「Tシャツに口紅」の話の最後に「Tシャツに口紅」にまつわるとびっきり素敵なエピソードを紹介しておきます。それは「Tシャツに口紅」のレコーディング、歌入れをした日のこと。
その話は昨日紹介した鈴木雅之さんさんのインタビューでも語られていました。鈴木さんにとって、大瀧さんとの最高の思い出のひとつになっているようです。
大瀧さん、ただ曲を作っただけでなく、それをこんな形で手渡していたんですね。ロマンチックというか何というか。とうぜん、受け取った側は大事にしなければと思いますね。
というわけで、いつか湘南の海を前にして、夜明けの、空が青から赤へ変わる瞬間に大瀧さんの歌う「Tシャツに口紅」を聴いてみたい。
ところで、大瀧さんの年譜を見ると、「Tシャツに口紅」のレコーディングがあったのは1983年7月1日。
ということは「Tシャツに口紅」のテープを聴いたのは7月2日の早朝。
そのちょうど30年前の1953年7月2日の早朝、小津安二郎と脚本家で小津の盟友でもある野田高梧は、上りの汽車の中で、ある風景が現われる瞬間をずっと待っていました。たぶん手許の時刻表を見ながら「そろそろだぞ」とか言いながら。
そして待ちに待ったその風景が突然現われます。
山あいに煙突の立ち並ぶ風景。
この風景を見て二人は確信します。この風景を次の映画で使おうと。
場所はもちろん三石。
その話は昨日紹介した鈴木雅之さんさんのインタビューでも語られていました。鈴木さんにとって、大瀧さんとの最高の思い出のひとつになっているようです。
トラック・ダウンが終わった後、大瀧さんがいきなり「じゃあ、このテープを以て海へ行こう」って言い出して。歌い出しが「夜明けだね 青から赤へ」だから、夜が明ける海辺で聴こうって。我々と大瀧さんと、みんなで車連ねて、ラジカセを持って、湘南の海へ行ったんです。
深夜の横浜新道を飛ばして。で、太陽が上がってくる、ほんとに青から赤に変わっていくような瞬間のときに大きな音でテープを流して…。
大瀧さん、ただ曲を作っただけでなく、それをこんな形で手渡していたんですね。ロマンチックというか何というか。とうぜん、受け取った側は大事にしなければと思いますね。
そのときにやっぱりこの曲は大切に歌わなきゃって思ったんです。
というわけで、いつか湘南の海を前にして、夜明けの、空が青から赤へ変わる瞬間に大瀧さんの歌う「Tシャツに口紅」を聴いてみたい。
ところで、大瀧さんの年譜を見ると、「Tシャツに口紅」のレコーディングがあったのは1983年7月1日。
ということは「Tシャツに口紅」のテープを聴いたのは7月2日の早朝。
そのちょうど30年前の1953年7月2日の早朝、小津安二郎と脚本家で小津の盟友でもある野田高梧は、上りの汽車の中で、ある風景が現われる瞬間をずっと待っていました。たぶん手許の時刻表を見ながら「そろそろだぞ」とか言いながら。
そして待ちに待ったその風景が突然現われます。
山あいに煙突の立ち並ぶ風景。
この風景を見て二人は確信します。この風景を次の映画で使おうと。
場所はもちろん三石。