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by hinaseno
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Treasure Chest of Hits Vol.1


大瀧さんが100枚目に紹介していた『Treasure Chest of Hits Vol.1』。曲目はこうなっています。
A1 The Rays / Silhouettes(Frank Slay, Bob Crewe)
A2 Billy & Lillie / La Dee Dah(Frank Slay, Bob Crewe)
A3 Dave Appell & The Applejacks / Mexican Hat Rock(Jon Sheldon)
A4 Dicky Doo & The Don’ts / Click Clack(Lee, Grant, Doo)
A5 Gloria Mann / Teenage Prayer(Bernie Lowe, S. Bickley Reichner)
A6 Freddy Cannon / Tallahassee Lassie(Frank Slay, Bob Crewe, Frederick A. Picariello)
B1 Charlie Gracie / Butterfly(Bernie Lowe, Kal Mann)
B2 Billy & Lillie / Lucky Ladybug(Frank Slay, Bob Crewe)
B3 Dave Appell & The Applejacks / Rocka-Conga(Dave Appell, Kal Mann)
B4 Timmie Rogers / Back To School Again(Dave Appell, Kal Mann)
B5 Billy Scott / You're The Greatest(Bernie Lowe, Kal Mann)
B6 The Quaker City Boys / Teasin'(Al Hoffman, Irving Fields)

このアルバムに収録された曲のことを知るには、スワン(Swan)・レコードの歴史を知る必要があります。で、すごくありがたいことに、まさにそれが「アメリカン・ポップス伝パート3」の第3夜で語られているんですね。というわけで、その日の放送を参考にしながらスワン・レコードの歴史をひもといてみます。
舞台はフィラディルフィア。その日の放送を大瀧さんは「フィラデルフィア物語」と題されていました。

最初に語られるのがバーニー・ロウ(Bernie Lowe)という人物。彼は相棒のカル・マン(Kal Mann) とエルヴィスの「Teddy Bear」という曲をかいています。この二人が1958年にフィラデルフィアに作ったレコード会社がカメオ(Cameo)・レコード。後にカメオ-パークウェイ・レコードになる、あのカメオです。
このカメオでの最初の大ヒットが5枚目のシングル(と大瀧さんは言われていましたが、調べてみるとどうやら6枚目)であるチャーリー・グレイシー(Charlie Gracie)の「Butterfly」。『Treasure Chest of Hits Vol.1』のB面の1曲目に収録された曲。曲を書いたのはバーニー・ロウとカル・マン。1957年1月にリリース、前年にヒットしたガイ・ミッチェルの「Singing the Blues」にそっくりですが全米ナンバー・ワンの大ヒット。アンディ・ウィリアムスが同じ年に歌ったカバーもやはり全米ナンバー・ワンになっています。
この曲のヒットによってフィラデルフィアという土地に全米の音楽業界が注目するようになり、当然カメオ・レコードのバーニー・ロウとカル・マンの二人の人物にスポットがあたるようになるのですが、このコンビにもう一人の人物が加わることになります。それがデイブ・アペル(Dave Appell)という人。フィラデルフィア生まれで作曲はもちろんのこと演奏、アレンジ、エンジニア、プロデュース何でもできる人だったそうで、カメオ・サウンドの大部分は彼が作ったと言ってもいいとのこと。で、大瀧さんが「アメリカン・ポップス伝」でかけたのが『Treasure Chest of Hits Vol.1』のA面の3曲目に収録されている「Mexican Hat Rock」という曲。
インスト曲ですね。演奏していたのがデイブ・アペル率いるThe Applejacks(同じ名前のグループが60年代のイギリスにもいました)。「Mexican Hat Rock」はかなり古い曲のカバーですね。これがヒット。
で、カメオ・レコードの次の大ヒット(全米3位)がレイズ(The Rays)の「Silhouettes」。『Treasure Chest of Hits Vol.1』のA面1曲目に収録された曲です。ただしこれはカメオの原盤ではなくニュー・ヨークのマイナー・レーベル、XYZというレーベルから出ていたものをカメオが原盤権を買って発売したもの。
このXYZという小さな会社を運営していたのがフランク・スレイとボブ・クルーでした。「Silhouettes」の大ヒットで、カメオ・レコードはフランク・スレイとボブ・クルーに次の仕事を依頼することになります。XYZレーベルでのオーディションで、フランク・スレイとボブ・クルーが選んだのは男性と女性のデュオ。男性の名はビリー・フォード(Billy Ford)、女性の名はリリー・ブライアント(Lillie Bryant)。で、早速デモ・テープをいくつか作ったようですが、デモを聴いたカメオ・レコードの社長のバーニー・ロウは男女がデュエットした曲ではなく、女性のリリー・ブライアントをリード.シンガーにして歌った曲をシングル・カットします。それが「Good Good Morning Baby」。曲をかいたのはもちろんフランク・スレイとボブ・クルー。この曲ではビリー・フォードはバック・コーラスをしているだけ。レイズの「Silhouettes」に似た曲ですが全くヒットしなかったんですね。
というわけで、カメオ・レコードはビリー・フォードとリリー・ブライアントがいっしょに歌った曲をシングル・カットすることもなく、フランク・スレイとボブ・クルーというコンビにも早々に見切りをつけたようです。
この話を聞きつけた、というよりも、もちろんフランク・スレイとボブ・クルーが売り込んだんだとは思いますが、フィラデルフィアにできたばかりのスワン・レコードがこの男女デュオの曲を売り出すことにします。アーティスト名はビリー&リリー、曲のタイトルは「La Dee Dah」。『Treasure Chest of Hits Vol.1』のA面の2曲目に収録された曲ですね。これが全米9位の大ヒット。スワン・レコード初のトップ10ヒット。「カメオ・レコードのバーニーロウは大魚を逃した訳です」との大瀧さんの言葉。
さて、サワン・レコードは早速フランク・スレイとボブ・クリューに次の仕事を依頼します。それがビリー&リリーの次のシングル「Lucky Ladybug」。『Treasure Chest of Hits Vol.1』のB面2曲目に収録されています。これも全米14位のヒット。ということでフランク・スレイとボブ・クリューはスワン・レコードの中心的プロデューサーとなっていきます。
ちなみにこのスワン・レコードの経営に参加していたのがDJのディック・クラーク(Dick Clark)。「アメリカン・ポップス伝」ではこのあと彼がホスト役を務める『アメリカン・バンドスタンド』の話、さらには同じフィラデルフィアに作られたチャンセラー・レコード(例のピーター・デ・アンジェリス・サウンドが生まれた会社ですね)の話になります。
そして再び、スワン・レコード、その後のフランク・スレイとボブ・クルーの話に戻るのですが、彼らはスワン・レコードの依頼で新人探しをしていました。そして見つけたのがフレディ・キャノン。彼が以前に歌っていた曲にフランク・スレイとボブ・クルーが手を加えて新たに録音したのが「Tallahassee Lassie」。これが全米6位の大ヒット。『Treasure Chest of Hits Vol.1』ではA面の最後に収録されています。 この後、フランク・スレーとボブ・クルーはフレディ・キャノンの曲をプロデュースし続けることになります。

ここまでが大瀧さんが語ったスワン・レコードとその中心的なプロデューサーだったフランク・スレイとボブ・クルーのヒストリー。そのヒストリーの重要な曲が、大瀧さんが「私の100枚」の最後に紹介した『Treasure Chest of Hits Vol.1』にいくつも収録されていたわけです。
というわけで、レコードはなかなか手に入りそうにないので、いつものようにこういうのを作りました。
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次回はこの『Treasure Chest of Hits Vol.1』でとりわけ好きなビリー&リリーの「La Dee Dah」の話を。このヒストリーを押さえておいて初めてわかるネタも含まれています。
ところでこのアルバム、タイトルに「Vol.1」とついていますが、どうやら「Vol.2」は出なかったようです。どこかで聞いたことのある話...。
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by hinaseno | 2015-06-25 12:45 | ナイアガラ | Comments(0)