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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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くまくまちゃん 歌う


そういえばおひさまゆうびん舎5周年のイベントをそばで見つめていた大事な存在を忘れていました。高橋和枝さんが今回特別に描き下ろしされたくまくまちゃん。一畳くらいの壁に50ぴきくらいはいたでしょうか。残念ながら一番に目がとまった絵は売約済みになっていました。それから高橋さんが紙粘土で作られたというくまくまちゃんもぜひ見たかったのですが、こちらも売れた後でした。残念。
でも残ったくまくまちゃんたちが、あちこちでおめでとうとありがとうのメッセージを送っていました。ときにはピンポンズさんの歌にあわせてバックコーラスも。

そういえばイベントでいただいたこのポストカード。
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おひさまゆうびん舎5周年のために特別バージョンのくまくまちゃんを描かれたんですね。店内で窪田さんの代わりに店番をしている(あるいは窪田さんが変身した)くまくまちゃんが手にしているのは窪田さんの大好きな小山清の『落穂ひろい』。この絵の中にも小さな幸せがいっぱいにあふれています。これはおひさまゆうびん舎で販売しているのでぜひ記念に。

さて、木漏れ日ならぬ”本”漏れ日が差し込む中で始まった夏葉社の島田さんと世田谷ピンポンズさんのトークは、それぞれが経験した暗黒時代の話からスタート。肥大化する自意識の中で過ごしていた孤独な日々の話。
考えてみたら昭和2年の姫路時代の木山捷平はまさに彼の暗黒時代でした。思い出したくもない時期。それは後に姫路のことだけは木山さんがほとんど触れないようにしてきたことからもよくわかります。
その意味では、世田谷ピンポンズさんが昭和2年の木山捷平の詩に反応してくれたのは、そうした暗黒時代を同じような年齢のときに経験されたからこそなのかもしれません。

木山さんにとっての暗黒時代ともいえる昭和2年の姫路時代を知ることができるのは『木山捷平全詩集』に収められたいくつかの詩と大西重利の手を借りて発行した5輯の『野人』のそれぞれに書かれた後書きだけ。売れるようになっても姫路時代のことだけは完全に沈黙していました。
『野人』の第二輯(昭和2年8月1日発行)に収められた「ポプラの梢」はその時期の木山さんを象徴している詩といえるかもしれません。

 風に順応してゐるのではない。
 ポプラの梢は
 つよい反抗をつづけてゐるのである。

ただし、この詩は昭和42年発行の『木山捷平詩集』に掲載されたときには、最後の言葉が変えられています。

 風に順応してゐるのではない。
 ポプラの梢は
 腹のへり加減を見てゐるのである。

おそらくは自身の自意識ともそれなりに折り合いがつけられるようになって、孤独ではなくなったときに書き直されたものだろうと思います。現在文庫本になっている『木山捷平全詩集』に収録されているのは、こちらの書き直しされたもの。でもそれは厳密には昭和2年のものではありません。

「ポプラの梢」を収めた『野人』の第二輯の「後記」にはこんな言葉が書かれています。

 しづかさを欲する心。それと反対のものを求める心。その二つがたえず自分の生活を往来する。こんな矛盾は私一人が持つてゐるばかりなのだろうか。
 せめて、自己を正しく、正しき自己へ。―――それだけが私たちの修行である。堕落するな。妥協をするな。そして腐れた社会を観照せよ。そこにのみ真の純粋がある。

 いやにきどつた文化式の詩、概念の羅列ばかりの詩、そんなものはもう亡びてもいゝ時である。
 そして新しいほんたうに新しい詩が生れ出なければならない時である。

でも、残念ながら『野人』は全く反響を呼ぶことなく、その発行を経済的にも支えてくれたはずの姫路で「たつた一人の友」である大西重利とも会えなくなってします。来たくもない土地にやってきて、詩人として独り立ちする夢も信頼する友も失った、その最も暗い時期に書かれたのが「船場川」であり「朝景色」でした。

ところで、イベントから戻ってきた日の夜、おひさまゆうびん舎でいただいた窪田さん特製の記念冊子を、ときにはニコニコと、ときにはしんみりとしながら読み終えた後で、毎晩一編ずつず読み続けている木山捷平の未刊行短編集『暢気な電報』に収められた短篇を読んだら、あっと驚くようなことが。
これについてはまた次回。

下の写真の左にあるのがおひさまゆうびん舎の記念冊子。一応僕の恥ずかしい文章も載っています。そして右が今回買ってきたくまくまちゃんのポストカード。ギターを持ったくまくまちゃんです。
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高橋さんが紙粘土で作られていたのはこのギターをもったくまくまちゃんでした。
これですね(おひさまゆうびん舎のブログから写真を拝借しました)。
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by hinaseno | 2016-03-15 13:52 | 雑記 | Comments(0)