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by hinaseno
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「大瀧さん、フォー・シーズンズで何が一番好き?」


フォー・シーズンズとの最初の出会いというのは今から30年前の「新春放談」で大瀧さんと達郎さんとの間で交された会話でした。音楽ではなくて言葉。その前に「シェリー」くらいはどこかで聴いたことがあったかもしれませんが。

1984年に放送された記念すべき第1回目の新春放談。そのパート3。正直会話はちんぷんかんぷん。でも、大瀧さんと達郎さんが楽しそうに語っているのを聴いているうちに、2人がフォー・シーズンズというグループを本当に愛していることが伝わってきたんですね。この会話は何度も繰り返して聴きましたが、ここで語られた曲をすべてきちんときけたのは7年後のこと。そういう時代でした。ビーチ・ボーイズにしてもそう。聴きたいのに聴けないという飢餓感の中で過ごした長い日々があったからこそ、愛しい存在になりえたように思います。

さて、会話は達郎さんの、唐突ともいえる言葉から始まります。何を言っているのかさっぱりわからなかったけれどもとにかく面白かった。

達郎:全然話とぶんですけどね、今日、フォー・シーズンズ持ってくるのを忘れたんですよ。
大瀧:どうしてぇ〜、フォー・シーズンズ...。
達郎:大瀧さん、フォー・シーズンズで何が一番好き?
大瀧:おれが一番好きなのぉ? んーん、難しいんだ、おれはフォー・シーズンズが好きなんだ(笑)。
達郎:(笑)なんか1曲出せって言ったら、何にしますか。
大瀧:これがねぇ...、ほんとにねぇ...、何だろう...。おれはヴィー・ジェイ(Vee Jay)時代。
達郎:ああ、そう。
大瀧:おれはヴィー・ジェイ時代なの。それでねぇ...
達郎:らしいね。
大瀧:(笑)それでね、候補がね...いっぱいあるんだけどね、どうしてもフォー・シーズンズのバージョンの「ハニー・ラブ(Honey Love)」だ。
達郎:らしいねぇ。
大瀧:らしいでしょ。ほんとはそのB面の「メランコリー(Melancholy)」とか言おうと思ったんだけど、あまりにもえげつないからやめて...
達郎:昔、有名な話があったじゃないですか。今、ラッツ&スターのエンジニアをしている助川というのがいてね。
大瀧:(爆笑)
達郎:これが京都に当時ビルボードというね、フォー・シーズンズ・フリークの...
大瀧:神戸でしょ。
達郎:あっ、神戸でしたっけ。フォー・シーズンズ・フリークの経営している店があって、それで、助川は郷里があっちのほうなんで行ってみようということになって、で、大瀧さんのところになんか訊きにきたんだ。
大瀧:訊きにきた。
達郎:フォー・シーズンズのやっぱりフリークだから、店に行ってなめられちゃいけないから、フォー・シーズンズのファンがこういうのを好きだって言ったら通だって言われる曲を教えてくれと。それで何て言ったっけ?
大瀧:「ハニー・ラブ」のB面の「メランコリー」と、何のB面だったかな、「スーン(Soon)」という曲があるのね。「キャンディ・ガール(Candy Girl)」だったか「エイント・ザット・ア・シェイム(Ain't That A Shame)」だったか...、「エイント・ザット・ア・シェイム」のB面だったかな。「スーン」という曲と、その「メランコリー」という曲がね、おれは一番好きだって言ったらね、絶対にコーヒーかなんか1杯ただでくるって言ったの。ほんとにきたんだって。
達郎:で、きたのはいいんだけど、もう久しぶりにそういうことを言ってくれる人が来たって...
大瀧:(笑)そうそう。
達郎:うちまで連れていかれてフォー・シーズンズをかたっぱしから聴かされて。もともと全然知らないやつだけど...
大瀧:何にも知らないの。
達郎:何にもわかんなくて泣きそうになったという話がありますが、それが今、ラッツ&スターのエンジニアをやっているので...
大瀧:エンジニアをね...(笑)
達郎:...世も末だという感じで。
大瀧:あれは大笑いで。

このあと達郎さんは、僕は何てったって「ドーン(Dawn)」(邦題は「悲しき朝やけ」)だということで、「ドーン」の良さについて力説。

この翌週くらいに達郎さんは番組で「ドーン」をかけます。僕がフォー・シーズンズの曲として初めて耳にしたのが「ドーン」でした。以来、「ドーン」が一番好きな曲に。ちなみに「ドーン」はフォー・シーズンズの歴史でいえば、第2章か、第3章になるんでしょうか。ヴィー・ジェイ・レーベルからフィリップスに移籍しての最初のヒット曲。

さて、「ドーン」は聴けたもののそれ以外の曲はなかなか聴くことができませんでした。「メランコリー」は翌年達郎さんの番組で放送されたフォー・シーズンズ特集でようやく。それでも、大瀧さんが大好きだというヴィー・ジェイ時代の曲はほんの少しかかっただけ。
で、1991年にようやくフォー・シーズンズのヴィー・ジェイ時代の3枚のアルバムがCD化されてやっと「Soon」と、それから大瀧さんが一番好きだというフォー・シーズンズ・バージョンの「ハニー・ラブ」も聴くことができかたという。
ただ、「ハニー・ラブ」は、大瀧さんらしいなと思いつつも、それほどいい曲だとは思いませんでしたが。むしろ助川さんに「フォー・シーズンズのファンがこういうのを好きだって言ったら通だって言われる曲」だとして教えた「スーン」と「メランコリー」のほうが気に入りました。いずれもボブ・クリューとボブ・ゴーディオが作った曲。
特に「メランコリー」は昨日久しぶりに聴きましたが本当にいい曲。最初の”ドン・ビ・ロン・ビ・ロン”の部分とか、ドゥーワップの香りがたっぷり。改めて確認したら、ボブ・クリューが曲作りに参加しているヴィー・ジェイ時代のフォー・シーズンズの曲はドゥーワップのバラードの感触がするいい曲が多いですね。「スーン」や「Connie-O」、「Lost Lullabye」など。
やはり、かつてこの「シルエッツ(Silhouettes)」という曲を作った人ならでは。



ところで、二人の話に出てきた助川さん。
ナイアガラ時代の大瀧さんのアシスタントをしていた助川健さんですね。ラッツ&スターのエンジニアとして語られていますが、実は杉真理さんのエンジニアでもあった人。『ナイアガラ・トライアングルVol.2』で、杉さんが曲を作ってきたときに、そのエンジニアが助川さんだと知ってびっくりしたんですね。
ちなみに『ナイアガラ・トライアングルVol.2』の佐野さんのエンジニアも大瀧さんと関わりの深かった吉野金次さん。はっぴいえんど時代のエンジニアですね。
吉野「金次」さんと伊藤「銀次」さんがいたから、大瀧さんは自分がエンジニアをするときの名前を笛吹「銅次」にしたという。
はっぴいえんど時代のエンジニアであった吉野金次さんと、ナイアガラ時代のアシスタントでエンジニアになった助川健さんと、ナイアガラの会社をたたんで以降大瀧さんのエンジニアをするようになった吉田保さんがそろったということで、『ナイアガラ・トライアングルVol.2』は大瀧さんにとっては「エンジニアのトライアングル」にもなったんですね。こういうのが”たまたま”だからすごい話。

フォー・シーズンズの「メランコリー」を貼りたかったのですが、YouTubeにありませんでした。
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by hinaseno | 2014-09-13 13:43 | ナイアガラ | Comments(0)