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by hinaseno
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「シングル盤だ! シングル盤だ!」


もう間もなく、大瀧さんの誕生日である7月28日がやってきます。
大瀧さんの誕生日といえば、というか、その翌日の29日につながる話ではあるのですが、大好きなエピソードがあります。7月28日か29日に書いてもいいかなと思ったのですが、まあいいですね。

このエピソードは「ゴー!ゴー!ナイアガラ」の第7回目の放送で披露されています。6回目まではキャロル・キングをはじめとするアルドン・ミュージックのスタッフ・ライターの特集。
で、第7回目。放送日は1975年7月29日。大瀧さんが27回目の誕生日を迎えた翌日の放送。ここではじめて、ご自身を特集します。前にも書きましたが、今、聴いてもびっくりする音源が続出。

話は大瀧さんがキャロル・キングと”再会”した翌年の1972年7月28日の誕生日のこと。この日、大瀧さんは結婚式をあげられたんですね。
で、その翌日。本当は結婚式の翌日ということで仕事を入れてほしくないと言っていたそうですが、残念ながらはっぴいえんどとしての仕事が入ります。大瀧さんは奥さんを連れて仕事場に向かいます。ずっと奥さんにぶつぶつ言いながら。

仕事の会場は晴海の埠頭。
ちょっと暇な時間が出来たので奥さんとぶらぶら歩いていたら、なんと会場内でシングル盤のバーゲンに遭遇。すべて外盤(つまり原盤ということ)。一番上にあったのはリック・ネルソンの「It’s Up To You」。他にもその辺の時代のシングル盤がどさっと。
で、店の人に値段を聴いたらなんとすべて10円。わおっ、ですね。
ちょうどキャロル・キングと再会して以来、60年代初頭のアメリカン・ポップスを再認識し始めていた大瀧さんにとっては、まさに渡りに船。奥さんなんかほったらかしにしてシングル盤を漁ったんでしょうね。でも、どうやらステージで演奏する時間は迫ってきていたようです。ちょっと大瀧さんの言葉を。
急いで急いで、いろいろ探したら、あるわ、あるわ、すごいんですよ。フィル・スペクターのフィレスの原盤はあるし、ディメンションの原盤はあるし。まあ、すごいんですね。ほいで夢中になってかなりのものを探してたんですよ。

で、このあとの大瀧さんの行動がいいんですね。時間のある限り探しまくるんじゃなくて、なんとメンバーを呼びに行くんです。単独で行動することが多いといっても(この場合は奥さんといっしょですが...、ただし、そっちのけ)、何かを見つけたらそれを自分ひとりで独占しようとはしないという。
そして他のメンバーの、細野さんとか松本とか茂を呼びに行きましてね。「シングル盤だ! シングル盤だ!」って、みんなで探してね。そしたらちょうどステージの方からね、「はっぴいえんどのみなさん、出番ですよ。出番ですから、ステージへ」ってなんて声もものかは、ギャンギャン探してたんですが。
もう、その日のステージなんて何やったか全然覚えていなくて、早く終わって、ばーっと終わってから、またそのレコード屋さんへ行きましてね、ほいでまあ探したんですね。そしたらいっぱいありましてね。かなり買いましたよ。

そのとき思いましてね、そろそろシングル盤の時代じゃなくてLPの時代であるというのはみんな先刻知ってはいたんですけども、なんとはなしにシングル盤の外盤が10円なんて、なんかさびしいと思ったわけですよ。
それで、ちょうど結婚式の翌日ということで、なんか因縁めいたものも感じましたしね。それから表面にこういうものを聴いているというのを表に出すようになったのは。当然、昔から、小学5、6年から中学そこらにかけては、こういうものをギャンギャン聴いてはいましたけれども、ちょうどそれでもなにか自分のものを見つけたいなと思っていたときに、偶然にこういうものがありましてね。非常に幸運でしたね。

大瀧さんのとった行動、そしてこの出来事の捉え方のひとつひとつが大瀧さんらしいなと思ってしまいます。

ちなみに「ディメンション」というのは、キャロル・キングのシングルや、彼女がクッキーズやリトル・エヴァに書いた曲のシングルをたくさん出しているレーベル。「ディメンション」=60年代初頭のキャロル・キングといってもいいレーベルです。

この結婚式の翌日の、この偶然の出来事がなければ大瀧さんのその後の活動はなかったと言っても過言ではないのかもしれません。
3年後に始まった「ゴー!ゴー!ナイアガラ」でかかった曲、特に最初のキャロル・キング特集でかかった曲の多くは、まさにこの日に手に入れたものだったんでしょうね。
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by hinaseno | 2014-07-23 10:49 | ナイアガラ | Comments(0)