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by hinaseno
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映画『森崎書店の日々』のことから、いろいろと


先日、日本映画専門チャンネルで放送された『森崎書店の日々』という映画を見ました。 古書店で働くようになった女の子の物語。 この映画のことは、いろんなところでちらちらと目にしていたので気になってはいましたがようやく。川本三郎さんの『そして、人生はつづく』でも触れられていますね。

菊池亜希子さん演じる主人公の女性が働くようになったのは神田の神保町にある古書店。神田の神保町の古書街のことは知らないはずはありませんが、実はそこが千代田区であること、そして御茶ノ水から近いことは、木山捷平の「御茶の水」を読みながら、いろいろと周辺の地図を見ていて初めて知りました。
それから「神保町」を「じんぼうちょう」と読むことも映画を見て初めて知りました。これまでずっと「しんぽちょう」と読んでいて、つい先日も「神保町」とブログに書いたときには「しんぽちょう」と入力していました。
そういえば木山さんが初めて野長瀬正夫に出会った場所も神田の今川小路でした。ガード下にある飲屋街なんですね。ネットで写真を見たら結構ディープな感じ。

ところで、映画ではいくつも、おっと思わせるようなシーンが出てきました。
まずは、菊池さんが初めて古書店で働くようになった日の夜のシーン。彼女が住み込みで働くようになった古書店のある場所のすぐ近くに立っている電柱にはかなり目立つように三省堂書店の文字。三省堂書店が協賛していたのかもしれないけど。
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それから川本三郎さんがびっくりしたと書かれていたのはこのシーン。菊池さんが手に取って読んでいた本のページをアップでとらえた場面。
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彼女が読んでいたのは、旺文社文庫版の梶井基次郎『檸檬・ある心の風景』。この中に収録された「ある心の風景」の赤線でひかれた「視ること、それはもうなにかなのだ。...」という部分をタイトルにした柏倉康夫『評伝梶井基次郎 視ること、それはもうなにかなのだ』を読んだばかりのときに映画を見られたようです。まあ、びっくりしますね。

僕がびっくりしたのは何といってもこのシーンでした。
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積み上げられた本の一番上にあるのは、三茶書房の『昔日の客』(関口良雄著)。こういうのは原作に書かれているんでしょうか。
何度も書いていますが、この映画と同じ年に夏葉社から復刻された『昔日の客』は運命の一冊でした。

で、この『昔日の客』つながりで、野呂邦暢の本がいくつか出てきます。いずれも録画していたものをストップモーションしてわかったこと。
まずは、菊池さんが初めて値付けをした本。映画を見てたら、この本が何なのか結構気になります。ようやくわかったのが棚に入れるこのシーン。
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本のタイトルは『愛についてのデッサン』。筆者は野呂邦暢。

さらに、一人の客がその本を手に取って、本を買うかどうか悩むシーンがあります。そのときに店番をしている菊池さんが読んでいた本のページがアップで写ります。
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文章のタイトルは「山王書房店主」。山王書房の店主はいうまでもなく『昔日の客』の筆者である関口良雄さん。そしてその『昔日の客』にも触れた「山王書房店主」という随筆を書いたのは野呂邦暢。どうやらそれが収められた『小さな町にて』を彼女は読んでいたようです。こういうのって、かなりマニアック。
ちなみに野呂邦暢の『小さな町にて』は、「小さな町」好きである僕のような人間にとってはぜひ手に入れたいものなのですが、ものすごく高価なので...。

最近、『小さな町にて』というタイトルで野呂邦暢の随筆コレクションが出ています。編者は岡崎武志さん。
岡崎武志さんといえば、映画の最後のエンドロールで出演者のところに岡崎武志さんの名前が出て来てびっくり。どうやら喫茶店のシーンで主演の内藤剛志さんとカウンターで珈琲を一緒に飲んでいるのが岡崎武志さんのようです。

そういえば八木沢里志さんの原作は第3回のちよだ文学賞の大賞を受賞されたとのこと。
ちよだ文学賞といえば、前回2014年の大賞の受賞者は阿部安治(やすはる)さん。
阿部安治さんは、実はこのブログでもなんども書いてきた内田樹先生と平川克美さんと石川茂樹さんの古くからの共通の友人。確かアゲインの石川さんとは大学の同級生だったはず。
阿部さんは今、平川さんの隣町珈琲で「路地裏の文学史」という講義をされています。
いろんなつながりがあって面白いですね。
阿部安治さんの受賞作である「俎橋からずっと」も神田を舞台にした小説とのこと。いつか読んでみたいとは思いつつ、まだ手に入っていません。

というわけで、関口良雄さんの息子さんである関口直人さんがアゲインにやってきて、その関口さんから電話をいただいた僕にとっては忘れられない日の、石川さんと関口直人さんのツーショットの写真を久しぶりに貼っておきます。石川さんに送っていただいたこの写真は『昔日の客』の中に大切にはさんでいます。
お二人ともお元気でしょうか。
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by hinaseno | 2015-05-13 12:04 | 映画 | Comments(0)