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by hinaseno
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「たねさん」に会いに行く(その7)


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権現様の扉を開くと、正面に紙垂をつけた柱が2本。その棚に神聖なものが祀られていることがわかります。下には小さな石ころがいくつも。どうやら疣をこすれば疣が消えてなくなるという言い伝えのある石ころのようです。
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神棚の中をよく見ると、真ん中におかれた大きな石板(字が読み取れませんでした)の横に、木でできた人形のようなものが...。
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なんと3つもありました。右に2本、左に1本。
よく見ると、左にある1本はかなり古そう。右の2本は、どうやら近年に作られたもののようで、形もかなりイージー。何人もの子供達に遊ばせるために作ったのか、あるいは万が一なくなったときのために予備として作ったのか。でも、どうやらこれが伝説の人形であることは間違いがなさそうです。でも、それが「たねさん」と呼ばれていたかどうかは確認できませんでした。

丘を下りて、丘の周りを歩いていたときに、丘のそばの畑で農作業をしている年配の男の方がいたので、もしかしたら「たねさん」のことをご存知ではないかと思ったので、いくつか訊ねてみました。
丘の上にあるのは権現様であること、その丘の下の、保育園が作られた場所には昔、その方も通われていた福田小学校の校舎があったことも確認できました。
で、その後で、
「あの権現様の中に木製の人形がありますよね...」
と言い出しかけて、さらに「あれは『たねさん』と呼ばれていましたか」と訊く前に、その年配の男性は咄嗟に「たねさん!」と口にされました。その方も子供の頃、祭の日にやはり「たねさん」で遊んだそうです。

そういえば、その方からもう一つ、Fさんの「たねさん」の小説につながる話を教えていただきました。
「権現様の前に大きな木が一本立っていたでしょう。実はあの木には昔、梟の巣があったんですよ。そこにかなり長い間梟が住みついていて、梟の鳴き声がずっと聞こえていたんです」

『木靴』を離れてからのFさんのことは先に紹介した前之園さんの「ある無名作家の孤独」にいろいろと書かれています。ある時期には絵を描かれ美術館で展覧会をされたとか、それからまた何年か後には「ある地方力士のこと」という題の小説を書いて、地方の都市が主催する文学賞で入賞したこともあったそうです。その作品を読まれた前之園さんはFさんの作品が小山清の作品と「そんなに遜色ないところまで達しているように思えるのだった」と書かれています。「たねさん」を読めば、Fさんが若くして優れた作家であったことはよくわかります。
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by hinaseno | 2015-05-29 12:43 | 雑記 | Comments(0)