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by hinaseno
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「ビルから見下ろした場所に路面電車が走っている風景」がつながる


ちょっと話がそれますが、昨日、厚田雄春/蓮實重彦『小津安二郎物語』をぱらぱらとめくっていたら厚田さんの興味深い話を見つけました。ロケ・ハンに関する話。
「ロケ・ハンはだいたい夏ですよ。たとえば『東京物語』は6月11日からロケ・ハンに入っています。はじめはずっと東京を見てまわって、月末に尾道に行きました。志賀直哉先生の『暗夜行路』の書かれた家のあたりを見てまわりましたが、何かもう感じが違っているなといっておられたのを覚えています」

やはり小津は志賀直哉の『暗夜行路』の影響から、映画の舞台を尾道に設定しただけでなく、志賀直哉が『暗夜行路』を書いていた坂の上の家、つまりは小説の中の謙吉の家のあたりをロケ・ハンまでしていたようです。

さて、昨日紹介した川本三郎さんの『青いお皿の特別料理』に収められた「事務所開き」には、なんと小津の映画の話が出てきます。新井くんという二十代の若者が小津の映画のファンだという設定。主人公である岡崎さんに「ぼく、小津安二郎が好きなんです」という場面があったりして...。まるで僕のために書いてくれたような話。

その同じ事務所で働くようになった岡崎さんと新井くんが、おそらくは事務所のあるビルの近くの「旭川に面した小体な居酒屋」でビールを飲む場面があります。これがまたいいんですね。この居酒屋もまた探してみようと思います。おそらくは京橋近くはず。
その居酒屋での会話。
「肴、なににしますか」と新井くんが聞いてくる。
「そうだな、なにかさっぱりしたものがいいな。きみに借りた小津のビデオにあったろ、なんという映画だったかな。中村伸郎が、年を取るとだんだんあっさりした食べ物が好きになる、山菜とかひじきとか、っていうだろ。あの心境だな」と彼はいう。

中村伸郎は小津の映画にたくさん出ているので、どの映画だろうと思っていたのですが、少し前に『秋日和』を観ていたらこの場面が出てきました。『秋日和』は以前、アドバルーンが映っているものとして紹介した映画。

この映画、何といっても最高なのは小津の映画初登場の岡田茉莉子。3人のいじわるおやじをやっつけるコミカルな役柄はたまりません。岡田さん本人に言わせれば「2.5枚目」。
岡田茉莉子が小津の作品に出ているのはこの『秋日和』と小津の遺作となった『秋刀魚の味』の2作だけ。ここ数ヶ月、岡田茉莉子のことをずっと考えていたので、川本さんの岡山を舞台にした小説の中に小津の映画の話が出てきて、さらに『秋日和』の話が出てくるというのはうれしいやらびっくりやらでした。
岡田茉莉子さんのことについてはまた改めて。

そういえば『秋日和』では、ビルの上から見たこんな風景が映りました。
a0285828_843246.jpg

前にこれと同じような写真を貼って、ここはどこだろうなんて書きましたが、この場所は東京中央郵便局の駐車場だそうです。というわけなので東京駅のすぐ近く。
2種類の電車(向こう側は湘南電車、手前は私鉄の電車でしょうか)が停まっているのは以前気がつきましたが、今回、観ていたらその手前に路面電車(都電ですね)が入ってきて見事に3種類の電車が並ぶんですね。いかにも鉄道好きの厚田さんらしい風景。
”ビルから見下ろした場所に路面電車が走っている風景”つながりですね。川本さんはどこまで意識されたんでしょうか。でも、きっとこれも偶然。

ところで、岡山の古い写真集を見ていたら京橋を走る路面電車をとらえたこんな写真が載っていました。
a0285828_8445832.jpg

昨日貼った地図のB地点からはもう少し橋に近い所にある建物の屋上から撮ったんでしょうね。
昭和の初め頃に撮られた写真とのこと。木山さんが昭和11年にここに来たときも、昼間であればこんなふうに電車が走っていたわけです。
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by hinaseno | 2014-09-30 08:45 | 雑記 | Comments(0)