川本三郎さんの本などで何度も紹介されていて一度は見なくてはと思っていたサミュエル・フラー監督の『東京暗黒街 竹の家』をようやく見ました。ロバート・ライアン主演のギャング映画。
ギャング映画なんて全く興味はないんですが、この映画のポイントは昭和30年の東京を舞台にしていること。しかもカラー。とにかく風景をずっと見ていました。
川本さんの本で浅草の松屋が出てくるのは知っていましたが、松屋の場所をきちんと確認したことがなかったので、いきなりこの場面が映ったときにはびっくりでした。
松屋デパートの屋上からの風景。右の方に見えるのは間違いなく隅田川。というわけで手元にある昭和34年の地図で確認。
映像は松屋の屋上の南の端から北東方向を捕らえたものであることがわかりました。というわけで手前に見える橋は東武線の鉄橋、そしてその向こうに見えるのは言問橋と推測。で、確認のために岩波写真文庫の『川 ―隅田川―』(昭和25年刊行)を見たら、「浅草松屋の屋上から上流を見る」と題されたこんな写真が載っていました。
全く同じですね。「手前の橋は松屋内の駅からでている東武線の鉄道、その上の橋は言問橋」と書かれています。
映画ではこのあとこんなシーンも。
松屋の屋上の遊園地にあったスカイクルーザーから、隅田川の下流を捕らえています。手前に見えるのが駒形橋、その向こうに見えるのが厩橋ですね。
ちなみに松屋のすぐ近くにある吾妻橋は(たぶん)映りませんでした。ちょっと残念。
でも、予期せぬ映画で隅田川の橋を3つもみることができてとてもラッキーでした。
ところで今朝読んだ荷風の『断腸亭日乗』の昭和15年7月12日に松屋が出てきてちょっとびっくり。
今からちょうど75年前の浅草、隅田川河畔の夜の風景。
ギャング映画なんて全く興味はないんですが、この映画のポイントは昭和30年の東京を舞台にしていること。しかもカラー。とにかく風景をずっと見ていました。
川本さんの本で浅草の松屋が出てくるのは知っていましたが、松屋の場所をきちんと確認したことがなかったので、いきなりこの場面が映ったときにはびっくりでした。
松屋デパートの屋上からの風景。右の方に見えるのは間違いなく隅田川。というわけで手元にある昭和34年の地図で確認。
映像は松屋の屋上の南の端から北東方向を捕らえたものであることがわかりました。というわけで手前に見える橋は東武線の鉄橋、そしてその向こうに見えるのは言問橋と推測。で、確認のために岩波写真文庫の『川 ―隅田川―』(昭和25年刊行)を見たら、「浅草松屋の屋上から上流を見る」と題されたこんな写真が載っていました。
全く同じですね。「手前の橋は松屋内の駅からでている東武線の鉄道、その上の橋は言問橋」と書かれています。
映画ではこのあとこんなシーンも。
松屋の屋上の遊園地にあったスカイクルーザーから、隅田川の下流を捕らえています。手前に見えるのが駒形橋、その向こうに見えるのが厩橋ですね。
ちなみに松屋のすぐ近くにある吾妻橋は(たぶん)映りませんでした。ちょっと残念。
でも、予期せぬ映画で隅田川の橋を3つもみることができてとてもラッキーでした。
ところで今朝読んだ荷風の『断腸亭日乗』の昭和15年7月12日に松屋が出てきてちょっとびっくり。
今からちょうど75年前の浅草、隅田川河畔の夜の風景。
午後平井君来る。共に土州橋に至り日本橋の花村に食して浅草に往く。オペラ座舞台稽古を看て翌朝の三時に至る。溽暑甚しく家に帰るも眠り難きを知り稽古場に雑談して夜のあくるを待ちたりしなり。然るに稽古は案外早く終り踊子芸人達も皆かへり去りたれば平井谷中の二氏と共に花川戸松屋百貨店の軒下または隅田公園の腰掛に、折々帰来る小雨を傘のかげに避けながら徐に夏の夜の明け行くを待ちたり。吾妻橋〻上の燈火一斉に消るを見し時、遥に電車の響のきこゑ初めて一人二人歩行の人影も見え初めぬ。隅田川の水の濁りて臭気甚しきこと夜明けは殊に堪難きばかりなり。