Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
プロフィールを見る
画像一覧
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

舞台は備前市片上に


昨日、ブログをアップした後、川又昂さんがカメラマンをされた映画を調べていたら、以前紹介したことにある『拝啓天皇陛下』という映画があったことがわかりました。
主演は渥美清と長門裕之。映画の舞台は路面電車が走る京橋付近と遊廓のあった中島あたり。『黒い雨』の未公開ラストシーンでロケされた場所と重なっています。たまたまなのか、川又さんが今村昌平にアドバイスしたのか。

ところで『拝啓天皇陛下』の公開は昭和38(1963)年。川又さんは昭和33(1958)年公開の『彼岸花』まで小津の撮影助手を続けられていて(最初が『長屋紳士録』)、その後独立されています。後で語ることになる岡田茉莉子が出演した小津の2本の映画が撮られたときには、すでに小津のもとを離れていました。
ちなみにこれは『早春』を撮影しているときの小津と川又さんの写真。
a0285828_8461260.jpg

さて、その川又さんが『早春』からは30年後くらいにカメラマンを務められた『黒い雨』の話に。
原爆が落ちたときに爆風で客車の窓が割れ、乗客が吹き飛ばされるという凄惨なシーン。映画では広島市内を走る可部線の横川駅という設定。この駅の改札口から捕えたシーンに映っている列車には「可部行」というプレートも貼られています。
a0285828_8461984.jpg

でも、撮影されたのは岡山の意外な場所。メイキングを見ていたらこんな地名が。
a0285828_8464197.jpg

「備前市片上駅」
片上は備前焼で有名な伊部と『早春』が撮影された三石の間にある町。小さな港町。でも、三石と同様に昭和の中頃まではとても栄えた町でした。

片上といえば...という話はあとにして、その前にこの片上駅はどこだろうかということから。というのは片上には赤穂線の駅が2つと、さらに当時は吉井川沿いを走っていた片上鉄道の終着駅もありました。赤穂線の西片上駅と備前片上駅のうち、国道沿いに小さくこしらえられた西片上駅は大がかりな撮影をするのは無理だろうと思いましたので、考えられるのは赤穂線の備前片上駅か今はなき片上鉄道の片上駅か。
実はこのシーン、映画の本編でもメイキングでもあまり風景が映っていません。映っているのは爆風で電車が破壊されるところだけ。
片上鉄道の片上駅で撮られたという話をちらっと聞いたので、そのあたりを歩いてみたのですがどうも確信が得られない。改めてメイキングをよく見ていたら電車の向うにある自動車会社の名前が映っているのに気がつきました。
a0285828_8493856.jpg

角野自動車商会。調べたら赤穂線の備前片上駅の近くにこの会社はありました。どうやらこのシーンが撮影されたのは赤穂線の備前片上駅だったようです。

さて、その備前片上駅と、吉井川に沿って電車が走っていた片上鉄道の片上駅をむすぶ古い道(昔の山陽道)のちょうど中間あたりに、今はもうなくなっていますが、ある作家が幼い頃から10代の後半くらいまでを過ごしていた家がありました。この写真の突き当たりに見えるお寺の手前の更地になっている場所。
ここに暮らしていた作家が木山捷平と深いつながりを持っていました。木山さんが満州から笠岡にもでって来たときには彼はもうこの町に住んでいませんでしたが、岡山の別の町に住んでいて、木山さんや井伏鱒二、あるいは村上菊一郎らと何度も会っていました。
a0285828_8522899.jpg


この写真は昭和47年発行の『岡山の駅』(日本文教出版)に載っていた片上の町。手前に見えるのは真光寺の三重塔。
a0285828_8523853.jpg

この町にも三重塔があるんですね。というわけなので僕も中学時代、友人たちと自転車に乗ってこの町に何度かやって来ていました。

この町で育ったあの作家の作品の中に、真光寺の塔のことが書かれていないかどうかと調べてはいるのですが残念ながらまだ確認できていません。直木賞をとっているにもかかわらず、彼の本は今、書店には全くない状態なので。
[PR]
by hinaseno | 2014-10-03 08:52 | 雑記 | Comments(0)