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『9月の文集』のこと(その3)――「学ぶことはぶれること」


ちょっとブログの更新がとびとびになっていますね。毎年9月になるといろいろと動き出すのですが、今年はあっちへ行ったりこっちへ行ったり。しばらくは余韻に浸っていたいと思うようなことが立て続けに起こっています。全部ブログに書けるようになるのは果たしていつになるんだろうかと思っていたところに、昨夜、ある方から電話をいただき、信じられないようなうれしいことを言ってくださって、心が舞い上がっています。
ということなので、今月の3日にあった夏葉社の島田潤一郎さんのトークイベントもずっと前の出来事のような気も。でも、そこでいただいた『9月の文集』は何度も手に取っています。本当にいい文章が並んでいますね。他にも島田さんの書かれたエッセイはたくさんあるはずなので、いつかそれらをまとめた本が出るといいと思いつつ、でも、おひさまゆうびん舎限定のこの本は大変貴重なもの。残り50冊を切ったのかな。

『9月の文集』に収められたエッセイの中で特に心に残ったのは最初の「永遠のアマチュア」と「夏葉社の七年目」。それから「ダ・ヴィンチの足」も好きな話。
この9月で夏葉社は8年目に入ったわけですが「夏葉社の七年目」にはこんな話が出てきます。

六年目はけっこうな赤字だった。びっくりした。一年目は赤字。二年目は黒字。三年目は黒字。四年目は赤字。五年目は黒字。六年目は赤字。うまくいったり、いかなかったり。

ふっと「赤字」となっている年に出版された本のことを考えてみる。もちろん僕のような素人が考えても本が売れる売れないはわからない。ただ、誰よりもよく知っているのは夏葉社の本には他の出版社の本にはない魔法がありということ。あまり売れなかった(かもしれない)本が、ある人にものすごく大きな影響を与えていることもあるし、何かのきっかけで別の年にたくさん売れたりすることもあるはずだろうと。

このあと、島田さんらしいこんな言葉が続きます。

経営者としては、この山と谷を詳細に分析して、今後にいかしていきたいとも思うのだけど、そんなことをしても無駄だとも思う。(中略)たとえば、経営コンサルタントに相談している自分を想像すると、胸が悪くなる。もっと売れる本をつくったほうがいいですよ、としたり顔でいわれるぐらいだったら、富士そばでカツ丼でも食べていたい。

そして「永遠のアマチュア」も出版社を続けることの難しさに触れる話。最後にこんな言葉が出てきます。いい言葉です。

 ここ数年、「ぶれない」という言葉が、いつのまにか人を評価するときの最大の賛辞のひとつになっていますが、10年以上前は「ぶれる」「ぶれない」の二項対立で人を評価するということはありませんでした(あくまでぼくの身の回りでですが)。「ぶれない」の言葉の代わりにあったのは、「一貫している」ないしは「芯が強い」という言葉で、前者はともかく後者には、「頑固」や「意地っ張り」といったマイナス的な価値も多少ふくんでいたように思います。
 これだけ「ぶれない」という言葉が社会に広まったのは、「ぶれない」という言葉を使う人の身の回りに、ぶれている人がたくさんいるからなのだと思いますが、
 ぼくは、それでもいいんじゃないか、と思います。ぼくは考え方がどんどん変わるほうに、むしろ未来を感じます。
「島田くん、それは違うよ、正反対だよ」
 そう言ってくれる人がいて、
「ああ、そうか!」
 と納得して、次の日から正反対のことを考えて、話すようになる。
 ぼくはそういう人間でありたいです。
「ぶれない」でいようとすると、話すことも、本を読むこともやめてしまうよう、そんな気がします。身構えるような姿勢でものごとに接している態度は、「学び」とまさに正反対だと思います。
「学ぶことはぶれること」といったら、言い過ぎでしょうか。

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by hinaseno | 2016-09-12 12:57 | 雑記 | Comments(0)