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前田陽一という映画監督のこと


昨日書き忘れましたが、『馬鹿まるだし』の中で「岡山」という言葉が一瞬出てきます。安さんがあるとき「岡山」の町で、闇で仕入れた品物を売って金儲けをするんですね。ここでは岡山市内を指しているはず。というわけで、ロケ地は千葉県でしたが、映画の舞台は岡山市からそんなには遠くない瀬戸内の小さな町に設定されているようです。ただ、片上、あるいは片谷という地名は出てきませんでした。

ところで先日、藤原審爾のことや彼と片上とのつながりのことを教えてくれた龍野市(たつの市)にお住まいのYさんの家を久しぶりに訪ねました。座敷でYさんが用意してくれた美味しいお寿司をいただきながらいろんな話を。話は尽きません。
そんな話の中で映画の『秋津温泉』のことに触れたときに、Yさんからちょっとびっくりするような話を聞きました。
「前田陽一があの映画の助監督をしてたんですよ。『秋津温泉』の予告編を作ったのも前田陽一ですよ」と。
調べてみたら確かにそう。松竹大船に入社して間もない前田陽一は吉田喜重のもとで『秋津温泉』の助監督をしていました。3年ほど前に横浜で開催された「ヨコハマ前田友の会」では前田陽一が監督した作品ではなく『秋津温泉』が上映されたようです。

前田陽一のことはYさんからよく聞いていました。Yさんと同じ龍野市出身の映画監督。前田陽一は龍野にいたころに同じ龍野に在住の人たちと『酩酊船』という同人誌を作っていました。同人には芥川賞候補にもなった竹内和夫という作家もいます。竹内和夫が候補になったときに芥川賞をとったのが丸山健二。竹内和夫はどうやら次点だったようです。候補の中には野呂邦暢もいます。

Yさんの家に初めていったときに、Yさんからぜひ読んでと言われてお借りしたのが『酩酊船』に寄稿した文章も載っている前田陽一の『含羞のエンドマーク』という本。この本はYさんにお返しした後、古書店で見つけて手に入れました。
で、実はYさんもこの『酩酊船』の同人の一人だったんですね。というわけで、前田陽一の書いた文章の中にYさんの名前も出てきます。同人のひとりであった八木裕彦さんが亡くなられたときに書かれた文章。
 昨年、最初に見舞ったのは二月であった。『酩酊船』十一集の合評会が龍野の〇〇(Yさんの実名)の新邸で行なわれ、東京方面に帰る私と前之園明良、上田榮子が名古屋で途中下車することにした。これにとんぼ帰りをする竹内和夫が同行した。

この日のことは竹内和夫の『酩酊船流星記』にも書かれていて、ここで読むことができます。Yさんの実名が出ていますが。このサイトを運営しているのはやはりYさんの知人。

というわけで、僕はもしかしたら前田陽一が食事をした場所でお寿司をいただいたわけです。
そのYさんの家で、現在、山高登装丁展が開かれています。牛窓で奇跡的な出会いをして、その後手に入れてYさんにプレゼントした村上菊一郎の『随筆集 ランボーの故郷』も飾られています。機会があればぜひ。龍野(「たつの」と書くのは抵抗があるな)は本当にいい町。そういえば龍野を舞台にした寅さんの『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』も見なければ。龍野は「赤とんぼ」の三木露風が生まれた町です。

ところで、前田陽一は松竹大船に入社していますが、残念ながら小津の下では仕事をしていないようです。でも、きっと何度も小津の姿を見ていたでしょうね。
前田陽一は『秋津温泉』で吉田喜重の助監督をした他、小津の映画の助監督をしていた渋谷実の『好人好日』の助監督もしています。
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by hinaseno | 2014-10-23 12:20 | 雑記 | Comments(0)