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3つの「秋」


ここ数年、「秋」という言葉は、僕にとって不思議なキーワードとなっています。思いもよらない(身近な)場所や人に出会わせてくれる魔法の言葉。
木山捷平に出会えたのも「秋」という詩、そして木山捷平の姫路時代のかけがえのない友人であった大西重利という人に出会えたのもやはり「秋」という詩。
で、今、いろんなつながりの中心にあるのが「秋津温泉」。やはり「秋」という字が付いています。
岡田茉莉子さんが主演した(実際には企画・プロデュースもした)1962年公開の『秋津温泉』もまた、興味深いことに二つの「秋」にやさしく挟まれています。
1960年公開の『秋日和』、そして1962年公開の『秋刀魚の味』。やはりそれぞれの映画のタイトルに「秋」という言葉が付いています。『秋日和』と『秋刀魚の味』という岡田茉莉子さんが出演した、結果的にたった2作だけに終わってしまった小津安二郎の映画。この2本の映画の間に、藤原審爾原作の、そして吉井川の上流で撮影された映画が挟み込まれているというのは、偶然にしてはできすぎている気がします。
『秋日和』と『秋刀魚の味』は岡田茉莉子さんの”2枚目半”の役柄が楽しくて仕方がないのですが、でも、実はこの2つの映画で彼女は、そんなコミカルなこととは別の大事な役割を小津から与えられています。
それは2つの作品の最後の場面。『秋日和』では親友である司葉子が結婚したためにひとりぼっちになってしまった彼女の母親、原節子に対して、それから『秋刀魚の味』では、夫の妹である岩下志麻が結婚したためにひとりぼっちになってしまった笠智衆に対して、彼女はそれぞれの家を訪ねてこう言います。「ときどき来るからね」と。

そんなコミカルでありながらもやさしい役割を与えられた小津の2本の「秋」の映画に、やさしく挟まれているのが『秋津温泉』。
1961年のある日、岡田茉莉子さんは新しく撮影所長になった白井昌夫から、岡田茉莉子の百本記念映画を作りましょうという話がきます。正確に言えば、白井さんに『愛情の系譜』がデビューしてから百本目に当るんですという話をしたら、なぜそれをもっと早く言わなかったのですか、ということで急遽、実際には百本目ではないにもかかわらず、百本記念映画が企画されたわけですね。で、なにか希望する企画があれば提案して下さいといわれた岡田茉莉子さんは、そのあとホテルに戻る車の中で(場所は北海道、見渡す限りの原野)『秋津温泉』にすることを心に決めます。
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by hinaseno | 2014-10-11 12:12 | 雑記 | Comments(0)