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by hinaseno
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「Tシャツに口紅」の次に好きな曲といえば


大瀧さんが歌う「Tシャツに口紅」を初めて聴いたのはNHKの『SONGS』の特集。放送されたのは3月19日の夜。
『DEBUT AGAIN』は3月21日発売で僕もその日に手に入ったのですが、東京のCDショップではすでにその前日の18日あたりから『DEBUT AGAIN』が売られ始めていたようで、ネットで僕がチェックしている人たちは続々とその感想を書いていました。
でも、とにかく極力目に入れないようにしました。たった一日で消えてしまうアゲインの石川さんのコメントも失礼ながら流し読み。

そういえば石川さんが書かれていたことで記憶に残っているのは「快盗ルビイ」をリピートしていっしょに歌っていたとの話。
同感。
『DEBUT AGAIN』に収録されていた曲の中でいっしょに口ずさみたくなるのはダントツで「快盗ルビイ」。
その理由をちょっと。

大瀧さんが他人に曲を作るときに(おそらくは松田聖子の「風立ちぬ」以降)、昨日も書いたように、おそらくはある程度のメロディのイメージは描きつつも、まずオケから作って、その後でメロディを作っていったようですが、メロディを作る際に歌い手の技量はかなり考えたようです。『EACH TIME』があれほどに難しいものになって、一般人には気軽に口ずさめなくなってしまったのはそれだけ歌手大滝詠一の技量が優れていたから。
で、大瀧さん本人の次に難しいメロディを与えていたのはやはり松田聖子さん。大瀧さんが彼女に作った曲(全部で7曲)はとにかく歌うのが難しい。
といっても大瀧さんが曲を依頼された頃は松田聖子さんは単なるアイドルとして歌い手としての能力を評価していた人は少なかったはず。でも、大瀧さんはその優れた見抜いていたようです。だからこその曲作り。曲をもらった聖子さんが「歌えない」と言ったのも無理もありません。
例えばこの「いちご畑でつかまえて」。



「好きな人できたら」あたりからの転調に次ぐ転調でとんでもないメロディ・ラインになっているのですが、聖子さんは見事に歌いこなしてとびっきり魅力的なポップスにしています。やはり不世出のシンガーです。
ただ一つ言えるのは大瀧さんの曲を歌いこなしたことで、彼女が歌手として数段レベルを上げたことだけは確かなこと。

一方、まだ映画の主題歌の「セーラー服と機関銃」しか歌ったことがなくて歌手としての力量が乏しいと言わざるを得なかった薬師丸ひろ子さんに作った曲はいずれもかなり平易なメロディが与えられています。特に最初に「探偵物語」の主題歌として作られた「すこしだけやさしく」は正直なところ大瀧さんが作ったものとしてはつまらない曲だなと思ったものでした。でも、松田聖子さんのような曲を歌わせたらどんなことになるかは大瀧さんはわかっていたんでしょうね。
ただ、当初はB面予定の「海のスケッチ」と題されて作られた「雨のウェンズデイ」タイプの、「すこしだけやさしく」よりは数段深みのあるメロディをもった曲が結果的に「探偵物語」の主題歌になり、それをいろんな場で何度も歌うようになったことで薬師丸さんが歌手としての技量を上げたことは言うまでもありません。
同じことは「Tシャツに口紅」を歌った鈴木雅之さんも言っていましたね。
大瀧さんはそのシンガーの技量を量りつつも、歌手として一歩も二歩も大人に成長できるような曲作りをしていたわけです。森進一さんの「冬のリヴィエラ」もしかり。小林旭さんの「熱き心に」は例外。

渡辺満里奈さんの「うれしい予感」に関していえば、サウンド的にはナイアガラファンには最高のものですがメロディは平易。それから満里奈さんは一般的な女性よりもキーが低いので、彼女の歌ったオケをそのまま使って男性が歌うのはしんどいですね。大瀧さんの声も相当に低くて、聴くのはちょっとしんどい。これはとりあえず歌ってみたということですね。

で、小泉今日子さんの「快盗ルビイ」。
大瀧さんは曲を依頼される前から小泉さんに注目していて、彼女の歌手としての才能も高く評価していたようです。特にコミカルな部分を含めてのアイドル性。
松田聖子さんは圧倒的に歌がうまかったのでどこまで歌いこなすことができるんだろうというところから曲を作ったような気がしますが、小泉今日子さんに関しては大瀧さん自身も大好きだった60年代のアイドル歌謡的要素をふんだんに取り入れて作っているので曲としての魅力は抜群。
さらに曲は女性キーですが「うれしい予感」ほど低くはなくて男でもちょうど歌いやすい。この音域で歌う時の大瀧さんはまたいつもとは違った魅力的な声になります(大瀧さんもそれを知っているので、「オリーブの午后」ではあえて女性キーで歌ったりしています)。おふざけも入っているけど、本当に楽しそうに歌っています。
この曲は本当に歌って楽しい曲。
「Tシャツの口紅」の次にお気に入りの曲はと訊かれたら、迷うことなく「快盗ルビイ」だと答えます。
「快盗ルビイ」のヒミツについては以前ここに書きましたね。

というわけで「快盗ルビイ」の小泉今日子さんと大瀧さんのデュエット・バージョンを。



もちろん小泉今日子さんが歌ったものと『DEBUT AGAIN』に収録された大瀧さんが歌ったものを混ぜて作ったものですね。二人が実際にいっしょに歌ったわけではありませんが、レコードの時代からこういう作られ方をしたデュエット・ソングはたくさんあります。

と、いろいろと分析的なことを書いてしまいましたが、『SONGS』の特集で大瀧さんの歌声が流れてきたときには、さすがに平常心ではいられなくなりました。
特に大瀧さんが使っていたというこのマイクがアップになったときには感極まってしまいました。
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この映像、やられてしまいますよね。
マイクに光が当たって、あたかも大瀧さんが声を出しているかのように小さな粒子がマイクのあたりに飛んでいるのですから。
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by hinaseno | 2016-04-01 12:48 | ナイアガラ | Comments(0)