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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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大瀧さんとキャロル・キングの”再会”(その3)


バッファロー・スプリングフィールド周辺の音楽からは、ずいぶんとかけはなれた感触をもった細野さんの曲を聴いた大瀧さんは、細野さんに向かってこう言います(たぶん)。
「何やってんの?」
「ジェイムス・テイラー。今、はまってるんだ」
で、次に大瀧さんに会ったとき、細野さんは「これだよ」と言って、大滝さんにこの2枚のLPレコードを手渡します(たぶん)。
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前年の1970年に発表された『スウィート・ベイビー・ジェイムス』と発売されたばかりの『マッド・スライド・スリム』。
細野さんから2枚のLPを受けとった大瀧さんは、レコードに針を落として曲を聴きながら、LPに記載されたミュージシャンのクレジットを見ます(たぶん)。そしてそこに、あるミュージシャンの名前を発見します。
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キャロル・キング!
大瀧さんにとっては6、7年ぶりの彼女との”再会”。

話はそれますが、僕が『ロング・ヴァケイション』を聴いて大瀧詠一(大滝詠一)というミュージシャンに関心を持って、初めて読んだ大瀧さん関連の本が萩原健太さんの書いた『はっぴいえんど伝説』(1983年 八曜社)でした。同じ八曜社からは1981年に『All About Niagara』が発売されているのですが、僕が持っているのは1983年の第3刷のもの。きっと同じ日に、同じ書店の同じ棚でこの2冊を発見して買ったはず。ただ、『All About Niagara』は、当時の僕にとっては内容が濃すぎて読むのは後回しに。

『はっぴいえんど伝説』を買ったときには、はっぴいえんどというバンドが日本に存在していたことも、そのグループに大瀧さんが在籍していたことも全く知りませんでした。もちろんそのグループに細野晴臣さん、松本隆さん、そして鈴木茂さんがいたことも。
『はっぴいえんど伝説』は7つの章からなっていて、第1章から第3章がはっぴいえんど、第4章が細野さん、第5章が鈴木茂さん、第6章が大瀧さん、そして第7章が松本さんに関することが書かれていたのですが、僕が最初に読んだのはもちろん第6章。”第1章からではなく”。
その章、いきなり大瀧さんのこんなインタビューの言葉が出てきます。当時の僕にとってはすべてがちんぷんかんぷんでした。
ほら、『風街』で細野さんがジェイムス・テイラーっぽいことやりだしたでしょ? で、ジェイムス・テイラーのレコード聴いたらさ、ピアノがなんとキャロル・キング、なんでこんなとこに出てくんのって感じだったよ。ぼくが子供のときからずーっと聴いてたんじゃない。それが「イッツ・トゥー・レイト」だもんね。アチラはなーんもむずかしく考えずに、綿々と自分の音楽やり続けてるんだよ。はっぴいえんどはさ、セダカ&グリーンフィールドだめ、マン&ウェイルだめ、ゴーフィン&キングだめ、って形で足を踏み入れた世界だったけど、じゃぼくは何のために目をそらし続けたのか、と……ね。

『風街』? ジェイムス・テイラー? キャロル・キング? 「イッツ・トゥー・レイト」? セダカ&グリーンフィールド? マン&ウェイル? ゴーフィン&キング?
当時の僕の知らない固有名詞がずらっと。しかも、「ぼくは何のために目をそらし続けたのか」ってどういう意味? でした。
これらのことがわかるにはずいぶんと時間が。

ここらあたりのことは、キャロル・キングを特集した『レコード・コレクターズ』1995年1月号の「日本のポップスの歴史と私のキャロル・キング」題された大瀧さんの書かれた文章でもう少し詳しく説明されています。
ジミヘンやジャニスの死で、ビートルズからスタートした〈60年代のロック〉が一段落すると、70年代から〈シンガー・ソングライターの時代〉がやって来てジェイムス・テイラー等が脚光を浴びます。バッファロー・スプリングフィールドを日本で一番最初に評価した男、細野晴臣は、再び誰よりも早くJ.T(日本たばこじゃないよ)を評価し、自らのスタイルに反映させ、現在ではニュー・ミュージックの古典ともいわれる「夏なんです」「風をあつめて」の名曲を作りました。私にとってのJ.Tは、ある人物と再会させてくれた人でした。それが今回の主役〈キャロル・キング〉です。日本でも大ヒットしたJ.Tの「君の友達」は、驚いたことに彼女の詞曲でした。

一応、細野さんの「風をあつめて」っぽい曲として、ジェイムス・テイラーの「Mud Slide Slim」を貼っておきます。



それから、ジェイムス・テイラーの歌ったキャロル・キングの「君の友達(You've Got A Friend)」も。



実は、大滝さんの書かれた「日本のポップスの歴史と私のキャロル・キング」という文章でも、他のどんなインタビューでも語られてはいないことですが、ジェイムス・テイラーを通じてキャロル・キングとの”再会”して間もなく、あるいはほぼ同時に、大瀧さんは別のルートでキャロル・キングとの”再会”を果しています。僕なりにはそちらの方のインパクトもかなり大きかったのではないかと考えています。
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by hinaseno | 2014-07-21 10:48 | ナイアガラ | Comments(0)