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by hinaseno

イーハトヴ田五三九と南部半九郎


昨日は、ちょっと信じられないようなお年玉が届けられました。こういうのを書き続けていると、ときどき奇跡のようなことが起こるんだなと。どういうものかは言えませんが。

さて、今日の写真はこれ。
イーハトヴ田五三九と南部半九郎_a0285828_1147450.jpg

はっぴいえんどのレコーディング風景をとらえたもの。
大瀧さんがドラムスの松本さんに指示を出しています。大瀧さんはレコーディングに際しては基本的にはミュージシャン任せだったようですがドラムスだけは別。はっぴいえんど以降もレコーディングのときにはドラマーにつきっきりだったようです。ドラムスの演奏には大瀧さんなりのこだわりがあったことがわかります。

先日放送された「名盤ドキュメント3  はっぴいえんど『風街ろまん』」で大瀧さんの曲のことについての話で興味深かったのはドラムス、あるいはリズムに関すること。
最初に話題になったのは「はいからはくち」という曲で8トラックのうちドラムスに2トラック使っていたということ。
鈴木茂さんはこう言っていました。
「大瀧さんの指示だとは思うけど、ドラムスではめずらしい」
あるいはこうも。
「意図はよくわからない」
この2トラックは違った演奏がなされていたのではなく同じ演奏。
松本さんもこんな言葉。
「ダブル・ドラム?」

あるいは「抱きしめたい」の魅力について、高田蓮(お父さんは木山捷平の詩に曲をつけて歌ったフォーク歌手高田渡さん)さんは「イントロ」だと。で、こう続けます。
「拍が全くわからなくなるんですよね」
「どこが頭か歌が始まるまでぎりぎりまでわからない」

大瀧さんの曲の解説などを読んで知ったのは、そのリズムの不思議さ。「リズムが変だ」と。でも、それは言われてみてわかったことで、普通に聴いているときにはちっとも変だとも思わなかったわけですが。改めてよく聴いてみたら変なリズムの曲が多いですね。真面目な曲を集めた(とされる)『ロンバケ』ですら、リズムはかなり過激。
唯一無二の歌声、華麗なメロディ、重厚なサウンドの影にかくれてしまっていますが、ドラムとベースとパーカッションだけを取り出して聴いてみたら、別世界が広がりそうな気がします。特に「Velvet Motel」のドラムはすごい。

大瀧さんの独特のリズム感(音の響き方も含めて)は、やはり幼少期に目にしていた鹿踊の影響が強いような気がします。YouTubeの映像を見てもわかるように、太鼓の音だけではなく、踊り手の大地を踏む音、あるいは角を地面に打ち付ける音などそれらがかなり複雑なリズムを作っています。しかも8人の音が微妙にずれたりして、そのずれがまた不思議なリズムと独特の響きを作り出していて。
この鹿踊が大瀧さんの音楽性を育んだことは間違いないようです。で、僕は大瀧さんの作り出すリズムこそ、まさにイーハトヴの世界を表現していたんだと考えています。「はいからはくち」のイントロのお囃子太鼓もそこにつながっているはず。

大瀧さんは『風街ろまん』に収録する自分の曲を録音し終えた後、自分のアルバムに収録する曲の録音を開始します。
その最初のソロ・シングル用に作られたのが「それはぼくぢゃないよ」と「恋の汽車ポッポ」。ここで、ドラマーのイーハトヴ田五三九がデビューします。
このとき同時にデビューしたのがやはりリズムを司るベーシストの南部半九郎。もちろん南部藩からとったにちがいない大瀧さんの別名。
イーハトヴ田五三九と南部半九郎は最初はそれぞれドラムスとベースを担当していたのに、それぞれ他の楽器を演奏するようになります。パーカッションはイーハトヴ田五三九だったり南部半九郎だったり。
最初に登場したのは南部半九郎。ベースの仕事がなくなったからでしょうか。彼は『ナイアガラ・ムーン』で「ハンド・クラッピング・ルンバ」と「恋はメレンゲ」の2曲、パーカッションを演奏していますがそれっきり。以降はイーハトヴ田五三九がパーカッションを演奏していますね。一応列挙しておきます。
「ナイアガラ音頭」
「Cider 77」(Marimba)
「ココナッツ・コーン」(Tambourine & ドラムカン)
「ジーガム Type A & Type B」( Marimba & Percussion)
「土曜の夜の恋人に」(Percussion)
「Blue Valentine’s Day」(Bongo)
「5月雨」(Tambourine)
「Baseball-Crazy」
「座読書」(Bass Tom)
「クリスマス音頭」(木魚)

ところで、今一番聴いてみたいのは、大瀧さんが梁川金津流鹿踊について語られた話。新年のはじめに運を使いすぎたら後が大変ですが、この思いが天に届けばと昨日神社に手を合わせてきました。

ここに大瀧さんが上京して間もない時期に布谷文夫さんたちと結成したタブーのメンバーと撮った写真を見つけました。ドラマー大瀧さんの姿を見ることができます。
by hinaseno | 2015-01-03 11:49 | 雑記 | Comments(0)