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by hinaseno
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大瀧さんが一番好きな曲(3)


今日はエルヴィス・プレスリーの命日。亡くなったのは1977年8月16日。37年前ですね。
大瀧さんはエルヴィスが亡くなった1年後の8月14日の放送でエルビスの追悼特集をします。全曲バラード。バックには波の音が流れ続けています。
その日かかったすべての曲を改めて紹介しておきます。

1曲目 Love Me
2曲目 Loving You
3曲目 That's When Your Heartaches Begin
4曲目 Don't
5曲目 Fame And Fortune
6曲目 Are You Lonesome Tonight?
7曲目 Home Is Where The Heart Is
8曲目 Where Do You Come From
9曲目 They Remind Me Too Much of You
10曲目 I Feel That I've Known You Forever

1、2、4曲目の曲が大瀧さんの一番好きなソングライターであるリーバー=ストーラーの曲。でも、他もすべて本当に素敵なバラードばかり。ちょうど1年前に、初めてこの特集を聴いた時、かかった曲の半分は知らない曲でした。知っていたのはリーバー=ストーラーの曲と5、6曲目の曲。

大瀧さんは1曲ごとに、曲の後、静かに曲名と簡単なコメントをします。ただし作曲者やあるいは演奏者のことには触れません。あくまで歌詞とエルヴィスの歌唱に関するコメントだけ。
たとえば「Fame And Fortune」の後にはこんなコメント。
「Fame And Fortune」、エルヴィスでした。「名誉と富」ですね、♫How empty they can be〜「なんとむなしいものだろう」。ああいうふうにエルヴィスに歌われると非常に説得力があるというかね、僕は納得しちゃいますね。とっても...いい歌でしたね。

あるいは「Home Is Where The Heart Is」の後には。
エルヴィス、「Home Is Where The Heart Is」でした。まあ、直訳すれば、心があるところがどこでも家(うち)だ、ということなんですね。だからエルヴィスは、心を置き忘れては家を持っても何にもならないということを教えてくれてる、というか僕はそういうふうに受けとっているんですけどね。

静かなバラード、そして大瀧さんの静かなコメントが一曲ずつ続きます。
でも、一曲だけ、曲名の紹介もコメントもないまま、波の音だけが流れて次の曲にいってしまう曲があります。
それが9曲目の「They Remind Me Too Much of You」という曲。
僕が一番好きになりかけていて、しかも勝手に大瀧さんの一番好きな曲と考えようとしているのはこの「They Remind Me Too Much of You」という曲でした。



この曲、曲もピアノの演奏も素晴らしいのですが、歌詞もたまらないものがあります。特に最後の” But please come back to me, my darling, if they remind you, too much of me”にはぐっと来るものがあります。でも、大瀧さんはコメントをしません。聞こえるのはただ波の音。
コメントする時間がなくなっていた、と考えるのは、大瀧さんの場合はあたらないように思います。最後の曲「I Feel That I've Known You Forever」で、最後にエルヴィスが”Forever And ever and ever”と歌った後、その歌詞につなげて「Elvis Forever、それではまた来週まで、バイバイ」と言って、それから再び波の音が1分近く流れ続けます。コメントするかしないかはきちんと考えられていたんですね。そして「They Remind Me Too Much of You」だけは何もコメントしないことを、あえて選ばれた。

この曲に関して興味深いのは、エルヴィスの『From Nashville To Memphis』というボックスに収められた大瀧さんの解説。1960年からそれぞれの年に録音された曲の中から大瀧さんが12曲(プラス1曲)を選んで、それぞれの曲の相当に詳しい解説をされています。
で、「They Remind Me Too Much of You」は1962年の(付)として選ばれています。12曲の中ではなく(付)。解説が書かれているのにもかかわらず、この曲は映画の挿入歌だったためにボックスには収められていません。なんてことはつい最近気づいたのですが。
ところでこの「They Remind Me Too Much of You」という曲の邦題は「あなたにそっくり」。歌詞の内容を取り違えたタイトルになっています。

さて、この曲に関する大瀧さんの解説を載せておきます。ただ、おそらく大瀧さんの勘違いによる誤りを発見しましたので、そこは僕が訂正しました。
 前作同様、映画『ワールド・フェアーの出来事』の挿入歌ですが、このサントラでの最高作です。「グッド・ラック・チャーム」と同じ日に録音され、そのB面で発表された「Anything That's Part Of You」(※大瀧さんの解説には「あの娘が君なら」の表記されていますが、「あの娘が君なら」の原題は「She’s Not You」で、作者はドック・ポーマスとリーバー=ストーラー)という名バラードが61年にありました。そちらをベストに入れるという人も多いかもしれませんが、私の個人的な好みからこちらを選びました。というのも2曲共ドン・ロバートソンの作曲で、50年代にも何曲かの提供があり、60年代は「ゼアズ・オールウェイズ・ミー」から始まり、「僕は君のもの」で〈バラードのロバートソン〉を決定づけました。同じタイプのバラードのこちらの方を好む理由の一つは、作家のロバートソン自らがピアノを弾いているからです。「解説」にもありましたが、こういうバラードでのロバートソンのピアノ・スタイルは独自のものです。「Anything That's Part Of You」のデモ・テープにはロバートソンのピアノが入っていて、それをクレイマーは忠実にコピーしたといわれています。そしてこの「あなたにそっくり」はロバートソン本人のピアノです。聞き比べるのも一興かと思われます。イントロのウッド・ベースを弓で弾いているところが印象的です。リミックスCDではモノのバックのサウンドを機械的にステレオにしているので、エルヴィスの歌が散漫に聞こえます。より〈直接的〉な歌ならオリジナルが絶対〈オススメ〉。所々「僕は君のもの」が顔を出しますが、それはそれでD・ロバートソン好きにはタマラナイところなのです。

注目すべきは、ここにそっと「私の個人的な好み」という言葉が添えられていること。そして曲をかいたドン・ロバートソンという人に関して「D・ロバートソン好きにはタマラナイところ」という言葉も。
この曲でなんとも切ない音色のピアノを弾いていたのもドン・ロバートソン自身。大瀧さんも「作家のロバートソン自らがピアノを弾いているから」これが好きだと書かれています。さらには、このすばらしい歌詞を書いていたのもドン・ロバートソンでした。
というわけで、最後に「They Remind Me Too Much of You」の歌詞とそれを日本語に訳したものを載せておきます。
Take away, the scent of flowers

Cover up, the sky of blue

Close my ears to tender love songs

They remind me too much of you

Hide young lovers' warm embraces

Keep stars and moonlight from my view

Let me forget, there are such places

They remind me too much of you

Must I evermore be haunted?

Day after day, my whole life through

By the memory of each moment

That I spent alone with you

If these lovely things don't hurt you

Our love just wasn't meant to be

But please come back to me, my darling
If they remind you, too much of me

取り除いておくれ、花の香りを

見えないようにしておくれ、青い空を

耳に入らないようにしておくれ、優しい愛の歌を

それらはあまりに君のことを僕に思い出させるから


隠しておくれ、若い恋人たちが熱く抱き合う姿を

星や月明かりも見えないようにしておくれ

忘れさせて欲しいんだ、こんな場所があるってことを

それらはあまりに君のことを僕に思い出させるから

僕は永遠に悩まなければならないのだろうか

毎日毎日、僕の人生が続く限り

君といっしょに過ごした

ひとつひとつの瞬間の思い出によって


もしもこれらの素敵な物事が君を傷つけないのなら

僕たちの愛はそれだけのものだったということ
でも、もしもそれらが君に、あまりに僕のことを思い出させるのなら
どうか僕のところに帰ってきてくれないか、僕の最愛の人よ

というわけで次回からはドン・ロバートソンというソングライターの話になります。
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by hinaseno | 2014-08-16 10:36 | ナイアガラ | Comments(0)