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by hinaseno
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もうひとつの平山家(2)――「福ゼ寺」?


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尾道には本当にたくさんの数の寺があります。あっちを見てもこっちを見ても寺だらけ。いったいいくつあるんだろう。
そんな数ある寺の中で一番有名なのが千光寺。山の上にあってロープウェイで行ける寺ですね。でも、なんで千光寺が一番有名なのか知りません。尾道全体を見渡せるからなんでしょうか。僕は初めて尾道に行ったときに立ち寄ったきり。
個人的には塔のある寺が好きなので、千光寺山の中腹にある天寧寺(もと五重塔だったものを三重塔にしたのでなんだか不格好なんですがそれがなんともいえない魅力)、少し北の西国寺(三重塔)、そして東のはずれのは浄土寺(多宝塔)の3つがメイン。それ以外の寺ははっきり言えば全く知りませんでした。後でいろいろ調べたら塔がなくてもいい寺が多いんですね。今度尾道に行ったときにはそういった寺を訪ね歩こうと思っています。

さて、厚田雄春さんの昭和28年6月の「撮影日程表」の6月28日のところには寺の名前が2つ。
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でも、最初に書かれている寺で困ったんですね。読めないんです。
ちなみに2つめに書かれているのは「千光寺」。『東京物語』が公開された当時、映画に尾道で一番の観光名所である千光寺が映画で使われなかったということで、観光業界の人はかなり不満を抱いたという話を何かで読んだ気がしますが、千光寺でも一応はロケをしたんでしょうか(形だけだったかもしれない)。
気になるのは1つめに書かれた寺。あちこちでロケハンした後、最初に訪れている寺なので、やはり一番気になる寺。でも「福」の次の字が読めないんですね。
「福七寺」?「福土寺」?「福士寺」? ひょっとして「福生寺」? 
調べても尾道にはそんな名前の寺はありません。「福」で始まる寺と言えば「福善寺」だけ。でも、とても真ん中の字は「善」には読めません。
「土」と読めそうなので調べたら「宝土寺」というのが千光寺山のふもとにあります。
ってことで一応宝土寺に立ち寄りましたが、墓地を含めて映画に使われたと思われるようなそれらしい場所はありませんでした。
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この「福○寺」に限らず、厚田さんの書かれたものは本当に読みづらくて、しかも聞き書きしたせいか誤字や当て字が多いんですね。
と思っていたら、これを書いている途中で蓮實重彦著『監督 小津安二郎』の巻末付録にこの「撮影日程表」を活字化したものがあることがわかってびっくり。ネットに活字化していたものもあがっていました(ただし、誤記あり)。もちろん活字化する人も大変だったはずで、いくつかは間違いではないかと思えるものもあります。
ちなみに「福○寺」は「福ゼ寺」と記載されています。そして30日のところにも「福ゼ寺」の文字。

ところで『監督 小津安二郎』の巻末付録でなによりも驚いたのは、小津たちは8月(11日から19日)にもう一度尾道に来ていたのがわかったことでした。どうやら6月には俳優は来ていなくて、笠智衆、原節子、香川京子の3人が来て撮影されたのは8月だったようです。
というわけなので6月の撮影のときにはロケハンが中心。ただし、おそらくいくつかのカットは撮影して映画でも使ったはず。

いずれにしても、これを見つけて8月の日程表に書かれているものを見て、今回書こうとしたことが、いくつか予定変更ということになってしまいそうですが、でも、考えたら、これを見つける前に6月の撮影日程表を見ながら歩いた方が、まさに自分も小津と同じようにロケ地探しをしているような気分になれたので結果的にはよかったかなと。

さて、「宝土寺」の後は「千光寺」には向かわず、その次に書かれた「中央波止場」「住吉神社」へと向かおうかと思いましたが、効率よく歩くために翌29日に記された場所に行くことにしました。
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by hinaseno | 2016-09-15 15:24 | 映画 | Comments(0)