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by hinaseno
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三井弘次と加東大介


先日、『キネマ旬報』の1958(昭和33)年5月下旬号に掲載された加東大介のインタビュー記事を紹介しましたが、そのときにあることをふと思いついて、確認したら、やはり!でした。

加東大介は「今日の傍役」のいう連載の4回目。
手元にあった1958(昭和33)年4月下旬号の望月優子が「今日の傍役」の3回目。そして1958(昭和33)年8月下旬号の志村喬が7回目。ということはどうやら「今日の傍役」の第1回目は1958(昭和33)年2月下旬号のはず。
この第1回目の人がなんとなく三井弘次のような気がしたのですが、見事的中。
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ただ、タイトルが「今日の傍役」ではなく「傍役の研究」となっています。きっと「研究」ではいくらなんでも堅苦しいのでタイトル変えたんでしょうね。
この「傍役の研究(→今日の傍役)」という特集をはじめるきっかけになったのは、三井弘次が前年度の1957年に毎日映画コンクール賞とブルーリボン賞の男優助演賞を受賞したことだったようです。三井さんのインタビューは受賞式の直後くらいだったかもしれません。

実はこの二つの賞、加東大介も成瀬巳喜男の『おかあさん』で1952年に受賞しているんですね。加東大介は尊敬する三井弘次よりも先にこの賞を受賞していたわけです。
これについて加東大介は先日紹介したインタビューでこんなことを語っていました。加東さんの人柄がとてもよく出ています。
考えてみると、加東大介という役者は、大変幸運な男だと思います。ほんとうです。そりゃあ、人間実力次第ということも、ほんとうには違いないけれど、やっぱり運、不運ということはありますよ。そう思いませんか。たとえば、私の尊敬する三井弘次さんをごらんなさい。彼、今年になってあちこちから演技賞を取ったりして、なにか一躍脚光を浴びたかたちだけど、なにも彼が急にうまくなったわけじゃない。彼の演技力というものは、以前からそれこそ折紙つきだといっていい。それが昨年度の演技賞を貰ったということは、たまたま昨年ベスト・テン級の作品に出演したからなんだ。「気違い部落」とか「どん底」とかね。作品がよければ、役者もはえます。今までが、恵まれなさすぎたんです。私なんぞより、当然早く賞を貰っていい方です。

そんな三井さんのインタビューもいい話が多いです。何よりも傍役の地位が上がってきたことをいちばん喜んでいます。
さて、三井さんのインタビューでは当然小津の話が出てきます。
これ(=与太者シリーズ)をやっているうちに、小津先生に認められて、「非常線の女」という映画に出ることになりました。やっぱり中学生の不良の役で、与太者の一種です。しかし、何といっても小津先生についたということは、ぼくにとってたいへんなことでした。第二の人生が拓けたといってもいいくらいです。ずいぶんといろんなことを学びましたし、仕事をやりながら考えさせられる。以来、小津作品には何度も出たし、ずいぶん御世話になりましたが、一貫して小津先生の仕事ぶりは変りませんね。サイレントの頃からセリフを云わせられましたし、細かく芝居の型をつける。そうとう厳しい演出だったけど、こっちが納得できないようなことは云わないし、一概に「口やかましい監督さんだ」ときめつけてしまったら何も得られない。厳しさにこだわったら駄目なんでmこっちが無心に勉強しようと思えば、いくらでも学ぶところのある人です。その頃、先生はさかんにこんなことを云っていました。「十あるものを十までやってはいけない。七つまでやって、あとは次のシーンにのこしておけ」。当時はどういう意味なのかよく解らなかったけれど、最近やっと自分なりに理解できるようになった。おそらく、うまくやろうとしてはいけない、力んで芝居をしてはいけない、ということなんでしょう。考えて噛みしめると、非常に含蓄のある教えである。

そういえば、つい先日、小津の『風の中の牝鶏』(昭和23年)を久しぶりに観返したら、配役で三井弘次が「男A」という役で出演していることがわかりました。どこに出ているんだろうと思っていたら、いかがわしい宿の常連客の一人として麻雀をしてました。こういう役ぴったりですね。
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というわけで加東大介に続いて三井弘次に関する貴重なインタビュー記事が手に入りました。この二人、もっともっと語られていてもいいような気がするのに、ちゃんとした「研究」本はひとつもありません。
だれか『三井弘次と加東大介』というタイトルで本を出してくれないでしょうか。もちろん写真満載で。
たとえば『ここに泉あり』の最も感動的なシーンでのこんな写真なんかがあるといいですね。”傍”にいる二人がとてもいい表情をしています。
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by hinaseno | 2015-07-07 14:31 | 映画 | Comments(0)