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『早春』の東京の空にアドバルーン


昨日のブログで書いた「信じられないようなうれしいこと」というのはマイクロスターに関すること。先週の土曜日に武蔵小山のアゲインでマイクロスターのイベントがあったんですね。その日僕は小津の『東京物語』のロケ地である広島の尾道にいたのですが、実は心の半分は東京にありました。
アゲインでのイベントは基本的にトークということを聞いていたのに、なんと2曲、ライブで歌われたということを知ってびっくり。マイクロスターはライブをしないバンドだったはずなのに。どうやら人前で演奏して歌われたのは今世紀初とのこと。それだけでも奇跡的な出来事。
しかも1曲目に歌われたのが、このブログで何度も書いてきた大好きな「My Baby」。イベントではこの曲の驚くような製作秘話も語られたとのこと。うらやましすぎて言葉になりません。
そして2曲目に歌われたのが「東京の空から」。ファーストアルバムの最後から2曲目に収録された素敵な曲。今はこればかり聴いています。詞もいいんですね。その場で聴いていたら泣いてしまったかも、です。
このうらやましすぎる話がどうして「信じられないようなうれしいこと」につながるのかはまた後日ということで。

ところで「東京の空から」というタイトルからすぐに思い浮かんだのは鈴木信太郎のこの「東京の空」。とにかく大好きな絵で、この絵に出会ってからずっと携帯の待ち受け画面にしています。
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昭和6年の東京の空に浮んでいるのはいくつものアドバルーン。
そもそも僕がアドバルーンに興味を持ったのは小津安二郎の映画『早春』の中で岸恵子さんが「空には今日もアドバルン〜」と口ずさんでいたのが美ち奴という人の歌った「あゝそれなのに」という曲だとわかったのがきっかけ。

さて、尾道に行くということでここのところ立て続けに小津の映画を見ています。『東京物語』、そして『早春』。
『早春』は半年に1度くらいは観ていましたが結構久しぶり。もしかしたら2年ぶりくらいかもしれません。なんだか新鮮で、以前気がつかなかった部分にいろいろと目がとまるな、と思っていたら、こんなシーンが。
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なんと画面の右端の空にアドバルーンがゆらゆらと。まさか『早春』にアドバルーンが写っていたとは思いませんでした。以前、映画の中で「空には今日もアドバルン〜」って歌われていても『早春』にはアドバルーンは写っていません、というようなことを書いてしまった気がしますが間違いでした。ちゃんとあの歌の伏線がここにあったんですね。昭和30年の東京の空にアドバルーンです。

ところでこの場所はどこだろうかと思ってシナリオを見たら「お堀端に並ぶビルディング」との言葉。この後、東京駅近くの丸ビルの中にある「耐火煉瓦会社」(この工場が三石にあるという設定ですね)で働いている池部良たちが昼休みにお堀端の土手に座って弁当を食べながら話をするシーンが出てきます。なるほどあのあたり。
ということで昔の地図を見ながら写っている建物を確認。一番真ん中に写っているのが大きな建物が明治生命館。それから商工会議所、東京会館、帝国劇場、第一生命館と続くようです。アドバルーンが上がっているのは帝国劇場の上でしょうか。
ところで、ネットを調べたらほぼ同じ場所を反対側から撮影した昭和30年台のカラーの写真がありました。
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帝劇の上とか他の場所にもアドバルーンが上がっているようにも見えますが、写真についたしみのようにも見えます。

ところで、少し前に尾道に近い福山の文学館に行っていきました。メインはなんといっても福山出身の作家、井伏鱒二のコーナー。いや、これは素晴らしかったです。
いろんな貴重な本が並んでいましたが、一番見たかったのはこの『多甚古村』。
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装幀はあの「東京の空」を描いた鈴木信太郎。こちらに描かれているのは田舎の風景。でもいい絵。これもいつか手に入れることができたらなと思っています。

『早春』といえば、あの三石のシーンが撮影されたのは昭和30年9月11日。というわけで、9月11日に三石に行って、この場所の写真を撮ってきました。快晴の三石の空にアドバルーン、ではなくかなり短くなった煙突が2本。
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これが映画のワンシーン。これを撮影した日も快晴でした。
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by hinaseno | 2016-09-13 14:33 | 映画 | Comments(0)