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by hinaseno
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『馬鹿まるだし』と植木等のこと


久しぶりに『馬鹿まるだし』を観賞。いい映画でした。山田洋次さんが語っていたようにかなり原作に忠実に作られています。

舞台はお寺。語り手の少年が住んでいるそのお寺にがやってきたのがハナ肇演じる安さん。彼が小さな町で起こるさまざまな事件にまきこまれていくことになります。
このお寺、映画では何宗かはわかりませんが(最後に住職となった少年が「南無阿弥陀仏」と唱えているので浄土宗系であることはわかります)、原作では浄土真宗(一向宗)。寺の名前は浄念寺。
藤原審爾が片上で暮らしていた家もやはり浄土真宗だったようで、『遺す言葉』によると「家の中に仏間があり、そこに仏壇があり、隣の床の間には黒塗りの五尺ほどの厨子がおかれ、その中には阿弥陀仏がまつられてあった」とのこと。お寺ではないけれど、お寺のような雰囲気の家だったようです。つまり映画の語り手の少年は、まさに子供の頃の藤原審爾だったわけです。ただし映画の時代設定は戦後になっていますが。

映画では最後に語り手の少年が大人になって、お寺の住職になっています。これは原作にはないもの。
この住職を演じているのが、クレジットはされていない植木等。彼が少年時代を回想しているという設定ですね。というわけでナレーションも、やはりクレジットされていない植木等。予告編ではこうなっています。
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東宝と専属契約している植木さんが、本来であれば出演できないはずの松竹の映画『馬鹿まるだし』に出ることになったいきさつについては、山田太一さんによれば、映画初主演のハナ肇を応援したくて、なんとか力になりたいということで植木さん自身が希望されたとのこと。最初はナレーションだけをやってもらうことにしていたけれども、最後に本人が出たいということで、その語り手の少年が大人になってお寺を継いだということにして植木さんを出演させたと。「この人、お坊さんの息子だからね」と。

ああ、そういえば植木さんのお父さんはお寺の住職だったなと思って調べたら、ちょっとびっくりなことがわかりました。植木さんの父親はなんと浄土真宗のお寺の住職。しかもそのお寺の名前が常念寺。藤原審爾の原作の寺は浄念寺。もちろん浄土真宗。なんだか奇跡的ですね。
さらにいえば、『馬鹿まるだし』の少年は安さんのことで町に住みづらい状況になったりするのですが、植木さん自身も父親が社会運動に参加して投獄されたために、住んでいた村から出ていかなくてはならなくなったという経験をもっているようです。
植木さんが藤原審爾の原作を読んだかどうかはわかりませんが、主人公の少年のことやおそらく何らかの形で映画の舞台になっている寺の名前が浄念寺ということを知って、どこか運命的なものを感じて出ずにはいられなくなったような気もします。
というわけで、原作にはない映画のエンディングは、大人になったときの、ありえたかもしれない植木さんの姿でもあるし、ありえたかもしれない藤原審爾の姿だったといってもいいのかもしれません。

ところで、植木さんの父親のことを調べていたら、「スーダラ節」についての興味深いエピソードが書かれていました。作詞青島幸男、作曲萩原哲晶。

この曲、作曲は萩原哲晶ですが、例の「スイスイ〜」あたりのフレーズは植木さんが考えてもいるんですね。でも、いざレコーディングをするということになったとき、植木さんはこんな歌をうたってもいいものかと相当悩んだようです。こんなふざけた歌を歌いたくないなと。こんな歌を歌ってしまうと自分の人生が変わってしまうと。
で、植木さんは父親に相談したそうです。植木さんの父親は正義感が強く、その厳しさ、まじめさを植木さん自身も十分にわかっていたはずなのに、よく相談したなと思います。それくらいに植木さんも”まじめに”悩んでいたんでしょうね。
植木さんの悩みを聞いた父親は、いったいどんな歌だと植木さんに訊きます。で、植木さんは父親の前で「スーダラ節」を歌う。すると...。
植木さんの父親は予想に反して「すばらしい!」と涙を流さんばかりに感動したとのこと。で、植木さんにこう言います。
「この歌詞は我が浄土真宗の宗祖、親鸞上人の教えそのものだ。親鸞さまは90歳まで生きられて、あれをやっちゃいけない、これをやっちゃいけない、そういうことを最後までみんなやっちゃった。人類が生きている限り、このわかっちゃいるけどやめられないという生活はなくならない。これこそ親鸞聖人の教えなのだ。そういうものを人類の真理というんだ。上出来だ。がんばってこい!」

この言葉はウィキペディアに書かれていたものなので、出典は確認できていません。でも、植木さんはこの言葉で「スーダラ節」を歌う決心がついたそうです。
何とも興味深い話。確かにあの歌詞、浄土真宗的です。

さて、そのクレージーキャッツに大瀧さんはこんな曲を作ります。

さらには、「ちびまる子ちゃん」の挿入歌のこんな曲も。

ところで、間もなくこんなDVDも出るそうです。『クレージーキャッツ デラックス』、なんと監督 大瀧詠一。以前出ていたものの再発なんですね。こんなのが出ていたなんてちっとも知りませんでした。
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by hinaseno | 2014-10-22 11:10 | 雑記 | Comments(0)