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by hinaseno
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もうひとつの平山家(7)――「とみ」と「しょうじ」の墓へ


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改めて昭和28年6月30日の撮影日程表を。
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2行目の「浄土寺」のあとの「保ケン病院」から4行目にかけては、判別しづらい言葉が並んでいて(最後の行は言葉の切れ目すらわかりにくい)、尾道に行く前にいろいろと調べてはいましたがほとんどわからないまま。でも行ってみて、いくつもの手がかりをつかむことができて、今朝ようやく(ほぼ)全容解明できました。これについては後日。

さて、今回の目的はお墓探しということだったので、小津が尾道でロケハンしたときに最後に行った寺、「福善寺」に向かいました。ロケ地巡りとしてはこの日最後に予定していた場所。
ところで、日程表の「福善寺」も読みづらいですね。蓮實重彦『監督 小津安二郎』(文庫本)では28日と同様に「福ゼ寺」と表記していますが、真ん中の字はいくらなんでも「ゼ」とは読めません。僕は最初「福寿寺」と読んでいました。でも、尾道には福寿寺という寺はなく「福」の字で始まる寺は前にも書いたように福善寺だけ。
ポイントになったのはその次に書かれた「丹花」という言葉。「丹花」だけで調べたときには「紅い花」という意味だったので、「?」だったんですが、「福善寺 丹花」で調べたらわかりました。福善寺あたりの古い地名が丹花だったんですね。昭和3年の地図を見ると福善寺の西に「西丹花」、南に「丹花町」という言葉を見ることができます。どうやら小津たちは福善寺のあとに南に下って丹花町の方に行ったようです。
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これが福善寺の山門。
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実は僕は境内の西側にあるこの山門から入ったのではなく、線路のすぐそばのかなり険しい坂を登って福善寺の南側から境内に入りました。
そして縦に長い境内を北に向かって歩き、山門前の本堂を通りすぎたときにこの風景が目に飛び込んできました。
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そこにはまさに『東京物語』の「とみ」の葬儀のときに映し出されたこのカットの風景がありました。
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ようやく「とみ」と「しょうじ」が眠る墓地にたどり着くことができて、正直、涙が出そうなくらいに感動してしまいました。というわけで、この廊下に座ってかなり長い間墓を眺めていました。ちょうど『東京物語』で「とみ」の葬儀が行なわれている最中に本堂から抜け出して廊下に座って墓を見上げていた三男の敬三と同じように。
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一息ついてから墓地をとらえた3つのカットの場所を探しました。まず一つめはこのシーン。
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これはすぐにわかりました。本堂からもう少し横に行った場所。手前に写っている屋根が邪魔していたので同じアングルは無理でした。
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で、この写真に写っている山の頂上あたりでこのカットの場所が見つかりました。
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ここですね。
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ここまではすんなりと。でも、もうひとつのこのカットの場所を見つけるのが大変でした。
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このずらりと立ち並んだ墓地の中をかなりの時間歩き回りました。
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墓地を歩いて墓を探すといえば、ちょうど3年前の9月に木山捷平の姫路でのたったひとりの友である大西重利さんの墓を探して墓地の中に入り込んだことがありますが、あのときに入った墓地はあちこちからいろんなものが出てきそうで気持ち悪くてどうしようもなかったのですが、こちらの墓地は向こうに海も見えて開放的。いつまでもここにいたいような気持ちにさせられました。死んだときにはここに埋めてもらおうかと思ったくらい。
で、一時間くらい探しまわって、少し諦めかけていたときにようやくその場所を見つけることができました。
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すぐ手前に見える没年が昭和2年と昭和15年の2つの墓も石垣の上に見える2つの墓もほぼそのまま。平山とみと平山昌二の墓もこのあたりにあるような気がして二人の名前が刻まれた墓をちょっと探してしまいました。もしかしたら「紅い花」が供えられているのではないかと...。

というわけでこれで今回の尾道行きの大きな目的は果たすことができたので、あとは時間つぶしでもしようと思ってある場所に向かいました。でも、驚いたことにそこはまさに6月30日の撮影日程表の最後に書かれている「米アゲ町」だったことに一昨日に気づきました。尾道に行く前に調べたときには何の手がかりも得られなかったのに。
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by hinaseno | 2016-09-20 14:27 | 映画 | Comments(0)