聴いてみたくなったんですね。で、聴いてみたら、最初に聞いたときとは別の意味で驚きの連続。これほどに内容の深いものだとは当時全く考えていませんでした。

あまりはじめにいろいろと書かないようにしますが少しだけいえばこれが放送されたのが8月15日という日だったということ。
大瀧さんは「アメリカン・ポップス伝パート3」を完成させた後で、たぶんこの8月15日という日にこの内容の放送をすることを考えて準備されたはず。
さらに言えば「アメリカン・ポップス伝パート3」が完成したのはおそらくそれが放送された2012年12月。その2012年12月に何が起こったかというのはここにはあえて書きませんが、そこで起こったことがこの日の放送の内容に確かにつながっているんですね。
でも、情けないことですが、放送されたときにはまだ気づかなかったことが多すぎました。今になって考えてみれば、ということだらけ。いつものことながら大瀧さんの先見の明には驚かされます。
というわけで「アメリカン・ポップス伝パート4 第3夜」を。

    * * *        * * * 

大瀧詠一のアメリカン・ポップス伝パート4、第3夜はポップ・フィールドにおけるフォークソングの歴史です。ここまでパート1からパート4、昨晩の2回目まで全部で17回のプログラムを放送してまいりましたが、1曲もフォークソングがかかっておりませんでした。
フォークソングはポップスじゃないのか? なぜここまでフォークは1曲もなかったのか? その謎を今回解いていきたいと思います。
まずはこの曲から。

Tom Dooley / KINGSTON TRIO

キングストン・トリオのこの「トム・ドゥーリー」が1位になったのは1958年の11月です。もっともこの曲自体はアルバムに収録されていたもので、最初からシングル・カットはされていませんでした。アルバムは58年6月に発売されていて、キングストン・トリオはアルバム・デビューだったんですね。で、ローカル局のDJがアルバムに収められているこの「トム・ドゥーリー」が気に入って何度も何度もかけているうちにリクエストが集まってきて、それから会社がシングル・カットしたと。そしたら1位になったと。そういうめずらしいパターンでした。
エルヴィスのような人気シンガーの場合ならアルバムからシングル・カットして1位になるというのは全然めずらしくなかったんですけれども、デビューしたての新人が、最近はアルバム・デビューというのはあたりまえになりましたが、1958年にアルバムでデビューするっていうのは全く考えられない時代だったんですね。まだSP盤も発売されていた時期ですから。シングル・ヒットが何曲か出た後にアルバムを発売するというのが通常のパターンだったわけです。その既成概念を破ったのがこのキングストン・トリオで、60年代中盤以降のアルバム時代の先駆けともなりました。
曲そのものはキングストン・トリオのオリジナルではなくて古くから歌われていたフォークソングで、キングストン・トリオはフランク・ワーナーのバージョンをもとにしているというふうに言われています。

Tom Dooley / FRANK WARNER

また、このフランク・ワーナーの前にはフランク・プロフィットという人が歌っていました。

Tom Dooley / FRANK PROFFITT

さらにそれ以前にはグレイソン&ホイッターというコンビが録音しています。

Tom Dooley / GRAYSON & WHITTER

最初にだれが作ったのかというのは定かではありませんが、1866年に実際に起きた事件をもとにして作られた歌で、はずみで恋人を刺してしまった男が縛り首になるという内容です。そういう内容の歌が1位になるのですから、これがポップスのおもしろいところでもありますよね。商業音楽がポップスなんですけれども、その中にこういうことがときどき起きるんですね。
で、今回アメリカン・ポップス伝を放送するにあたって、No.1ソングを調べていて気づいたことがありました。それはこの「トム・ドゥーリー」の前にフォークソングの1位の曲がないという事実です。
これには驚きました。
で、今回はメインテーマはロックンロールの歴史ということで、エルヴィスが登場した1956年を中心にした構成としました。そこで56年の前の5年前、51年からの1位をメドレーにして聴いていただきました。その中にフォークの1位の曲が1曲もなかったんですね。
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by hinaseno | 2016-11-01 12:33 | ナイアガラ | Comments(0)