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by hinaseno
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「第1項・第1章なんてとばしていいものなんだよ」


ずっと探していた大瀧さんの言葉は2010年1月10日放送の「新春放談」の中にありました。この日も最初から興味深い話の連続。でも、とりあえず大瀧さんのこんな言葉から。
(自分のやってきたことは「たまたま」がきっかけになっていることばかりで)だれの手本にもなりえないんだよね。こうやったら、こうなるとか。だから、どうすれば後輩の人にアドバイスとかなんとかって言ったってできないんですよね。

これに対して達郎さんがこう言います。
大瀧さんの場合は...、やっぱり一般的な学習のセオリーってありますね、例えば学校で教える学習のセオリーとか、音楽だったら音楽学校へ行って基礎をやってどうたらって、そういうことが一切通用しない思考法ですよね、大瀧さんの場合は。

で、このあとに語られる大瀧さんの話が素晴らしいんですね。だれの手本にもならないとか後輩にアドバイスなんてできないとか言われていますが、そんなことはないどころか、だれもが心から納得できる素晴らしいアドバイスをしてるんです。
大瀧さん、もし学校の先生なんかになられていたら、本当にいい先生になっていただろうなと思わずにはいられない話が続きます(前からずっと思っていましたが)。
というわけで、大瀧さんのその話を。いつもながら「最近気がついた」というのが面白いところ。達郎さんのたとえが絶妙です。

大瀧:僕はつくづく思ったけど、第1項・第1章っていうのをとばす人間だっていうことを、最近気がついたんです。だからよく、あんなに○○してるのに(ここはちょっと聴き取れませんでした。おそらく、細かいことをよく知っているということを表している英語でしょうか)、なんで根源的なこれを知らないんだっていうふうな言われ方をよく...
山下:1ページ目からは読まないんですね。
大瀧:1ページ目、第1項・第1章をとばすんです。で、99%わかったときにはじめて第1項・第1章を読むと、わかるんだよね。はじめてわかるんだよ。第1項・第1章って、99%わかってから読むものじゃないのかな。
山下:あの〜...、レイヴンズ(The Ravens)とかオリオールズ(Sonny Til &The Orioles)から聴き始めたって、何の意味もないんですね。
大瀧:(笑)
山下:(笑)そういうことでしょ、要するに。
大瀧:まあね。
山下:よお〜く、ドゥーワップのあれが理解できて、ホワイトドゥーワップのあれしてから...
大瀧:ドゥーワップのあれだと1曲目、ソニー・ティルとオリオールズ...
山下:必ずそうでしょ、レイヴンズの「Ole Man River」か...
大瀧:始まってんだよね、確かにね。
山下:そっから聴き始めても、ちっとも面白くない。
大瀧:とばすんだよ。
山下:なるほど。
大瀧:だからエルヴィスの「ザッツ・オール・ライト・ママ(That’s All Right)」もとばす、エヴァリー・ブラザーズの「バイ・バイ・ラブ(Bye Bye Love)」もとばす。第1項・第1章はとばすんだな。あなたのサン・ミュージックのわかり方は一番正しいやり方なんだ。
山下:(話が)最初に戻りましたね。
大瀧:そうそう。第1項・第1章はどばさないと。なかなか入れないし、結局そこで入らない人もいるんだよ。食わず嫌いっていうのは、おそらく第1項・第1章が難しくて、その入り口で門前払いをくらったような感じがしてたぶん入んないんだと思う。
山下:なるほどね。
大瀧:そういう人に言いたいのは第1項・第1章なんてとばしていいものなんだよ。もう第2項だ、第4項だ...
山下:入れるところから入っていけばいいんですね。
大瀧:そうなんだよ。入ってしまって、第10章までいくと、何か1%の欠落感を覚えるんだよ。「何なんだ、この最後の1%は?」って。99までいったら必ずだれでも気になるんだよ。その1%がどこにあるかっていうと、第1項・第1章にあるんだよ。
山下:なるほどね。
大瀧:ちゃんちゃん、なんだよ。
山下:よくわかるわ、それ。
大瀧:ふりだしに戻るナイアガラ双六なんだよ。

話の最後には例のナイアガラ双六も出てきました。でも、本当にいい話。

ちょっと笑ってしまうのが、達郎さんがご自身のラジオ番組で初めてドゥーワップ特集をしたとき(1983年9月放送の「サウンドストリート」)の1曲目はレイヴンズの「Ole Man River」で、2曲目がオリオールズの「Crying In The Chapel」。そして再びドゥーワップ特集をしたとき(1996年11月放送の「サンデー・ソング・ブック」)の1曲目もやはりレイヴンズの「Ole Man River」で2曲目がオリオールズの「Crying In The Chapel」。このあたり、いかにも達郎らしいですね。

ちなみにライノ(RHINO)から出ている『The Doo Wop Box』の1曲目はオリオールズの「It's Too Soon To Know」で2曲目がレイヴンズの「Count Every Star」。ドゥーワップに関していえば、レイヴンズとオリオールズが「第1項・第1章」なんですね。

ところで僕はというと、ドゥーワップに興味を持ち始めて(もちろんきっかけは達郎さん)、ようやくドゥーワッップ関係のCDが出始めた時にレイヴンズのCDも買いましたが、正直つまらなくてあまり聴かないまま処分してしまいました。
で、オリオールズは以前書いたように、昨年の暮れ、武蔵小山のペットサウンズで見つけて初めて購入。その後オリオールズは大好きになってBear Familyから出ているBOXも買ってしまいました。
やはり99%とまではいかないまでも、ドゥーワップのいろんな曲を聴いてきたからこそ、オリオールズの良さ、つまり「第1項・第1章」がわかったということでしょうか。

さて、大瀧さん、このときの達郎さんとの会話を覚えていたからというわけでもないはずですが、3年後に放送されたアメリカン・ポップス伝のドゥーワップ特集で、驚くような順序で曲をかけていきます。大瀧さんの言葉を使えば「第1項・第1章」なんて後回し。まずは第3項からはじめて、次に第3章の話が出てきて、今度は第2項に戻って、ようやく第1項にいったかと思ったら、突然、おまけの章の話が出てくる。
「項」も「章」もあっちこっちにとびまくっています。でも、もちろん適当にやっているのではなく、きちんとつながってるんですね。まさに大瀧流。

次回は改めて昨年の8月に放送されたアメリカン・ポップス伝パート4の第1夜のことを。
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by hinaseno | 2014-09-06 08:53 | ナイアガラ | Comments(0)