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by hinaseno
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武蔵小山と『路地裏人生論』のこと


加東大介のインタビュー記事の載った『キネマ旬報』の1958(昭和33)年5月下旬号をパラパラとめくっていたら、興味深い特集記事が目に入りました。
タイトルは「新・盛り場風土記 武蔵小山」。
なんとペット・サウンズ・レコードのある、そしてアゲインのある武蔵小山の特集でした。当時の武蔵小山の写真もいっぱいです。
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でも、もちろんこの昭和33年にはペット・サウンズもアゲインもありません。いや、ブライアン・ウィルソンは『ペット・サウンズ』どころかビーチ・ボーイズすら結成していないですね。
この特集、商店街の話が中心ですが、びっくりするのは当時、武蔵小山周辺に映画館が5つもあったこと。いちばん新しくて大きかったのはムサシ小山東映。写真を見ると『一丁目一番地』と『大菩薩峠』が上映中のようです。他には巴里座、南星座、バラ座、荏原プリンス座。荏原プリンス座の写真を見るとジェームズ・スチュアート主演の『夜の道』とヒッチコックの『間違えられた男』が上映中。支配人の話によると西部劇や戦争もののときは入りが良かったとのこと。

ところで最初のページには武蔵小山にある小山台高校の写真もあります。昨年のセンバツに都立高校としては初めて出場した学校ですね。
現在、武蔵小山近くの荏原中延で隣町珈琲を経営されている平川克美さんもこの高校を出られているんですね。その平川さんがつい先日出されたのがこの『路地裏人生論』という本です。
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数年前に、朝日新聞で連載されこのブログでも何度も取り上げた「路地裏人生論」がようやく本になったわけです。まさに待ち続けた本でした。まだ読み始めたばかりですが、平川さんの出された本の中で”2番目に”好きになること間違いなしの一冊です。一番目はもちろん”ネクスト・ワン”(@ヒッチコック)です。
目次ページにずらっと並んだタイトルの言葉を見ると、いろんなテーマを扱っているのに、まるで一篇の詩のようにつながっているから不思議です。
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この本には新聞に連載されたエッセイの他に雑誌『ケトル』に書かかれたエッセイと書き下ろしのエッセイも収められています。その書き下ろしのエッセイに添えられているのが高原秀さんという方が撮られた写真。これがまたいいんですね。なんとなく武田花さんの写真を添えられた川本三郎さんの『私の東京町歩き』や『東京万華鏡』に通じるところがあります。
高原秀さんは平川さんと一緒に町歩きをされて写真を撮られたようですが、その場所はどうやら大田区の大森のあたり。写真が撮られた場所を地図で調べていたら、成瀬巳喜男の『おかあさん』のロケ地になっていると思われる場所にとても近いことがわかりました。そのあたりの地図をいろいろ見ていたのは本の数日前のこと。
こんなふうに何かがつながることは本当に愉しいです。
ちなみに『路地裏人生論』には武蔵小山の話も出てきます。タイトルは「神が降り立った場所」。もちろんペット・サウンズ・レコードやアゲインの「I」さんも出てきます。
タイトルの「神」はというと、いうまでもなく大瀧詠一さんのことですね。

とにかく僕にとってはたまらない話がいっぱいです。
小津の映画の話もブライアン・ウィルソンの話も西部劇の話も...
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by hinaseno | 2015-06-29 15:05 | 雑記 | Comments(0)