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by hinaseno
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「しょうじ」が聴き続けていたのは目蒲線の音


すごいものを発見してしまいました。興奮して何から書いていいやらです。

その前に。
いつもブログは、前日あたりから空いた時間を利用して下書き用のファイルにちょこちょこと書いていって、最後に少し時間のあるときに最終チェックをして写真や音源を貼りつけてアップしています。
昨日も一旦は書き終えていましたが、最終チェックをするまでに時間が空いてしまったので、そのときにある雑誌をパラパラとめくっていたらそれを発見してしまったんですね。
小津安二郎の『東京物語』の「撮影日程表」というもの。
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『東京物語』のロケ地などが克明に記載されていて、びっくりすることだらけ。それを見ていたら7月2日つながりに気がついたので、最後に少し書き足しました。三石のことについてはまた改めて詳しく書こうと思っています。

『東京物語』は昭和28年6月から7月にかけて撮影されていたのですが、残念なことに 小津の日記は6月19日までしか残っていなくて、その年の残りの部分を記した日記は焼失してしまっているんですね。次なる作品の『早春』のことを知る上でも、もっとも貴重な部分が失われていたわけです。
でも、その重要な時期の詳細な日々の記録が書かれているものがあったんですね。そこにはこのブログで過去に書いた推測(当て推量)を証明するものがいくつも。

この「撮影日程表」は小津映画の研究者にとっては常識に属する資料なのかもしれませんが、そこに記載されたことの中には僕しか気づき得ないものもあると思っています。その一番が三石に関することですが、それはまた改めてということで、最初に紹介したいのはこの部分。「撮影日程表」の最後の日に行なわれたロケのこと。
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なぜか三日間、間が空いて7月8日にロケが行われています。
この中にこんな文字が。
「目蒲線」

『東京物語』に目蒲線が映るシーンはありません。
でも、僕はこの日のブログで『東京物語』に、あの『生れてはみたけれど』に映し出されているはずの「目蒲線」が登場していることを予想していました。
原節子さん演じる紀子のアパートのあった場所は蒲田がある大田区のあたりで、アパートで聴かれる電車の音は池上線か目蒲線の電車の走る音だろうと。
どうやらこれが当たっていたようです。

それを裏付けるのがこの7月8日にロケした場所。
「目蒲線」の前に書かれているのは「五反田駅附近アパート」。そして次の行に書かれているのが「横浜平沼町アパート」。
それはまさに原節子の住んでいるアパートとして映画に映し出された同潤会の平沼町アパートのこと。これです。
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でも、小津が原節子の住むアパートとして設定していたのはやはり蒲田近辺の目蒲線沿線だったようです。で、映画に使えそうなアパートがないかと思って五反田駅付近のアパートをさがしにいった。でも、どうやらこれはと思えるようなアパートが見当たらずに、(もしかしたら誰かから聞いて)結局、横浜の平沼町にある同潤会のアパートを映したようです。
ただし電車の音は目蒲線でなければならなかったので、それを録りに行ったんですね。もしかしたら映画では使わなかった目蒲線を走る電車の映像も撮っていたかもしれません。

というわけで、あの日の推測は当たりと言ってもいいんだろうと思います(自慢ではないけど、このブログで書いてきた推測は結構当たっています)。

『東京物語』で聴かれる目蒲線の音は、この映像の45:05あたりで聴くことができます(1:22:15あたりでも)。



電車の音が聴こえる瞬間の映像がこれ。
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右側の本棚の上に「しょうじ」の遺影があります。
紀子の住むアパートに置かれた「しょうじ」の遺影が聴き続けていたのは目蒲線の音だったんですね。

※追記:「目蒲線」の横に「不動院」と読める字が書かれてあって、どこだろうかと思っていましたが、もしかしたら五反田駅に近い目蒲線の不動前駅のことなのかもしれません。隣の駅はアゲイン、ペットサウンズのある武蔵小山駅です。ちなみにこのあたりは大田区ではなく品川区ですね。
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by hinaseno | 2016-04-09 15:16 | 映画 | Comments(0)