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by hinaseno
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あなたのことなど 知りたくないの


ドン・ロバートソンの作った曲をいくつか紹介しようかと思ったのですが、ちょっとおもしろいことがわかったのでそちらの話を。

「アメリカン・ポップス伝パート1」の第4夜で、エルヴィスに曲を書く前のドン・ロバートソンの大ヒット曲として大瀧さんが最初に紹介したのがエディ・アーノルドの「I Really Don't Want To Know」という曲でした。



この曲を書ける前に大瀧さんはこんなことを言っていました。
エディ・アーノルドの「I Really Don't Want To Know」、何って言いましたっけ? ♫あ〜なたのことなど...「知りたくないの」か。

このとき大瀧さんはちょっとだけ曲を口ずさんでいたんですね。「あ〜なたのことなど」の部分。邦題を確認するために歌ったんだろうと、ぼんやりと考えていましたが、エディ・アーノルドの日本盤なんて出ていません。エルヴィスもこの曲を歌っていて、それは日本盤のシングル盤が出ていて邦題は「知りたくないの」。でも、エルヴィスはもちろん「あ〜なたの...」なんて日本語で歌っているわけはなく、英語で歌っています。

もしかしたら日本人が歌っているのかもと思って調べたら、やはりそうでした。菅原洋一。タイトルは「知りたくないの」。菅原洋一はもちろん知っていますが、この歌を歌っていたのは知りませんでした。かなりヒットしたみたいですね。

で、ちょっと聴いてみたら、おやっと思うことが。
大瀧さんが歌われたのと歌詞が少し違っています。大瀧さんはこう歌っていました。
あなたのことなど 知りたくないの

でも、菅原洋一が歌っていたのはこう。
あなたの過去など 知りたくないの

というわけで、ネットで歌詞を調べてみました。日本語の歌詞を書いたのは、なかにし礼。
あなたの過去など 知りたくないの

済んでしまったことは

仕方ないじゃないの

あの人のことは 忘れてほしい

たとえこの私が 聞いても言わないで
あなたの愛が 真実(まこと)なら

ただそれだけで うれしいの

ああ 愛しているから

知りたくないの

早く昔の恋を 忘れてほしいの

ちなみに、オリジナルの歌詞を書いたのはドン・ロバートソンではなくハワード・バーンズという人。一応、オリジナルの歌詞を載せておきます。
How many arms have held you

And hated to let you go

How many, how many I wonder

But I really don't want to know

How many lips have kissed you

And set your soul aglow

How many, how many I wonder

But I really don't want to know

So always make me wonder

Always make me guess

And even if I ask you

Darling, don't confess

Just let it remain your secret

But darling, I love you so

No wonder, no wonder, I wonder

Though I really don't want to know

Though I really don't want to know

この歌詞を直訳したならこうなります。とりあえず2番まで訳しました。一応歌えます。
いくつの腕が君を抱いたの
いくつ、いくつなのかな
でも知りたくないけど

いくつの口が君にキスしたの
いくつ、いくつなのかな
でも知りたくないけど

なかにし礼は、知りたくないいくつものことを「過去」というひとつの言葉にされたんですね。

この「過去」という言葉にはもう少しおもしろいことが。
どうやら菅原洋一は詞ができた当初、「過去」という言葉が歌いにくいとなかにし礼に言ったようです。できれば変えて欲しいと。確かに歌いにくい言葉。でも、なかにし礼は、この「過去」という言葉に強いこだわりを持っていたようで、絶対にそこは「過去」でなければダメだと譲らなかったと。

さて、大瀧さんのこと。
大瀧さんがこの曲をもし口ずさむのならば、エルヴィスが歌ったように絶対に原詞のまま英語で。菅原洋一が歌ったような日本語で歌うわけはありません。でも、もちろん耳にしていたはずですから、あの日放送されたポップス伝で、うろ覚えで歌ったんですね。いかにもうろ覚えという感じでした。結果的に、歌い手としては歌いにくい「過去」という言葉ではなく「こと」に置き換えられる形で。
でも、考えてみると「あなたのことなど 知りたくないの」だったら、ラブソングでもなんでもないですね。いきなり終わってるじゃん、って感じです。笑わせてくれます、大瀧さん。

ところで、訳詞の話になったので、この話にも触れておきます。
前にも書きましたが、訳詞って簡単そうで、すごく難しい。
さっきの直訳があまりにダサいことはよくわかります。
なかにし礼は、原詞の意味を損なわないようにして完全に歌詞を作られています。でも、あそこまでの言葉が続くと正直ちょっと...。完全に演歌になっちゃってますから。

で、なによりも音数のことを考えなければならないし、オリジナルの歌詞に使われた音の響きも入れたくなるし、できれば少しくらい韻を踏みたい...、なんて考えているとかなり大変なことが分かります。

なんてことを久しぶりに考えていたら、昨日、アゲインの石川さんがリッキー・ネルソンの「ロンサム・タウン」の訳詞を送ってくれました。先日、僕がちょこっと書いたことに反応してくださったようです。

お忙しい中、かなり短時間で作られているはずですが、メロディに合わせて歌ってみると、オリジナルの歌詞の意味を損なわないようにしながら小さな工夫をいくつもされているのがわかって思わずニコニコでした。
こうなると僕も「ロンサム・タウン」の訳詞をしないわけにはいきません。

というわけで今日の最後は、そのリッキー・ネルソンがドン・ロバートソンの作った曲を歌ったものを。タイトルは「You're Free To Go」。ドン・ロバートソンらしい素敵なバラードです。
ピアノの演奏をしているのはもしかしたらドン・ロバートソン自身かと思ったら、違っていました。でも、きっとドン・ロバートソンがデモで弾いている通りに演奏しているはず。


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by hinaseno | 2014-08-19 10:16 | ナイアガラ | Comments(0)