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by hinaseno
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坪田譲治展のこと


岡山市にある吉備路文学館に行って開催中の坪田譲治展を見てきました。坪田譲治展が開かれていることはつい先日知って、開催期間が今月中ということであわてて。

坪田譲治という作家は今まであまり触れることのない人でしたが、最近になって間接的にいろんな形で接してきました。
まず、最も大きなものとしては例の山高登さんが全ての号の表紙を描かれた『びわの実学校』。坪田譲治という人を意識するようになったのは山高登さん経由でした。坪田譲治が岡山出身の作家であることもそのときにはじめて知りました。

それから川本三郎さん経由で知った『風の中の子供』という映画。その原作が坪田譲治でした。監督は小津の友人でもある清水宏監督。清水宏は子供好きで『蜂の巣の子供たち』など子供を主人公にした映画をいくつも撮っています。どれもいい映画なんですね。今確認したら『風の中の子供』の原作の舞台は坪田譲治が生れ育った岡山市とのこと。映画はどこでロケされたんだろう。改めて原作を読んでみようと思います。

展示場の部屋に入って最初に紹介されていたのは坪田譲治が師事した小川未明との関係のこと。小川未明もこれまでほとんど触れることのなかった作家ですが、先日、高橋和枝さんが絵を描かれた『月夜とめがね』という素晴らしい作品を買ったばかり。箱も買いました。

それからやはり『びわの実学校』も展示されていました。ただし第一号だけ。でも、そのそばに十周年記念の寄せ書きをした色紙が展示されていて、その中にもちろん山高登さんの名前もあり、ちょっとうれしい気持ちに。

さて、坪田譲治展で一番気になっていたのはやはり木山捷平との関係のこと。年はかなり違いますが、二人とも岡山出身で一時期雑司ヶ谷に住んでいたこともあり何らかの接点があるのではと思っていたらやはり。
坪田譲治に宛てた木山捷平の手紙が二通展示されていました。
一通は昭和16年12月24日付の「『河骨』出版記念会の出席の礼状」。木山捷平の『酔いざめ日記』を見るとこの年の4月30日に『昔野』と『河骨』出版記念会が開かれていて、その招待した人の中に坪田譲治の名がありました。ちなみにこの中には木山さんが詩を書いていた頃からの旧友で後に『びわの実学校』の第一号にも作品を載せている野長瀬正夫の名前もあります。坪田譲治と野長瀬正夫が知り合うきっかけになったのはもしかしたら木山さんなのかもしれません。
ちなみに村井武生はこの前年に大陸に渡っていたので会には参加していません。
ところでこの礼状、書かれたのは出版会から8ヵ月も後のこと。はっきり言って字もかなり汚くて読みづらい。脱字もちょこちょこあって、あとで書き足しをしています。礼状というには「・・・」な内容。
でも、まだ無名といってもいい時代の木山さんからのはがきを坪田譲治はきちんととっていたんですね。

もう一枚は昭和25年12月26日に書かれたもの。「病気中のため返事遅れの詫で」と題名がつけられていました。『酔いざめ日記』を見るとこの前月の11月25日に坪田譲治の還暦祝賀会が開かれていて木山さんが招待されていたようです。その礼状が坪田譲治から届いていたのにすぐに返事が書けないでいたわけですね。日記を見ると12月頃から持病の神経痛が出ていたようで、坪田譲治に返事を書いた12月26日の日記にはこんなことが書かれていました。

小生神経痛のため不自由な足で外出出来ず。(中略)今年も体が悪くて年の瀬となった。一人暮し心身共に疲れた。妻も子も亦哀れである。

さて最後に真ん中の展示コーナーを見ました。そこには坪田譲治文学賞を受賞した作品がずらりと。やはり子供を主人公にした小説ばかりのようです。
展示されてた作品で僕が持っているのはただ一冊。いしいしんじの『麦ふみクーチェ』。これは大好きな作品。このあといしいさんの作品はいくつか読みました。

おもしろかったのは坪田譲治文学賞のコーナーのおしまいに、なぜだか木山捷平文学賞の作品が何冊か並んでいたこと。
その中にはもちろん堀江敏幸さんの『雪沼とその周辺』がありました。この日のブログでも紹介しましたが、本当に大好きな本。

ところでその日のブログの最後は発売されて間もない『EACH TIME 30th Anniversary Edition』に触れていますね。ボーリングつながりの話で、先日のNHKの「SONGS」でピアノやチェンバロを演奏された井上鑑さんの話も。
というわけで、次回はいよいよ『DEBUT AGAIN』、というか例の”秘密の”『EACH TIME』の話になります。

ちなみに”秘密の”『EACH TIME』にはこんな別バージョンもあります。
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by hinaseno | 2016-03-28 10:50 | 雑記 | Comments(0)