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by hinaseno

『秋立ちぬ』


つながるときにはつながるもの、
なんてつい先日書いたような気もしますが、そんな話から。
昨日、YouTubeに成瀬巳喜男の『おかあさん』がアップされているのに気がついて、狂喜乱舞してその7つに分割されたものの1つめを見ていて、で、それが終了して、次の映像が再生され始めて、当然『あかあさん』の2つめの映像だと思ったら、別の映画が始まって、何だろうと思ったらこの画面が出てきて腰を抜かしてしまいました。
『秋立ちぬ』_a0285828_11532896.png

成瀬巳喜男の『秋立ちぬ』
この映画のことを知って以来、僕にとっては運命の一作といえる存在になっていながらも、見る機会を持てないでいた作品。このブログでも『秋立ちぬ』のことは何度も語ってきました。それがようやく。アップされたのは先月のようです。
YouTubeで『秋立ちぬ』のチェックは頻繁にしていて、つい先日もしたばかり。どうやら英語でAki Tachinuと表記されていたのでひっかからなかった、あるいは気づかなかったようです。

それにしても心の準備もない中で、ソファーに寝ころんで『おかあさん』の世界に入り込んでいたので、本当にびっくり。『おかあさん』が見れた喜びもぶっとんでしまいました。
YouTubeはいつからか一つの画像が終ったら勝手に次の画像が始まって、しかもそれがなんのつながりもないものだったりして、結構鬱陶しく思っていましたが、まさかこんな出会い方をするとは思ってもみませんでした。
『秋立ちぬ』や『おかあさん』以外にも、見たかった成瀬の作品が先月くらいにいくつもアップされているようで、ゴールデン・ウィークはこれらの映画を見続ける日々が続きそうです。とりわけ見たかったのは『愉しき哉人生』と『限りなき舗道』。
ただ、『秋立ちぬ』を見た後に『おかあさん』を見たら6/7と7/7の画像がアップされていないのに気づいてがっくり。そこには香川京子さんの素敵な花嫁姿が映っているはずなのに。

それにしても『秋立ちぬ』はタイトルからして運命的なものを感じずにはいられないですね。僕が大瀧詠一という名前と初めて出会った「風立ちぬ」と「秋」が合わさっているわけですから。
大瀧さんも『秋立ちぬ』にいくつもの運命的なものを感じてその研究をし、それを研究したがゆえに、大瀧さんと川本三郎さんが出会うという、僕にとっては奇跡のようなことが起こったわけですから。
『秋立ちぬ』のことは、また改めて書くことにします。

「また改めて」といえば昨日、野長瀬正夫という人のことに少し触れて「また改めて」と書きましたが、『秋立ちぬ』を見ていたら監督助手のところに「野長瀬三魔地」という名前があってちょっとびっくり。
『秋立ちぬ』_a0285828_1151287.png

野長瀬という名字はかなりめずらしいはずなので、もしかしたら何か関係があるのかと思いましたが、どうやらつながりはなさそう。野長瀬正夫は奈良出身の詩人。で、野長瀬三魔地は京都出身。黒澤明監督のいくつかの映画のチーフ助監督や、あの『ウルトラマン』シリーズの監督をしてる人なんですね。そんな人が『秋立ちぬ』の監督助手をしていたとは。
野長瀬氏というのは日本の氏族の一つとしてウィキペディアにも載っているので、きっと血のつながりはあるんでしょうね。

というわけで「秋」そして「野長瀬」という名前もつながったことなので、野長瀬正夫の話をしておこうと思います。ずっと続けている木山さんの北海道旅行の話をしていたのに、相変わらず行き当たりばったりです。
村上春樹が『サラダ好きのライオン』(もともとは雑誌『an・an』)で紹介した「秋」という詩に登場する「友達」が野長瀬正夫であるという話。
ここにはもう少し「秋」につながる話が含まれています。

そういえば『秋立ちぬ』は、秋の始まりを示すタイトルとは違い、2度と取り戻すことの出来ない少年の夏の終わりを描いた何とも切ない物語。夏の終わりのボーイズライフを描いた映画は大好きです。少年にとって夏の終わりと秋の始まりは全く違うんですね。
『秋立ちぬ』_a0285828_11513331.png

by hinaseno | 2015-04-26 11:52 | 映画 | Comments(0)