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もうひとつの平山家(1)――「とみ」と「しょうじ」の墓を探して


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ということで尾道に行ってきました。今年の4月に行って以来、5か月ぶり。
目的はというと、いろいろあってひと言では言えません。でもあえて言えば「とみ」と「しょうじ」の墓を探すためということになるでしょうか。「とみ」と「しょうじ」というのは、尾道を舞台にした小津安二郎の映画『東京物語』の登場人物の名前。主演である笠智衆演じる平山周吉の妻が「とみ」、そしてその夫婦の次男が「しょうじ」(台本では「昌二」)。「とみ」を演じたのは東山千栄子、「しょうじ」は戦地に行ったまま戦争が終わっても戻ってこず、おそらくは戦死しているので映画では写真に写る顔がチラッと見えるだけ。その「しょうじ」の妻が原節子。

4月に尾道に行ったときのブログでも書いたように思いますが、調べ尽くされているはずのロケ地をネットとかで確認してからその場所を訪ね歩くということほどつまらないことはないので、尾道のシーンで写ったすべてのカットの写真だけを持って行きました。
前回歩いたのは、尾道の東のはずれの、『東京物語』のロケ地としてはあまりにも有名な浄土寺と、そのすぐ近くの元筒湯小学校のあたり。面白いことに、そのあたりで持っていった写真の3分の2くらいは撮影した場所を確認することができました。これはほんとに予想外のことでした。
でも、ひとつだけおやっと思ったことがありました。それは当然そこで見つけられるはずだと思っていた墓地を確認できなかったこと。この4つのカットですね。
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このカットは「とみ」の葬儀が行なわれているシーンで写ります。つまりここは「とみ」が埋葬されることになる墓地ということになります。そして戦地から戻ることのなく、遺骨もない次男「しょうじ」も、きっと「とみ」と同じ場所に墓が作られたはず。

笠智衆の家(平山家)は浄土寺のすぐそばにあることが何度も示されているので、当然あの墓地は浄土寺にあるものだと思っていました。おそらく映画的には平山家のすぐそばにあるお寺で葬儀が行なわれ、そこの墓地に「とみ」が埋葬されただろうとだれもが考えるはず。でも、それらしい場所は見つからなかったんですね。
墓地の場所を特定するのに一番重要なのは、いちばん下に貼ったカットですね。石垣の上に見える墓地のそばにお寺のお堂の脇の廊下部分が写っています。浄土寺にはこんな場所はありませんでした。では、いったいこの墓地のあるお寺はどこなんだろうというのが前回尾道に行ってからずっと気になっていたこと。

運のいいことに、それを解決する重要な資料がすぐに見つかったんですね。それが何度も紹介したカメラマンの厚田雄春さんの昭和28年6月の「撮影日程表」。小津が尾道にやって来たのは6月24日。三石を発見した記念すべき日ですね。27日まではロケハンが続いていますが、宿泊した「竹村旅館」以外場所を記載していません。
で、その後、28日から30日にかけて、おそらくはロケをしたと考えられる場所がずらりと並んで出てきます。これを見たときも、「おおっ!!!」でした。
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ここには浄土寺を含めてお寺の名前が5つ並んでいました。この中にきっと「とみ」と「しょうじ」の眠る墓があるはずだと。
というわけで、ここに記載されている寺を順番に見ていくことにしました。
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by hinaseno | 2016-09-14 13:12 | 映画 | Comments(0)