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暖簾が風に気持ちよくはためくためには(1)― 夏をけりけり ―


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もし、自分にラッキーアイテムというものがあるとすれば、それは下駄かな、と思ってしまった2014年7月のとても暑い夏の日。場所は岡山の県北の町、勝山。

基本的にかなりの出不精で、よっぽど縁があると感じたところしか出かけていくことはありません。勝山への縁は数年前から感じていましたが、ここ数日、それに輪をかけたようにバタバタと縁が縁を呼ぶようなことがあって、これは絶対に行かねばと。

勝山での一日を順序よく話しておきたいのですが、とりあえず下駄のことから。
考えてみると、このブログも下駄のことがなければ始めることはなかったのかもしれません。
村上春樹が「秋をけりけり」というエッセイの中で引用した木山捷平の「秋」という詩を読んで感動したことから、木山捷平のことをいろいろ調べているうちに、わかってきたことを報告したいという気持ちから始めたブログでしたから。その木山捷平の詩に出てきたのが下駄でした。木山さんのことをいろいろ調べる中で、いくつもの発見や思わぬ人とのうれしい出会いもたくさんあって、そういった幸運を運んできてくれたのも下駄だったかもしれないなと。

勝山に何時間かいて、思っていたほどの収穫が得られない状況がいくつか続いていて(後日書くことになるだろうと思います)、しかも猛暑。かなり気持ちがめげかけてきた時のことでした。
店や家の前に暖簾がかかっている古くからの家並みが続く通りを北に向かって歩いていて、まあ、これ以上行ってもめぼしいものに出会うことはないだろうと考えて引き返そうとしたときに「こんにちは」との声が。その通りを歩いていて声を掛けられたのは初めてでした。
見ると、 少し離れた角にある店の入口で、どことなく保坂和志似の初老の男性がこっちを見ていました。店の入口の脇には「おみやげ」と書かれた大きなのぼり。入口から見るとお菓子やら雑貨やらを売っていました。呼び止められることがなければ立ち寄ることはなかったはず。
買い物をするつもりはなかったけど、ずっとその町の暖簾を撮ってきていたので、暖簾の写真を撮らせてもらうことに。
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写真を撮った後「下駄がありますよ」と一言。見ると店内の奥に下駄がずらっと。ああ、下駄屋さんだったのかとそのときにわかりました。
「このあたりは木の産地で、その木を使って作った下駄なんです。桐で作ったいい下駄があるんですよ」

下駄なんて今まで欲しいと思ったこともなく、父親が履いていたものを子供の頃に履いた経験しかありません。でも、いくつも並んでいる下駄を見ていたら、その町にいくつもはためいていた暖簾と同じような風通しのいいものを感じて無性に欲しくなってひとつ買うことにしました。
で、すごく暑かったので履いていた暑苦しい靴を脱ぎ捨ててその下駄に履き替えて町を歩いてみたくなりました。バテ気味だった気分も一気に回復。

店を出て、気分だけは下駄を履いて”夏をけりけり”しようと、その第一歩を踏み出しかけたときに、店の主人からちょっと驚くような話が。
「店の裏の川沿いにいい建物があるんですよ。元は○○だったんですけど」
その言葉に激しく反応。それはもしかしたら、あれではないかと。
で、店の裏の旭川にかかっている橋から川のそばに建っている建物を見て確信しました。ああ、これこそまさにあの○○に違いないと。

この話はまた後日詳しく。
不思議なことに、この後、今回は会うことは出来ないと思っていた人に会うことができて、いろいろと話をすることができました。ただ、一日遅ければその人の店も長い夏休みに入るため、その人に会うことができなかったこともあとでわかったので、本当に幸運でした。
その人もこんなふうに言っていました。
「縁のない人とは、何回来て下さってもお会いできないんです」と。
すべては下駄が運んでくれた幸運。

そういえば、下駄を買ったお店の暖簾、下駄の鼻緒をデザインしたものだったんですね。帰りの電車で撮った写真をチェックしているときに気がつきました。ニコニコ顏にも見えます。
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by hinaseno | 2014-07-27 14:58 | 雑記 | Comments(0)