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by hinaseno
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ナイアガラ・ムーンがまた輝けば、太陽は光り輝く(その2)


『太陽は光り輝く(The Sun Shines Bright)』が公開されたのは1953年。映画の舞台は南北戦争から40年くらい経った1900年頃のケンタッキー州の小さな町。南部の町ではありませんが黒人が多く住んでいます。
前年に公開された『静かなる男』がジョン・フォードの祖国のアイルランド讃歌であるならば、 『太陽は光り輝く』は南軍讃歌というべきもので、昔から(アイルランド同様)南軍に対するシンパシーを持っているので、それだけで心惹かれるものがありました。
ちなみに僕はジョン・フォードといえば見ていたのは西部劇ばかりで、唯一の例外が『静かなる男』。これは村上春樹が『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』で大好きな映画と紹介していたので手に取りました。

『太陽は光り輝く』で興味深いのは出演者。
ジョン・フォードの映画は小津の映画がそうであるようにお決まりの俳優たちが登場していて、ときに映画がごっちゃになってしまうのですが(興味深い例は村上さんの『めくらやなぎと眠る女』に出てくる『リオ・グランデの砦』と『めくらやなぎと、眠る女』に出てくる『アパッチ砦』)、『太陽は光り輝く』にはジョン・ウェインもヘンリー・フォンダもモーリン・オハラも、あるいは傍役のウォード・ボンドも、そして騎兵隊三部作の『アパッチ砦』『黄色いリボン』『リオ・グランデの砦』や『静かなる男』のすべて出ていたあのヴィクター・マクラグレンも出演していません。でも、だからこそ、この作品は愛すべき小品になっています。

映画の後半、いかがわしい職業についていた女性の葬儀のシーンからは圧巻。多くの人が偏見の目で見つめる中、判事の行動に共感を覚えた人がひとりひとり自発的に行列に加わっていくシーンは涙なくしては見れません。素晴らしいの一語。
そして、最後、映画の最初ではヴィクター・ヤング楽団によって演奏されていた「My Old Kentucky Home」が、黒人たちによって歌われます。これも泣けました。
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この画像の1:27:43あたり。



かなり感極まっていたら、さらにこの後びっくりするようなオチが待ち受けていました。日本盤のDVDの最後に写ったのがこの文字。
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山下達郎さんのいたシュガー・ベイブのベーシストで、大瀧さんとも親交のあった寺尾次郎さんがこの映画の字幕をされていたとは。寺尾さんはフランス映画の字幕だけかと思っていました。

で、寺尾次郎さんが大瀧さんの曲でベースを演奏しているのを調べたらただ1曲だけありました。
それがなんと『ナイアガラ・ムーン』のアルバムの最後に収められた「ナイアガラ・ムーンがまた輝けば」。『ナイアガラ・ムーン』のほとんどの曲のベースを弾いているのは細野晴臣さんですが、この1曲だけ寺尾さんが演奏。
『太陽は光り輝く』の最後のオチが「ナイアガラ・ムーンがまた輝けば」とはすごいですね。

先日立ち寄った古書展にあった古い『キネマ旬報』をめくっていたら、グラビアに『太陽は光り輝く』が掲載されていました。ラッキー。
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by hinaseno | 2015-10-23 12:03 | 映画 | Comments(0)