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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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チンチン電車の走る街


ずう〜っと探していた本が手に入ったという話の続き。
ただしこちらはネット・オークションで手に入れたので、出会い方としてはあまり面白くありません。もちろん古書店に行けば必ず探していて、ネットでも古書サイト、オークションサイトをチェックし続け、2か月ほど前に出品されたときにはどきどきでしたが対抗馬もなくすんなりと。雑誌だったのでたいした値段でもなく。
手に入れた本というのはこれ。
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1999年5月発行の『旅』という雑誌。特集は「路面電車の走る町」。
そういえば世田谷ピンポンズさんに「チンチン電車の走る街で」という曲がありますね。ピンポンズさんに歌われている街は広島のこと。雑誌にはもちろん広島のチンチン電車も出ています。広島の夜の町を走るチンチン電車の写真ですね。
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このブログでも何度も書いて来たように大の路面電車好きではありますが、なぜこれを探していたかというと、この特集に川本三郎さんのこんな記事が掲載されていたから。
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あの川本三郎さんが、岡山の、路面電車の走っている場所だけでなく、僕にとって最も気になるあたりを歩かれたことを書かれた記事。この記事は『旅先でビール』(2005年 潮出版社)に掲載されているのですが、『旅先でビール』には他にも牛窓や三石に行かれたときのエッセイも載っていて本を見つけて読んだときには狂喜乱舞でした。このブログでも何度も引用していますね。
ただし、『旅先でビール』は川本さんがいろんな雑誌に書かれたものを集めたものなんですが、残念なことに雑誌掲載時にはあったはずの写真が一切ないんですね。そういうのはこの『旅先でビール』に限ったことではありませんが。
で、ある時期から、川本さんに関しては雑誌に掲載されたものをちょこちょこと集めるようになりました。もちろんこれはきりがないので、特に欲しいものだけ。中でも一番欲しかったのがこの『旅』に掲載されたものでした。

川本三郎さんの記事が載っている特集のタイトルは「実踏ガイド 探見、路面電車の走る町」。川本さんはこの特集で2つ記事を書かれています。そしてそこには予想通り川本さん自身が撮影されたはずの写真や、川本さんが歩かれた場所の地図も載っていました。
ということでその写真を紹介。写っている写真のほとんどはすでにこのブログで紹介しています。
まずはこのページの写真。
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いちばん上は岡山市内を走る路面電車を大きくとらえたもの。その下が京橋を走っている路面電車。やはりこれは撮りたくなる場所です。僕もこんなふうに。
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そしてその下は内田百閒の生家跡にある碑。
これは僕の撮った写真。このすぐ近くに小川洋子さんが生まれ育った家があります。
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次はこのページの写真。
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右上は岡山城。目の前を流れているのは旭川ですね。
おっと思ったのはその下。
例の(というのは大好きなシンガーソングライターの青葉市子さんがここでライブをされたんですね)禁酒会館です。目の前には電車が走っています。川本さんが訪ねられた当時にはまだ僕も行ったことのあるクラシックのレコード店があったんですね。今はそこはキリスト教関係の本を売る書店になっています。一階にはなかなか感じのいいカフェも作られています。
これは2年ほど前に撮った写真。確か車の中から撮りました。
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ちなみにこれはその禁酒会館(左のほうに見えます)と城下の交差点あたりを走る路面電車をビルの上からとらえたもの。この場所はこの日のブログで紹介しています。川本三郎さんが禁酒会館の写真を撮った場所もどのあたりかわかりますね。
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実は先日コピックを買った画材屋さんは、この写真の左の少しだけはずれたあたりにあります。そして小沼丹の『汽船』を見つけた古書市が開かれていたのが正面右に見える建物の一階。
ところでこの写真を撮った場所にあった喫茶店は僕が行って間もなく閉店したと聞きました。絶好の場所だったのに。この風景が見える窓際にカウンターを作ってくれていたら何度でも行くんだけど。今、どうなってるんだろう。

さて、禁酒会館の下の建物の写真には「旧家の壁に天女のレリーフが」とのコメント。どこだろう。おそらく川本さんが歩かれていたときに見つけられたんでしょうね。

左上の家は、荷風が下宿していた三門の家。川本さんが行かれたときには荷風が暮らしていた建物があったようですが、僕が3年くらい前に行ったときにはその建物はなくなっていました。これがそのときの写真。
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この雑誌を手に入れて一番うれしかったのはその下の写真。
この日のブログで、世田谷ピンポンズさんの「ホテルリバーサイド」にからめて川本さんが行かれた成田屋のことに少し触れていますね。川本さんが立ち寄られたのはどこにある成田屋だったんだろうかと。
でも、これでわかりました。成田屋の栄町店。ホテルリバーサイドからはちょっとだけ離れていました。

この成田屋に関して川本さんはこんなことを書かれています。ちょっと長いけど引用します。ママカリも出てきますね。この10年後くらいに川本さんは牛窓を再訪されて、そこでやはりママカリを食べられています。

 さてどこで夜のビールを飲むか。岡山といえば丸谷才一の名著「食通知ったかぶり」に登場する”西国一の鮨や”魚正(うおしょう)が有名だが、前までいったものの高級料亭風でいささか敷居が高い。一人で入るには気が引ける。
 ネオン街をぶらぶら歩いて成田屋という大衆居酒屋に入った。チェーン店だから期待しなかったのだが、ここは素晴らしかった。カウンターがあってひとり静かに酒を飲むのが好きな男たちが桃源郷にひたっている。品書きに名物のママカリはじめ湯豆腐、天ぷら、焼鳥、刺身なんでもある。しかも安い。なんと荒煮が160円、湯豆腐は190円。あとは推して知るべし。しかも鳥でだしを取ったという湯豆腐のうまいこと。あとで岡山ではいちばん愛されている店だと知った。
 ビール二本ですっかりいい気分になって電車通りをその夜のホテルまで歩いた。がらんとした電車がごとごととそばを走り抜け、駅に帰っていった。

夜のちょっと遅い時間の電車が走る風景もメルヘンチックでいいものです。そういえば高橋和枝さんも、夜、車内に明かりのともったバスが走る風景が好きだと言われていました。同感!

というわけでこのあたり、いつかゴーゴーツアーでどうぞ。
百閒の生家から少し足をのばせば古書五車堂さんもあります。
といいつつ、相当に体力がいりそう。川本さんの体力(当時55歳)、脚力はすごいな。荷風が下宿していた家は諦められたほうがいいかもしれません。
ちなみにこれは高橋和枝さんが例の『泰子の時間』に描かれたゴーゴーツアーの絵。
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久しぶりに青葉市子さんのことを書いたので最後に彼女の『うたびこ』というアルバムに収録されている「3びきのくま」という曲を。オリジナルは大貫妙子さん。作詞も大貫さん。作曲は坂本龍一。「4ひきのくま」だったらくまくまトーンズだったんだけど。



この日のブログに、おひさまゆうびん舎で世田谷ピンポンズさんとピンポンズさんのCDのジャケットデザインを手がけられている輪佳さんに初めてお会いした日のことを書いていますね。その日、家に戻ってすぐにピンポンズさんのことを調べて「チンチン電車の走る街で」という曲を作られていることをチェックしています。まさかこの出会いから、あんなふうになっていこうとは。

この日の話の最後が青葉市子さんの曲の話になっていて、ちょっとびっくりでした。

さらにその日のブログでリンクしていたこの日のブログは「鳥」の話。星野道夫の話も出てきます。

そういえばおひさまゆうびん舎の5周年記念冊子のアンケートで「人以外で変身するなら何になりますか?」というのがあって、僕が最初にぱっと浮んだのはワタリガラスでした。でも、結局別のものにしたのだけど。
で、冊子をいただいてみたら「鳥」が何人も。高橋和枝さんも鳥でした。
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by hinaseno | 2016-05-07 11:01 | 雑記 | Comments(0)